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1019-603号 2010年度改定、病院への影響度を検証 [kensa-ML NEWS 【特集】]


 昨日久し振りに記事を配信出来ました。多くの方々から温かいお言葉や叱咤激励など多数いただきました。有難うございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。ブログの方も長い間メンテナンスなど手付かずの状態でしたので、啓蒙活動の一環で行っていた各種ランキングもアクセス数もかなりランキングダウンしてしまいました。ブログの方は臨床検査技師という職種があることを一般の方々に広く知っていただくためのものですので、是非ブログへお越しいただき、バナークリックにご協力いただければ幸いです。 
http://koji-arai.blog.so-net.ne.jp/

 さて昨日もご紹介しましたが、今朝の新聞各紙は社説もコラムも隣国の反日行動に対する批判記事で花盛りです。当たり前と言えば当たり前なのですが、言わば、やつあたりに近い暴徒による暴挙ですね。しかしそもそも政府が初期段階で毅然とした対応をしていなかったのが、ここまで拡大させた原因なのではないかと私は思うのですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか?

 各社社説は昨日ご紹介しましたので、例え話が多く楽しめるコラムを本日はご紹介します。なるほど・・・色々と書き様があるものですね。勉強になりました。


10月19日付 編集手帳 読売新聞コラム
 
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20101018-OYT1T01310.htm
 永井荷風が東京・銀座の洋食店に入ると、先客に子供連れの一家がいた。躾(しつ)けがなっていない。1933年(昭和8年)の日記にある◆〈子供は猿の如(ごと)く、室内を靴音高く走りまはり、食卓の上に飾りたる果物草花を取り、またはナイフにて壁を叩(たた)く〉。親は周囲の迷惑顔もどこ吹く風、叱(しか)りもしない。荷風は嘆いた。〈今の世の親たちは小児のしつけ方には全く頓着せざるが如し〉◆してよいこと、悪いことのけじめを教わらなかった子供は、どうなっただろう。おそらくはロクな大人に育たず、親を泣かせたに違いない◆趣旨が「反日」であれ、何であれ、デモはしてよいことである。暴徒化し、日系企業を襲撃するのは、して悪いことである。そのけじめを教えず、実行犯を本気で摘発しようとしない中国当局は洋食店の親と変わらない。暴徒の標的が党本部や官庁に移ってから躾けを始めて間に合うとでも思っているのか。乱暴狼藉(ろうぜき)の放置は、市民に政権転覆の予行演習をさせているのと同じであることに気づいていい
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余録:反日デモの“力学” 毎日新聞コラム 10/19
 
http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/
 ニコラ・ショーバンはナポレオン戦争などで17度も戦傷を負ったとされる仏陸軍の兵士である。しかし彼が歴史に名を残したのはその武勇のゆえではない。ナポレオンの没落後も彼を賛美して、熱狂的な愛国主義を説き続けたからだ▲以来、排外的な愛国熱を「ショービニズム」と呼ぶようになる。彼の実在を疑う声もあるが、ナポレオンの栄光が過ぎ去った時代の多くの芝居に好戦的で愛国熱を鼓吹するキャラクターとして登場し、嘲笑(ちょうしょう)の的になった▲さて尖閣諸島の漁船衝突事件をめぐる日中間のあつれきが修復局面に入ったと思われていたところで続発した中国内陸部諸都市での反日デモだった。その規模も参加者数万人と、この間のデモとはケタ違いに多い。一部は暴徒化して日系スーパーなどでの被害も出た▲若者の動員は大学の学生会がかねて準備していたとの情報もある。「打倒小日本」などショービニズムをあおるスローガンも目立つが、大規模デモの同時発生は当局の関与を疑わせた。はて背景にどんな力学が働いたのか▲一見、外国に反発を示すショービニズムだが、実はもっぱら「売国」などの毒々しい扇動で国内の政敵をおとしめる手段に利用されるのは世の常である。またそれが民衆の日常の不満を、誰も統御できぬ引火性のガスに変える怖さも責任ある指導者なら知っていよう
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天声人語 朝日新聞コラム 10/19
 
