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20130927-673号 社説・コラムアラカルト(「識」と「知情意」) [kensa-ML NEWS 【情報】]

皆さん、こんばんは。神戸の新井です。

 すっかり秋となりました。朝晩は非常に過ごしやすいというか、肌寒い今日この頃、如何お過ごしでしょうか?

 通勤車中では、咳き込んだり鼻をすすったりしている方を見かけるようになってきました。東京や大阪ではRSウィルス流行の兆しがありというニュースも今週初めに出されていました。くれぐれもお気を付け下さい。
 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130924-00000001-cbn-soci

 今朝も通勤途中に全国のコラムや社説など検索しながら本文を保存していたのですが、私の場合、Evernoteというツールを利用しています。このツール、色々なものをとりあえず保管しておいてあとで活用するには本当に便利です。私は有料会員となっていますが、無料でも結構使用できるものですので、一度お試しいただいたら?と思います。元々は、iPhoneアプリとして有名でしたが最近ではAndroidでも充実してきています。ちなみに私はAndroidを使用していますが、iPhoneで有料のものがAndroidでは無料だったりしますので、ちょっとお得かな?なんて・・・。私のノートも公開し共有できますので、もしEvernoteユーザーの方がおられたら、お申し出ください。 http://evernote.com/intl/jp/


 第二弾になりますが、今日も全国各誌の社説、コラムを話題に挙げてみます。社説は全国各社で共有している新聞社もあるとともに地方ネタが少ないのですが、コラムは地方地方での特色があり、筆者が好き勝手書いているものなので非常に面白い内容となっています。北は北海道から南は沖縄まで、とても楽しく読ませてもらっています。でもコラムの完成度としては、やはり朝日新聞の天声人語がちょっと抜け出ていていますね。当たり外れはありますが、私が好きなのは毎日新聞の余録というコラム。何じゃこれ?という時もありますが・・・


 さて本日のコラムご紹介ですが、共通したテーマとしてはタイトルにも書きましたように「識」と「知情意」です。

 「識」と言っても色々ありますが、「識」とは、
 1.物事を区別して知る。見分ける。また、その心の働き・能力。
 2.知り合っていること。見知っていること。面識。
 3.書き記すこと。また、その文字など。
との意味があります。今回ご紹介したかったのは、1.の「識」です。

 最近「識」の無い場面に遭遇すること国際的にも国内でも、また身近でも多いのですが、「識」を使った単語を1.で何個ご存知でしょうか?

 以下に挙げた以外にもまだあると思います。
 識者・識別・意識・学識・鑑識・眼識・見識・常識・知識・認識・良識

 いずれも大切なものと思いませんか?先日のメールニュースでご紹介した事大主義や事なかれ主義、大衆迎合などは、意識、見識、常識、認識、良識の欠如により意思・意志を無くしたものと思います。周りの環境も大きな負の要因となりますが、結局は自身のせいでしょう。きちんとできる人はどんな環境下でも出来ています。

声人語 朝日新聞 9/27 (一部引用)
 
http://digital.asahi.com/articles/TKY201309260542.html?
 公務員のことを戦前は官吏(かんり)といった。そのあるべき姿を「吏道(りどう)」という。故後藤田正晴(ごとうだまさはる)氏は政界に転じる前に警察庁長官や事務方トップの官房副長官をつとめた。内務省に入った時に役人の心構えを教わったという。中国の古典にある言葉だ▼〈爾(なんじ)の俸(ほう) 爾の禄(ろく)は/民(たみ)の膏(こう) 民の脂(し)なり/下民(かみん)は虐(しいた)げ易(やす)きも/上天(じょうてん)は欺(あざむ)き難(がた)し〉。お前がもらう給料は人々の払う税金、つまりは汗と脂(あぶら)の結晶である。それを忘れて人々を虐げるなら天罰が下るぞ、と▼後藤田氏は後年、「この教えを再び」と説いた。次々と起こる後輩官僚らの不祥事に怒ってのことだ。自分が国を動かしているという自負は、ともすれば過信や思い上がり、国民を見下す高慢に転じる▼残念ながら氏の思いは生かされないままだ。このところも高級官僚のあきれるようなふるまいが続く。経産省のキャリアが匿名のブログに暴言を書き込んでいた。被災地は「もともと、ほぼ滅んでいた」「復興は不要だ」とはいかなる了見か

 私の卒業した学校は全国唯一の国立養成機関でした。まあ言わば防衛大学みたいなものですかね?ですから在学期間中に幾度となく教務の先生方から「お前は税金の無駄遣いだ!」と言われていました。また勤務したのが国立病院でしたのでいわゆる国家公務員、国民の公僕ですね。病院に来た患者さんに奉仕するのが当たり前、病める方を癒すのが当たり前と教育されてはきましたが、実感は湧きませんでした。でも実際に病める患者さんを目の当たりにすると、様々な「識」の必要性を実感しましたねぇ・・・もうちょっと自分が知っていたらもっと早く救う命があったんじゃないか、とか・・・結局公僕だの何だの言う前に、人であり、医療従事者であり、なんですよね。

