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1018-602号 特集●大きく変わる! 心房細動患者の抗凝固療法 [kensa-ML NEWS 【情報】]


 まずは野球ネタから・・・阪神は予想通り期待を裏切っていただき、腸の煮えくり返る思いをしておりますので、この話題については私の前では禁句です。そこで・・・機嫌の良くなるSSC太陽ネタから。この土曜日、日曜日は公式戦が各1試合ずつと非常に楽なスケジュールでした。両試合とも順当に勝ち進んでいます。特に日曜日の連盟試合では、主力4選手が市の陸上競技大会参加のため、12名(うち1名怪我のため野球出来ず)をした時にで戦わざるを得ない状況でしたが、9対0で5回コールド。みんなたくましくなって地力がついてきましたね。(^^)

 先週の水曜日に日本医師会臨床検査精度管理調査報告は終了したのですが、会議や打ち合わせが多いに加え、精度管理調査に集中していたため他の業務が少し停滞気味で、その埋め合わせをしたり、スタッフの業績評価期限があったり、さらには平成22年度政策医療財団助成研究の準備などを行っており、まだまだ落ち着いていませんので、定期的にメールニュースを送れるような状態ではありません。ゲリラ的にニュースが飛び交ったり、突然中断したりと不定期更新となりますが、お許しください。また気になっていた記事を選別してお届けしますが、少々古いものもあります(カウントするとストックしている記事は現時点で数十記事ありますが、全て配信はしませんのでご安心を!)。リアルタイムな対応が出来なくてごめんなさい。またブログ更新も全然出来ていませんので、御来訪いただいた方には本当に重ね重ね申し訳ありません。出来る限り早期に通常通りの平日配信が出来るよう、正常化に努めますので、しばしお待ちください。


 さて先週のトピックは何と言っても、建国200年がまさに波乱と激動のチリですね。ライブ中継を全て見てはいませんが、一部見ただけでもその感動は伝わってきます。全員が無事生還されて本当に良かったですね。しかし極限とも言える状態で、統率のとれた行動をよくぞ・・・といった印象です。絶望感や色々な思いが渦巻いていたでしょうね。私の想像などはるかに超える思いをされてたことでしょう。


天声人語 朝日新聞コラム 10/14
 
http://www.asahi.com/paper/column20101014.html
 北の民イヌイットは、雪原のまぶしさから目を守る雪めがねを考え出した。セイウチの牙や木片に細い切れ目を入れた、手作りのゴーグルだ。光を遮る発明品はサングラスの原点とされる▼地底から救出されるチリの鉱員たちは、夜も朝もそろいの黒めがねだった。暗さに順応した網膜を保護するだけでなく、それは感情の爆発や乱反射を防ぐ道具に見えた。すでに万感募る瞳である。歓喜の明度が九割減でも不足はなかろう▼一人目の救出中に日付が変わった。約15分とはいえ、身を硬くしての孤独には足かけ二日の表現がふさわしい。現地の例えは「地中からの出産」。苦から喜へと英雄たちが産道を抜け、70日も頭上にあった大地を踏みつけた▼チリにすれば波乱の建国200周年だ。まず大地震に襲われ、文字通り余震の中でピニェラ大統領の就任式、そして「奇跡の33人」である。基幹産業での不幸と幸運は、救出劇の先頭に立った大統領の人気を押し上げた▼鉱員にはギリシャ企業が慰安旅行を申し出たそうだ。映画化も決まり、会見や手記の依頼もある。体験に値がつくことで、彼らは地底からしばし解放されよう。いや、もうこりごりか。坑内労働の安全は、一編のハッピーエンドで守れるものではない
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 歓喜のチリに比べて日本の国会は何と興醒めするような光景ばかりが目につくのでしょうか???と思いきや、一筋の光が差し込むような論戦が展開されています。やっぱり建て前とかそんなことばかりに捉われるのではなく、国民のための論戦であって欲しいですし、足元ばかりを見たような議論や、揚げ足取りのような質問はもう見たくないですね。そんなものは国民の前でしないでもらいたいものです。国会議員は国民の代表なのですから、「格」「識」を大切にして下さい。