http://www.asahi.com/paper/column.html
 欧州あたりで「嫌米」のデモが荒れると、しばしばマクドナルドの店舗が襲われる。米国のグローバル支配の象徴というのだろうが、店員や食材の多くは「国産」だ。本籍に執着の薄い国際ブランドが、右代表としてやられるのは皮肉である▼中国内陸部の地方都市で、反日を叫ぶ群衆が暴れた。「坊主憎けりゃ」で、パナソニックの電器店やトヨタ車も壊された。政府間では落ち着くかに見えた日中の対立。外交から街頭へとなれば厄介だ▼騒いだのは愛国教育を受けた世代という。就職難など、色んな格差への不満が、格好の標的を得て爆発したとされる。「日」の字がつけば何でも攻撃対象となるように、理由は尖閣でも靖国でもいいらしい▼彼らの横断幕に〈琉球を回収し、沖縄を解放せよ〉とあった。幸い、中国に抗議する東京の日の丸行進は整然としていたが、売り言葉に買い言葉の愚は戒めたい。ナショナリズムの悪循環を防ぐには、大人を自覚する側が冷静を保つことだ▼中国にも冷めた目はある。反日デモの呼びかけに、ある若手人気作家は「内政問題でデモもできない民族が、外国に抗議しても意味はない」と喝破した。怒りをぶつける相手が違うと。それが体制に向かっては困るから、当局も規制の加減が難しい
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【産経抄】10月19日 産経新聞コラム
 
http://sankei.jp.msn.com/world/china/101019/chn1010190243002-n1.htm
 森鴎外の『半日』という短編は、険悪な関係にある妻と母親の間に立って、困り果てている男の話だ。妻は時に、黙って耐えている男にも食ってかかり、髪を切るだの、のどを突くだのと大騒ぎだ。夫に鬱憤(うっぷん)を晴らして、精神の均衡を保っている。
▼中国の内陸部の都市で次々に飛び火している、「半日」ならぬ「反日」デモは、どんな鬱憤を晴らそうというのか。沖縄・尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件をめぐって、「日本側の一連の誤った言行」に対する「義憤」である。
▼中国外務省はデモに、こんな理解を示しているが、内実はもっとドロドロしている。デモの起こった内陸部は、沿海部に比べて経済発展が遅れている。より深刻な就職難に直面している若者たちのいらだちが、背景にあるという。
▼社会にもの申すなら、言論の自由を求めるなり、ノーベル平和賞受賞が決まった劉暁波さんの釈放を求めるなり、エネルギーを注ぐ方向が違うように思う。もっとも彼らは聞く耳を持つまい。デモのスローガンに「反日」を掲げている限り、当局も大目に見てくれるからだ。
▼それどころか、政治改革に消極的なグループが、政権に圧力をかけるために、デモを仕掛けた、との見方まである。反日デモが権力闘争の道具になっているわけだ。いずれにしても、襲撃を受けた日系の店舗や日本車の所有者にしてみれば、たまったものではない。
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 さてここからは医療関連ニュースに移ります。

 まずは世界初!という見出しに惹かれてしまいました。エボラ出血熱については、一般の方々も死亡率が非常に高く怖い感染症という認識があるのではないでしょうか?もしかしたら以前放映されていた「BLOODY MONDAY」を連想された方もおられるのでは?こちらはエボラと天然痘を掛け合わせたのような設定だったと思いますが。