 若い方々に伝えたいことは山ほどありますが、私が入職したころより今の若い方々などよっぽどしっかりしています、目的意識も目標設定もされている方、いくらでもいますから。でもいつも間にかちょっと見ない間に澄んだ目に濁りを増し、まっとうな見方が出来なく方も結構いますよね、残念ながら。そうならないためにも、様々な「識」を磨いてほしいと願っていますし、そのような環境を作りたいなぁと思ってもいます。


 話はごろっと変わります。

 最近北海道の鉄道旅行は命がけ、なんて話、よく聞きますが、お粗末そのものです。医療も同じですけど最優先されるのは安全性の筈でしょうが、東電にせよJR北海道にせよ、最優先されるは企業の営利。企業体質が云々と言われていますが、企業を構成するのは社員の筈。半沢直樹とかサラリーマン金太郎のようなヒーローは実社会でなかなか出てきませんので、企業幹部の暴走を食い止める仕組みを作っておかないといけませんよね。ま、いずれにしても常識、良識の欠如でしょう。医療業界も他人事じゃあ済まされない。人の振り見て我が振り直せ、ですな。

神戸新聞社説 JR北海道/安全対策まで「失念」とは 9/25 (一部引用)
 
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201309/0006366344.shtml
 JR北海道が鉄道事業の大前提であるレールの安全対策を、「失念」したり、「後回し」にしたりしていたという。一体、どうなっているのか。信じ難い話だ。
 函館線で先日、貨物列車の脱線事故が起きた。レールの幅が基準以上に広がっており、それが原因である可能性が指摘されている。
 異常を知らなかったわけではない。1年近く何もせずに放置していたというから、言葉を失う。
 それだけではない。同じようにレール幅の拡大や凹凸などの異常を確認しながら補修を怠っていた事例が、道内全域で100カ所近くも見つかった。その中に特急列車が頻繁に往復する路線も含まれていたと聞けば、誰でも背筋が寒くなる。
 鉄道は地域の足だ。安全を信じて利用する乗客に対する、これ以上の背信行為はない。


南日本新聞コラム 南風録 9/26 (一部引用)
 http://373news.com/_column/nanp.php?ym=201309&storyid=51506
 東日本大震災の揺れが襲った直後に東京ディズニーリゾートの従業員がとった対応は今も語りぐさだ。来園者を安心させるため、店頭のぬいぐるみや菓子を配り、笑顔で声をかけ続けた。
 従業員に徹底されている行動基準の優先順位トップに位置づけられているのが「安全」だ。「礼儀正しさ」「ショー」と続き、4番目に「効率」がくる。日頃の訓練と安全優先の思想が、一人一人の行動に結びついたのだろう。
 JR北海道がレール幅などに異常が見つかりながら放置していたことがわかった。放置箇所は調査で日に日に増えている。特急列車が走る本線も含まれており、人命にかかわる重大事故が起こる可能性もあった。
 毎日走る列車だから、不具合も生じよう。それをいち早く発見し、大事故に至らないよう補修するのが安全管理だ。担当者間の連絡がうまくいかず、点検で見つけた異常を「失念していた」とは、言い訳にもならない。


信濃毎日新聞コラム 斜面 9/25 (一部引用)
 
http://www.shinmai.co.jp/news/20130925/KT130924ETI090003000.php
 「半沢直樹」は中国でも人気だ。主人公の決めぜりふの「倍返しだ!」は「加倍奉還!」。「中国の大銀行にも同様の問題はあるはず。でも検閲があるから、こんなドラマはつくれない」。共同通信は上海の会社員の声を伝えている
◆巨大組織の上層部の不正を暴く。理不尽は許さない。テレビドラマ史に詳しい中央大の宇佐見毅教授は善悪が分かりやすい「サラリーマン時代劇」と表現した。誰もが自分の状況と置き換え、共感し、留飲を下げる。視聴率は最終回に42%余と歴代4位だ
◆最終回。絶体絶命を切り返し、怨念の対象でもあった幹部に不正を認めさせ、土下座をさせた。銀行への功績大だったが、数日後に受けた辞令は関連会社への出向。最後の場面で勧善懲悪の一件落着とせず組織の論理を印象づけた。次につなげるのだろうか
◆眼前の問題を直視せず、やりすごそうとする心理をオストリッチ(ダチョウ)症候群という。危険が迫るダチョウが砂に頭を埋め安全な場所に隠れたつもりでいるとの説に例えた。巨大組織の中ではダチョウを決め込むのが現実策と思う同輩も多いだろう