朝日新聞社説 10/14 http://www.asahi.com/paper/editorial20101014.html#Edit1
 国会でこれほど「熟議」が語られたのは初めてだろう。とことん議論し、熟慮し、ともに解決策を探るというこの言葉が、衆院予算委員会で与野党からさかんに聞かれた。
 直接のきっかけは、菅直人首相が所信表明で「熟議の国会にしていくよう努めます」と唱えたことだ。
 衆参両院の多数派が異なるねじれ状態で、連立組み替えの見通しも立たない。政策ごとに野党の協力を得るしかない。首相は政治の現実を踏まえて、熟議を持ち出したに違いない。
 ただそれは国会本来の機能を回復することであり、時代の要請でもある。政治が前進する兆しとして歓迎する。
 55年体制下はもちろん、野党時代の菅氏自身がそうであったように、相手を鋭く追いつめる対決型の論戦は国会の一つの見どころではある。
 だがいま、日本は停滞の中にある。だれが政権に就こうと同じ課題に立ち向かわなければならない。知恵を出し合い、接点を求め、政治を前に動かす議論の仕方を身につけるべきである。
 そうした議論の末に、越えがたい違いが浮かび上がるなら、それもいい。選挙の争点が鮮明になる。
 熟議の作法が定着したとはまだまだいえないが、そのために何が必要か、手がかりはつかめたのではないか。
 まず、日本の行く末にかかわる問題を大局に立って議論する姿勢である。
 蓮舫行政刷新相が国会内でファッション誌の撮影に応じたことに、どれだけ時間を費やす必要があるか。尖閣諸島沖での漁船衝突事件は重大だが、論ずべきはセンカクモグラの保護より、中国とどう向き合っていくかだろう。
 相手を一方的に責め立てるのではなく、自らを省みながら論じる姿勢も不可欠である。
 石破茂自民党政調会長は、自民党政権が税制改革などを先送りしてきたことに「強烈な反省」を持っていると切り出した。温室効果ガス25%削減の政府方針を「アンチビジネス」と断じ、違いも鮮明だった。それでも、同様の問題意識を持ち、ともに打開策を探ろうという姿勢を感じたのか、首相は石破氏に「ありがとう」と繰り返した。
 建前に固執せず、なるべく率直に語る。自分の頭で考え、姿勢を改めるのもいとわない。それも熟議の条件だ。
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 さてここからは医療関連ニュースに移ります。

 いよいよインフルエンザの季節が到来しました。全国の状況を見てみると、A香港型がチラホラと見受けられるようです。昨年パンデミった新型インフルエンザも見受けられるようですが、爆発的な発生はまだないようです。今年はワクチンにしろ、昨年の教訓が生かされ、万全の態勢だと思います。現状況が分かり易く掲載されていましたので、ご紹介しておきます。くれぐれも、手洗いうがいなどのスタンダードプリコーションをお忘れなく!