エボラ出血熱 http://ja.wikipedia.org/wiki/エボラ出血熱
 エボラ出血熱(エボラしゅっけつねつ、Ebola hemorrhagic fever)は、フィロウイルス科のエボラウイルス(Ebola virus)を病原体とする急性ウイルス性感染症。出血熱の一つ。
 エボラウイルスは大きさが80~800nmの細長いRNAウイルスであり、ひも状、U字型、ぜんまい型など形は決まっておらず多種多様ある。
 初めてこのウイルスが発見されたのは1976年6月のスーダンのヌザラ(Nzara)という町で、倉庫番を仕事にしている男性が急に39度の高熱と頭や腹部に痛みを感じて入院、その後消化器や鼻から激しく出血して死亡した。その後、その男性の近くにいた2人も同様に発症して、それを発端に血液や医療器具を通して感染が広がった。最終的にヌザラでの被害は、感染者数284人、死亡者数151人と言うものだった。
 そして、この最初の男性の出身地付近である、当時のザイールのエボラ川からこのウイルスの名前はエボラウイルスと名づけられ、病気もエボラ出血熱と名づけられた。 その後エボラ出血熱はアフリカ大陸で10回、突発的に発生・流行し、感染したときの致死率は50~89%と非常に高い。
 ちなみに、エボラ出血熱が発生した際に軍隊が出動した事もある。これは治療支援ではなく、感染者が発生地域外へ出ないようにし、発生地帯をその地域のみに「封じ込めるため」である。
 【原因】
 アフリカ中央部(スーダン、コンゴ民主共和国、ガボン)および西アフリカで発症している。自然宿主はコウモリである
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou27/100713-1.html#2-3(厚生労働省のホームページより)、サルからの感染例はあるが、キャリアではなくヒトと同じ終末宿主である。また、現地ではサルの燻製を食する習慣があるため、これを原因とする噂がある事も報道に見える。
 なお、2005年12月1日付の英科学誌ネイチャーにて、ガボンのフランスビル国際医学研究センターなどのチームの調査による「食用コウモリからの感染」を疑う説が発表されている。患者の血液、分泌物、排泄物や、唾液などの飛沫が感染源となる。死亡した患者からも感染する。
 エボラウイルスの感染力は強いが基本的に空気感染をしないため、感染者の体液や血液に触れなければ感染しない。現在までの感染拡大も、死亡した患者の会葬の際や医療器具の不足(注射器や手袋など)により、患者の血液や体液に触れたことによりもたらされたものが多く、空気感染は基本的にない。そのため患者に近づかなければ感染することはない。
 レストンにて商業輸入に際して顕在化した猿を終末宿主とする感染流行に際して、特定された「エボラ・レストン株」は、空気感染の可能性を濃厚に具現するものとして知られているものの、人体間における空気感染を確定的に定義付けるものとは言えない。
【症状と治療】
 潜伏期間は通常7日程度。発病は突発的で、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、食欲不振などから、嘔吐、下痢、腹痛などを呈する。 進行すると口腔、歯肉、結膜、鼻腔、皮膚、消化管など全身に出血、吐血、下血がみられ、死亡する。 致死率は50~89%と非常に高く、死亡者の殆どに消化管出血が見られる。
 エボラ出血熱ウイルスに対するワクチン、ならびに、エボラ出血熱感染症に対して有効かつ直接的な治療法は確立されていない。


世界初、細胞侵入のメカ解明 エボラウイルス、北大講師 共同通信 10/18
 
http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010101801000805.html
 アフリカで時折流行するエボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスが、人間の細胞に侵入するメカニズムの解明に、北海道大大学院薬学研究院の南保明日香講師(38)らのチームが世界で初めて成功したと、北大が18日発表した。
 エボラ出血熱は高熱や鼻出血を伴う感染症。ワクチンや治療薬はなく、感染者の致死率は50~90%と高い。研究成果は、抗ウイルス薬開発につながると注目されている。
 南保講師によると、無毒化したエボラウイルス粒子に赤い蛍光色素を付け、観察しやすくした後、細胞に吸着。侵入する状況をレーザー顕微鏡で解析した。
 その結果、ウイルスは、細胞が外部の栄養素やホルモンを取り込む「マクロピノサイトーシス」と呼ばれる作用を誘発。細胞内に侵入する様子を観察できた。
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 さて本日のメインニュースに移ります。実はもう一編、特集があるのですが、こちらは別途お届けしたいと思います。まずは、本年度診療報酬改定の影響度を検証ということで、日経メディカルが特集を組んでいました。少し以前の記事ですので、既にご覧になっておられた方はごめんなさい。まだご覧いただいていない方は是非にご一読ください。病院の規模や特性により悲喜交々。今回は急性期を扱う総合病院が勝ち組のようですね。規模は大きくなればなるほどボリュームメリットが出るようです。