 ここからはもう一つのテーマである「知情意」に移ります。

 この「知情意」という言葉、ご存じの方も多いかとは思いますが、ご紹介してみます。「知情意」とは、人間の精神活動の中に含まれている、知性・感情・意志の三つの要素のことで、哲学者カントが提唱したものです。

 http://d.hatena.ne.jp/saruya_akira/20121213/1355441259
 カントは18世紀のドイツで活躍した哲学者です。この時期のヨーロッパは、キリスト教的価値体系が絶対的な権威を持ち、「世界」や「人」の解釈は、全て聖書でなされると考えられていました。
 しかし、このキリスト教で全てを解釈しようとする「思考停止」状態に疑問を感じ、人間の力で解釈しようとしたのがカントという哲学者なのです。
 「カントが神を半殺しにし、ニーチェが神を殺した」というジョークがあります。それまでの絶対的なキリスト教的価値に反旗を翻したカントの存在があるからこそ、今私たちは科学や自由を享受して生きていられるのだとしみじみ思う次第です。特に私のような人間にとって、自由に「考察」し発信することを許される今の世の中は本当にありがたいと思います。 
 聖書によれば「人」とは、生まれながらに原罪を持つ神の僕です。しかしカントは、自身の頭脳によって「人」を解釈し直しました。その解釈が「知情意」という訳です。(一部引用)

 私はこの言葉、意味の解釈については恩師より教えてもらいました。「教育者、指導者には知情意が必要や!お前も磨け!」と。

 「知性」⇒役割に応じたスキル、ノウハウの習得、専門的知識の継続的習得
 「感情」⇒同僚、仲間や患者に対する貢献意欲、真の優しさ、愛
 「意思」⇒役割を全うしようとする使命感、プロ意識、高い目標意識


 医療現場で関連することを書いてみましたが、教育者にもこれは言えると思います。今、教育現場において体罰が大きな社会問題となっています。私はもちろん体罰に賛成するものではありませんが、行き過ぎた過剰解釈は良くないと考えています。愛情関係や信頼関係がしっかりと構築できていれば、また過剰解釈・反応するマスメディアやいわゆるモンスターペアレントみたいなものが無ければ、このような問題は発生しないと思っています。

 私自身、学生に講義をすることもありますし、相談を受けることも良くあります。そのような中で、大切にしていることは学生諸君に「理解していただく」ということです。

 IC(インフォームドコンセント)いわゆる説明と同意ですが、医療現場では日常的に実践されていることです。しかし難解な専門用語を並びたてられ、しぶしぶ同意をしている患者さんやご家族も多いと思います。ここで抜け落ちているのが患者さんやご家族の「理解」ということ。この部分が抜け落ちているが故、医療訴訟に発展したりしていることも多いんじゃないかな?と考えています。

 教育も同様で、教育者の最大の目的は、一方的に押し付ける形で講義をすることではなく、受講者(学生、生徒等)が理解をしてくれるということ。受講者が理解していないのならその講義は失敗だと言えます。

 今回の一連の体罰問題も、体で覚えさせるのではなく、頭で理解させ自主的・能動的な行動に向かわせるのが指導者の手腕じゃないかな?と思っています。私は少年野球の年齢の低い子供たちにも、何故こういうことをするのか?と理論をもってきちんと説明をし、練習をさせるようにしています。

朝日新聞社説 暴力指導有罪-再発の温床なくさねば 9/27 (一部引用)
 
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit2
 大阪市立桜宮高校2年の男子生徒が自殺した問題で、生徒に暴力をふるった元顧問教諭に有罪判決が言い渡された。
 裁判官は「効果的で許される指導方法」と妄信し、暴力的指導を続けてきたと非難した。
 学校での教員の暴力が公判廷で裁かれたのは異例で、判決の意味は重い。暴力による指導効果を信奉する人たちは、自らへの警鐘と受け止めるべきだ。
 大阪市教委は事件後、元顧問の行為は「体罰」ではなく、「暴力」と定義した。ささいな理由で繰り返しており、落ち度を戒めるための「罰」ですらなく、まったく正当化できないとの考えだ。
 文部科学省の全国調査では、昨年度だけで6721人の教員が体罰をし、被害を受けた子は計1万4208人にのぼった。
 学校教育法は体罰を禁止しているが、罰則規定はない。だが、そもそも心身を傷つける暴力は許されない行為で、教育現場ではなおさらのことだ。「体罰」は暴力との基本認識をもっと明確にしてこそ、暴力追放の徹底をはかれるのではないか。
 元顧問は暴力をふるった理由について、「目の前の生徒に成長してもらいたいとの思いがあった」と裁判で語った。最近も、天理大や浜松日体高などで暴力が発覚した。「気合を入れたかった」「うまくなってほしかった」。指導者や先輩の言い分は、元顧問のそれと重なる。


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