インフルエンザ:予防接種、早めに 毎日新聞 10/15
 
http://mainichi.jp/select/science/news/20101015ddm013100014000c.html
 インフルエンザの流行シーズンを前に、10月から各地の医療機関でワクチン接種が始まった。昨季は新型インフルエンザ(H1N1)が猛威を振るい、国内でも約2077万人が感染したと推計されている。今季はどのようなインフルエンザの流行が予想されるのか。また、ワクチンの供給量は十分か、接種が薦められるのはどのような人なのか。ワクチン接種の仕方や注意点をまとめた。【藤野基文】
 世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザについて、世界的大流行の時期は過ぎたが、ウイルスが消えてなくなったわけではなく、今後数年間は世界で流行し続けることが考えられるとしている。また、今季のインフルエンザについて専門家は「流行する時期や種類は分からないが、新型だけの大流行は考えにくく、新型と季節性の両方が流行するだろう」と予想する。
◆1種類で
◇新型と季節性を混合、5800万回分供給
 今季のワクチンは、新型と季節性2種類の計3種類に対応する「3価ワクチン」が製造されている。昨季は、季節性と新型のワクチンは別々に打つ必要があったが、今季は1種類を接種すればよい。従来のインフルエンザワクチンは、A香港型とAソ連型、B型の3種類を一つにまとめたものだった。今季は、近年ほとんど消滅したと考えられるAソ連型を外し、代わりに新型のワクチンを混ぜている。
 厚生労働省によると、この新しいワクチンはメーカーから約5800万回分が供給される予定だ。担当者は「これまで季節性ワクチンが1シーズンに約4000万回使用されていることから考えても、十分に足りる」としている。このため、昨季は供給が間に合わず、妊婦や基礎疾患のある患者、乳幼児などに優先的に接種されたが、今季は優先接種の対象者は定めない。
 接種は国と契約した病院や診療所で受けることができる。接種回数は、13歳以上が1回、免疫の付きにくい13歳未満が間隔を1~4週間空けて2回。ただし、病気などで免疫の付きにくい人もいるため、13歳以上でも医師の判断で2回接種することもある。料金は市町村が決めるため一律ではないが、厚労省は1回目3600円、2回目2550円を目安として示している。
◆効果は
◇半年は持続、40~60代も積極的に
 ワクチンはいつごろ打つのが良いのだろうか。東京医科大の松本哲哉教授(微生物学)は「ワクチンの効果は約半年間持続する。免疫ができるまでに最低2週間かかるので早めに接種した方がよい」と話す。また、昨季にワクチン接種した人やインフルエンザにかかった人も免疫力が低下しているため、改めて接種した方がよいという。
 新型については、昨季の優先接種の対象だったリスクの高い人は当然接種が薦められる。さらに、東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は「理由は分からないが、昨季は40~60代の死亡者が多く、死亡率も高かった。一方で、この層は感染者が少なく、全く免疫を持っていない人もいるため、特に積極的に接種してほしい」と呼びかける。一方、季節性は高齢者で重症化することが多く、やはり接種が薦められるという。
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■今季のインフルエンザワクチンのポイント
 ・新型と季節性を一つにまとめた3価ワクチン
 ・供給量は十分な5800万回分。優先接種の対象者は定めない
 ・接種は13歳以上が1回、13歳未満は2回
 ・40~60代で高い新型の死亡率。昨季の未感染者は積極的に接種を
 ・昨季の感染者、ワクチン接種者も、免疫力が低下しているため、改めて接種した方がよい
 ・免疫ができるまでに約2週間。接種は早めに


 記事にも書いていますが、またか!!!のような隣国の対応。国民性もあるのでしょうが、やはり政府からまともな情報を与えられていないのでしょうね???しかし日本国民ならここまでしないでしょうね。このところの諸外国への対応と言い、品格が問われても仕方のない蛮行ですね。長くなるし嫌気もさしますので、URLのご紹介のみ。

常軌逸した反日デモを憂う 日本経済新聞社説 10/18 http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE3E4E7E7E0E4E6E2E3EAE3E2E0E2E3E28297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D

【主張】中国の反日デモ 誤った「愛国」教育を憂う 産経新聞社説 10/18
http://sankei.jp.msn.com/world/china/101018/chn1010180244000-n1.htm


 さて嫌な話題はさておき、ここから医療関連ニュースに移ります。

 タイトルを見た瞬間、日本看護協会の認定かな?と思いきや、専門学会の取り組みだったのですね。日本看護協会の認定制度を否定するつもりは全く無いのですが、以前にも申し上げたことですが、やはり専門学会による認定制度の方が他職種から同一目線で受け入れられやすいのでは?と率直に思います。

 私自身看護部門の認定制度について不勉強なもので、ちょっと調べてみました。


http://www.exlog.net/archives/cat3/post_12/

 日本看護協会 認定看護師日本看護協会が認定する認定看護師は看護スペシャリストです。 医療現場の高度化が進み、より専門的な知識と技術が必要とされており、最新医療に対して、質の高い知識や技術を養った人材が必要とされています。
 この医療状況から、日本看護協会が1996年にスタートさせたのが認定看護師制度です。
認定看護師とは?
 「実践」「指導」「相談」の3つの役割を果たす者としています。日本看護協会の記述では「特定の看護分野で熟練した看護実践ができる者」と規定されており、認定看護師(Certified Nurse)は実践家として役割を果たすことが期待されています。
認定看護師になるには?
 保健師、助産師、看護師いずれかの免許取得者であること。実務経験が通算5年以上必要。(うち通算3年以上は認定看護分野の経験)(働いている施設での看護師長からの推薦も必要です。)
 上記を満たすことによって、認定看護師教育課程を受講するための入学選抜試験を受けることができます。
認定看護師の分野は?
現在では以下の17分野が特定されています。
1、救急看護 2、皮膚・排泄ケア 3、集中ケア 4、認知症看護 5、緩和ケア 6、がん性疼痛看護 7、がん化学療法看護 8、摂食・嚥下障害看護 9、感染管理 10、訪問看護 11、糖尿病看護 12、不妊症看護 13、新生児集中ケア 14、小児救急看護 15、透析看護 16、手術看護 17、乳がん看護


認定輸血看護師制度 http://www.jstmct.or.jp/jstmct/CertNS/Document.aspx

認定輸血看護師を養成 30日から初の勉強会 福島民友ニュース 10/18
 
http://www.minyu-net.com/news/news/1018/news1.html
 輸血の正しい知識や、技術を身に付けた認定輸血看護師の認定が本年度から始まることを受け、県内で輸血に携わる医師や行政職員らでつくる県輸血懇話会は今月から、初の勉強会を開講、認定取得を目指す看護師の養成に乗り出す。県内看護師の受講を促し合格者を県内病院に送り出すことで、県内の輸血医療水準の向上につなげたい考え。
 認定輸血看護師制度は、福島医大医学部長で同大輸血・移植免疫学講座の大戸斉教授が理事長を務める日本輸血・細胞治療学会が本年度から創設した制度。12月に試験を行い、血液製剤の適切な管理や輸血前後の患者のケア、副作用への対応など輸血医療全般に対する総合的な知識と能力を身に付けた看護師を認定する。本年度の試験は埼玉県で行われ、本県からは17人が受験する予定。
 勉強会は今月30日から12月までの全4回、福島市で開催する。福島医大付属病院の医師らが講師を務め、輸血の実情や血液の管理方法、輸血後の感染症や副作用などについて解説する。本年度受験する看護師に限らず、今後受験を検討する看護師や、輸血について理解を深めたい医療関係者にも参加を呼び掛けている。
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 さて本日のメインニュースです。少々古い記事になりますが、心房細動患者の抗凝固療法についてシリーズ記事が掲載されていましたので、ご紹介しておきます。専門性が少々高くややこしい話もありますので、ご興味のない方は飛ばして下さい。


【日経メディカルオンライン 2010/10/08】
 特集●大きく変わる! 心房細動患者の抗凝固療法 Vol.1
 ワルファリンに代わる経口抗凝固薬、いよいよ登場間近
 抗トロンビン薬「dabigatran」をFDA諮問委が承認勧告
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t112/201010/516885.html
=================================================
 心房細動(AF)の患者は現在、欧州で約600万人、米国で約230万人とされ、高齢化に伴い増加傾向にある。状況は日本でも同様で、発作性も含めるとAF患者は約150万人、10年後には200万人に達するともいわれている。
 これらのAF患者では、心原性脳塞栓症の発症リスクが約5倍高いとされ、世界で毎年約300万人がAFに起因する脳卒中を発症している。しかも、その症状は重篤で、後遺症のために要介護となることも少なくないため、医療費に及ぼす影響などが世界的に大きな問題となっている。
 AF患者の脳卒中を予防するには、抗ビタミンK拮抗薬(ワルファリン)による抗凝固療法が有効だ。しかし、プロトロンビン時間のINR(International normalized ratio)値など凝固能の定期的な検査が必要で、食物や薬物との相互作用にも注意しなければならないなど、管理が煩雑なため、その実施率は5割前後と低い。臨床現場では、より簡便で安全な新しい経口抗凝固薬の登場に期待が集まっている。
 8月25日から9月1日にかけてスウェーデン・ストックホルムで開催された欧州心臓学会(ESC2010)でも、現在開発中の抗凝固薬の臨床試験の結果がHot Lineセッションで報告されたほか、メーカー共催のサテライトシンポジウム、プレス向けイベントなどでも新しい抗凝固薬の話題が目立った。
AF患者の適応で先行するdabigatran
 現在開発中の抗凝固薬には、トロンビンの活性を特異的に阻害する抗トロンビン薬と、第Xa因子を阻害する抗Xa薬の2つのタイプがある。それらの中で、「AF患者に対する脳卒中予防」の適応において、最も早く上市されると見込まれているのが抗トロンビン薬のdabigatranだ。
 dabigatranは、血栓形成プロセスの中で中心的な酵素であるトロンビンの活性を特異的に阻害することで抗血栓作用を発揮する。固定用量で一貫した有効性を示すため、INRの定期的なモニタリングが必要なく、また薬物相互作用の可能性も少ないとされる。ただし、服用は1日2回。有害事象の発現では、消化不良などの消化器症状がみられた(第3相試験「RE-LY」では、ワルファリン群の5.8%に対し、dabigatran150mg群で11.8%、110mg群で11.3%)。
 独ベーリンガーインゲルハイムは8月30日、心房細動患者の脳卒中発症予防の適応で、米食品医薬品局(FDA)がdabigatranを優先審査品目に指定していることを発表。その後9月20日には、FDAの心血管薬・腎臓用薬諮問委員会が同適応でdabigatranの承認勧告を行ったことを明らかにした。
 米国以外の欧州や日本などにおいても、同様の適応で既に承認申請済み。全世界における最初の販売承認は、米国で2010年末から2011年初めになされると見込んでいる。
脳卒中低リスク群(CHADS2 0~1)でも予防効果 
 AF患者の脳卒中予防についてdabigatranとワルファリンを比較した第3相臨床試験「RE-LY」の結果は昨年のESC2009で発表され、予想を上回る結果に大きな注目が集まった。
 RE-LYの主要評価項目は、脳卒中および全身性塞栓症の発症。dabigatran 150mg 1日2回投与群で主要評価項目のリスクは、ワルファリンに比べ有意に低く(相対リスク〔RR〕0.66、95%信頼区間〔CI〕0.53-0.82)、大出血の発症率は同等だった(RR0.93、95%CI 0.81-1.07)。dabigatran 110mg 1日2回投与群では、主要評価項目のリスクはワルファリンに対する非劣性が確認され(RR 0.91、95%CI 0.74-1.11)で、大出血の発症率はワルファリンよりも有意に低かった(RR 0.80、95%CI 0.69-0.93)。
 今年3月の米国心臓学会(ACC)では、脳卒中リスクをCHADS2スコアにより層別化し解析した結果も発表された。これによると、CHADS2スコアによるリスクの程度にかかわらず、dabigatran 150mg群ではワルファリンよりも有意に脳卒中および全身性塞栓症の発生頻度を低下させることが分かった。110mg群における発症頻度はワルファリンと同程度だった。
 大出血については、CHADS2スコアが0~1の脳卒中低リスク群では150mg群と110mg群ともに、ワルファリン群よりも大出血の発現が低下した。さらにリスクの程度にかかわらず、すべての患者群で頭蓋内出血の発現を大幅に減少させた。
 低リスク群(CHADS2スコアが0または1)については、もともとワルファリンによる有用性が明確ではなくアスピリンが投与されることが多かった。心臓血管研究所研究本部長の山下武志氏は、「1次予防の患者に多いCHADS2スコアが0~1の場合、出血リスクなどを考えてワルファリン投与をためらう医師は少なくなかった。しかし、同スコアが低い場合でもdabigatran投与群は脳卒中リスクを有意に下げ、しかも頭蓋内出血のリスクがワルファリン群よりも有意に低かったという結果は、臨床医にとって有意義な情報となるだろう」とコメントしている。
 さらにRE-LYのサブ解析の結果がThe Lancet Onlineに2010年8月29日付けで掲載された。このサブ解析は、医療機関におけるINRのコントロール状態の良し悪しが、RE-LYの試験成績にどのように影響しているかを見たものだ。医療機関の平均TTR値(目標治療域であるINR 2.0~3.0を維持した時間)の四分位範囲を特定し、主要評価項目について検討した。
 その結果、INRコントロールの状況にかかわらず、dabigatran 150mg群はワルファリンに対して優越性を、またdabigatran 110mg群はワルファリンに対して非劣性を示すことが確認された。
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【日経メディカルオンライン 2010/10/13】
 特集●大きく変わる! 心房細動患者の抗凝固療法 Vol.2
 抗トロンビン薬に続き抗Xa薬も続々と
 抗Xa薬 vs. ワルファリン、初の比較結果が11月に発表
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t112/201010/516913.html
=================================================
 開発中の経口抗凝固薬には、Vol.1で紹介した抗トロンビン薬のdabigatranのほかに、抗Xa薬もある。現在、心房細動(AF)患者の脳卒中発症抑制の適応で複数の抗Xa薬が臨床試験を行っており、その中で第3相の段階にあるのはapixaban、rivaroxaban、edoxabanの3つだ。
 抗トロンビン薬は、生成されたトロンビン(IIa因子)の活性を阻害することで、フィブリンの生成をブロックする。これに対して抗Xa薬は、抗トロンビン薬とは作用点が異なり、血液凝固カスケードのより上流にあるXa因子を阻害し、トロンビンが生成されるのをブロックする。
初の抗Xa薬 vs. ワルファリン、rivaroxabanの第3相結果が近く発表
 rivaroxabanについては現在、主な5つの適応症についてグローバルな臨床試験が進行中だ。その中で、「AF患者の脳卒中予防」についての第3相臨床試験は「ROCKET AF」(対象患者1万4269人、平均年齢73.1歳)と、日本人を対象とした「J-ROCKET AF」(対象患者1280人)の2つだ。いずれもrivaroxaban投与群とワルファリン投与群とを比較する無作為二重盲検試験で、主要評価項目は脳卒中および全身性塞栓症。
 rivaroxabanの投与量は、ROCKET AFでは20mg1日1回(クレアチニンクリアランス30~49mL/分では15mg1日1回)。日本人対象のJ-ROCKET AFでは、15mg1日1回(クレアチニン・クリアランス 30~49mL/分では10mg1日1回)となっている。ワルファリン群の目標INRは2.0~3.0だが、J-ROCKET AFでは日本のガイドラインを考慮して、70歳以上では1.6~2.6としている。
 独バイエル・ヘルスケア社によると、これらの試験の結果は今年11月の米国心臓協会(AHA)学術集会で発表される予定という。抗Xa薬とワルファリンを比較した大規模試験の結果は初となり、大きな関心を集めることになりそうだ。
 ROCKET AFに先立ち、8月の欧州心臓学会(ESC2010)のHOTLINEセッションでは、急性症候性深部静脈血栓症(DVT)患者(3400人)の静脈血栓塞栓症(VTE)再発予防に関するrivaroxabanの第3相試験「EINSTEIN-DVT」(日本は不参加)の成績が発表された。
 有効性に関する主要評価項目である「症候性再発性DVTと非致死性または致死性肺血栓塞栓症(PE)の累積発現率」は、rivaroxaban群で2.1%に対し、標準治療群(エノキサパリン投与後にビタミンK拮抗薬を投与)は3.0%。標準治療に対するrivaroxabanの非劣性が証明された(P<0.0001)。
 安全性に関する主要評価項目である「重大な出血事象および重大ではないが臨床的に問題となる出血事象の複合」については、両群とも8.1%で有意差はなかった(P=0.77)。
 データを発表したオランダのHarry Buller氏は、「ビタミンK拮抗薬は非常に効果があるが、管理が難しい。rivaroxaban 1剤でより簡便にDVT治療が行える」と話した。
apixaban vs. アスピリンではapixabanに軍配
 ESC2010のHOTLINEセッションでは、apixabanのAVERROES試験(第3相試験)の結果も発表された。ビタミンK拮抗薬(ワルファリン)が様々な理由で不向きとされたAF患者5600人を対象に、apixaban投与群(5mg分2)と、アスピリン投与群(81~324mg/日)を比較した。主要評価項目は、脳卒中および全身性塞栓症の発症率。
 その結果、主要評価項目の年間発症率はapixaban群1.7%、アスピリン群4.0%(相対リスク比0.46、95%信頼区間:0.33-0.64、P<0.001)でapixaban群が有意に低かった。一方、重大な出血の年間発症率はapixabanで1.4%、アスピリンで1.2%で、両群間に有意差はみられなかった。
 AVERROES試験の結果を発表したカナダのStuart J. Connolly氏は、「1年間に1000人の患者をアスピリンではなくapixabanで治療すると、18件の重大な脳卒中、10人の死亡、31人の冠動脈系疾患での入院を予防できる。重大な出血のリスクの発生は2例のみということになる」と説明した。
 この発表に対するディスカッサントとして登場したノルウェーのHarard Arnesen氏は、「ビタミンK拮抗薬(ワルファリン)に不向きとされる対象者の定義があいまいだ。難しいことではあるが明確にすべきだろう」などと指摘した。
 心房細動の脳卒中予防において、アスピリンはワルファリンなどの抗凝固薬よりも効果が劣ることは、既に大規模試験で明らかになっている。その点では、今回のアスピリンとの比較結果は臨床家にそれほど大きなインパクトを与えるものではな
いだろう。apixabanとワルファリンを比較するARISTOTLE試験が現在進行中であり、結果が待たれるところだ。対アスピリンのAVERROES試験には日本は不参加だが、対ワルファリンのARISTOTLE試験には日本も参加している。ARISTOTLE試験の結果は11年4月ごろにまとまる予定だという。
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【日経メディカルオンライン 2010/10/13】
 特集●大きく変わる! 心房細動患者の抗凝固療法 Vol.3
 欧州が独自の新「心房細動ガイドライン」
 「血管系疾患」「65~74歳」「女性」のいずれかでも抗凝固療法を考慮
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t112/201010/516926.html
=================================================
 8月25日からストックホルムで開催された欧州心臓学会(ESC2010)では、新しい心房細動(AF)ガイドラインが発表された。これまでのESCの心房細動ガイドラインは、米国心臓協会(AHA)や米国心臓学会(ACC)と共同で作成されていたが、今回から初めて、ESC単独のガイドラインとなった。
 ガイドラインを取りまとめた英ロンドン大学のJohn Camm氏は、「新しい薬物治療が可能になり、治療方法についてのエビデンスも集積されたため、ガイドラインの改訂に至った。薬物の選択や規制などの環境が米国と異なるため、欧州独自のガイドライン作成に踏み切った」と話した。
CHA2DS2-VAScスコアで抗凝固療法の適応拡大へ
 新ガイドラインで特に注目されるのは、AF患者の脳卒中リスクを評価するためのCHADS2スコアに加え、新しいCHA2DS2-VAScスコアの使用を推奨している点だ。
 従来のCHADS2スコアでは、スコアが2以上の場合に抗凝固療法を必須としていた。しかし、スコアが0または1の場合には抗凝固療法は必要ないのかという点については、統一した見解は出ていない状況だった。そこで、CHADS2スコアが0または1の場合に、さらにきめ細かくリスクを層別化するために、CHA2DS2-VASc スコアが新ガイドラインに導入された。
 CHADS2スコアと比べると、CHA2DS2-VAScスコアでは、「血管系疾患」「65~74歳」「女性」を1ポイントとして、リスク項目に加え、さらに「75歳以上」のリスクを2ポイントに引き上げた。そして、CHADS2スコアが0または1でも、CHA2DS2-VAScスコアが1以上、つまり新たに加わった3つ目のリスクのいずれかが該当すれば、抗凝固療法を考慮することとした。
 抗凝固療法の適応を拡大する一方で、大出血のリスクについては「HAS-BLEDスコア」が新たに導入された。このスコアを使ってリスクをカウントすれば、出血リスクをすばやく評価できる。スコアが3以上のハイリスク患者に抗凝固療法を行う際には厳格な経過観察が必要で、定期的に抗凝固療法を見直すことを推奨している。
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[ひらめき] PADM(パダム):遠位型ミオパチー患者会へのご協力お願い [ひらめき]

    遠位型ミオパチーという病気をご存知でしょうか? 
    筋肉そのものに原因があって、筋力が低下する「ミオパチー」といわれる疾患の中で治療法が全くなく、
    体幹部より遠い部分から徐々に筋力が低下していく非常に重い筋肉の進行性難病です。
    100万人に数名といわれる希少疾病ですが、2008年に「遠位型ミオパチー患者会」が発足しました。
    この患者会のみならず遠位型ミオパチーという病気をより多くの方々に認知していただき、一人でも
    多くの方々に賛同していただき、患者会の目標を達成することが目標です。その一つに「難病認定」
    があります。この「難病認定」のためには「署名活動」が必須であり、皆さんのご協力が必要です。
    宜しくお願いいたします。        
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 臨床検査技師のブログにお越しいただき有難うございます。

 さてこのブログでは、臨床検査に関連する内容だけではなく、医療系、農業系、宇宙系、少年野球系等々、雑多な内容となっています。またこのブログを立ち上げたのは、多くの方々に密接な関係のある臨床検査をもっと知っていただきたい、そしてその業務に就いている臨床検査技師をもっと知っていただきたいとの思いからです。

 現代の医療においては、客観的根拠を基に病態解析などがなされ、EBM(Evidence based Medicine)の根幹として臨床検査データは位置付けられています。このような重要なポジションに居ながら、我々自身の待ち受け体質は根強く、我々臨床検査技師自身が何をするべきなのか、また何が出来るのかを真剣に考えるべきであり、後進の方々に良い道を残すためにも、一般の方々に臨床検査技師をまず知っていただく、ということが必要なのだと思います。そのような趣旨から各種サイトランキングにも登録しておりますので、バナーをクリックしていただければ幸いです。

 ご質問、ご意見、ご感想などございましたら、
gamdango@csc.jp までご遠慮なくメッセージをお送りください。ただし医療相談等には内容によりお答えできない場合もありますので、あらかじめご了解ください。

         NHO神戸医療センター
         臨床検査技師長
                新井 浩司

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