 こうなってくると、慢性期疾患や長期療養を必要とする患者さんにとっては非常に辛い時代になるかもしれません。介護保険を一例に挙げられるように、国策としての早急な対応が必要ですね。ますます病院の統廃合や整理に拍車がかかり、国民への影響が心配です。地域密着型の中小規模施設への配慮は切実な問題でしょうね。これは医療機関だけではなく様々な産業でも言えることですが・・・「クオリティの担保」がキーワードになるでしょうね。


【日経メディカルオンライン 2010/10/15】
 日経メディカル2010年10月号「スペシャルリポート」(転載) 2010年度改定、病院への影響度を検証
 手厚い評価の急性期病院でも機能によって明暗
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201010/516999.html
=================================================
 急性期病院が手厚く評価された2010年度診療報酬改定。大学病院など大規模病院は軒並み年間数億~十数億円の増収になる見込みだ。一方、中小病院は在宅医療に乗り出すなど、新たな機能を模索し始めた。
 2010年度改定について、病院関係者の多くは「メリハリの利いた改定だった」と評価する。
 10年ぶりのプラス改定となった今改定では、政府が医科本体のプラス財源である4800億円(改定率は1.74%増)を、あらかじめ入院4400億円(改定率は3.03%増)と外来400億円(改定率は0.31%増)とに振り分け、入院医療を手厚く評価する姿勢を打ち出した。
 さらに改定の基本方針として、(1)救急、産科、小児科、外科などの再建(2)病院勤務医の負担軽減策の充実──が掲げられ、急性期関連の報酬の引き上げや加算の新設が相次いだ。
手術や救急関連で医療費増
 実際、改定前後の医療費の動向を見ると、急性期の入院医療が手厚く評価されたことが見て取れる。
 社会保険診療報酬支払基金がまとめた医科の医療費の動向によれば、約9万4000医療機関における2010年4、5月分の1カ月平均の医療費は、入院が前年同期比7.3%増、入院外が同3.3%増。
 電子レセプトで請求があった約3万5000医療機関の医療費について、前年同期と比べた結果、1カ月平均の医療費は24億2000万点増えており、そのうち20.6%が手術関連、24.3%が救急や小児科、産科などに関連した点数だった。
 社会保険診療報酬支払基金審議役の畑満氏は、「増加分のうち、救急や小児科、産科関連の報酬を分析したところ、小児急性期救急医療や救急入院医療の報酬の増加が比較的大きな割合を占めていた」と話す。
 小児急性期の救急医療では、常勤小児科医の配置が比較的充実している病院が算定できる「小児入院医療管理料2」が新設されたり、「小児入院医療管理料」の施設基準が緩和されて特定機能病院も算定可能になったことなどが影響した。
 救急入院医療では、2次救急を担う医療機関が算定できる「救急医療管理加算」の増点などが増加要因になった。なお、これから詳細な分析が行われる予定だが、増加分の「その他」には今改定で新設された「急性期看護補助体制加算」などが比較的大きな割合を占めていそうだ。
大規模病院は億単位の増収
 では、今改定は個々の病院にどのような影響をもたらしたのだろうか。医療機関の経営コンサルティングを行うASK梓診療報酬研究所の中林梓氏は「救急や産科、小児科を持ち、手術件数も多い病院では、年間数億円の増収となるケースもあった」と話す。こうした恩恵を受けたのは、主に看護配置が7対1、10対1と手厚く、高度な医療を提供できる大規模な超急性期病院が多い。
 広島大病院(一般病床740床、看護配置7対1、平均在院日数15.6日、病床稼働率約94%)の運営支援部長の西田良一氏は今改定の影響について、「4~7月の診療報酬を、同じ診療内容を改定前の報酬に置き換えたものと比べたところ、入院で7.4%増、外来で0.4%減となり、全体では5.3%増だった。年間で10億~13億円ほど増収になるのではないか」と分析する。
 大学病院ばかりでなく、救急などに力を入れる地域の拠点病院も似たような恩恵を受けている。大規模な急性期病院が多いことで知られる熊本市。その中で3次救急にも力を入れる済生会熊本病院(400床、7対1、10.5日、98.5%)も、4~6月の診療報酬を、同じ診療内容を改定前の報酬に置き換えたものと比較。入院関連の収入は7%増。外来は薬価引き下げの影響で若干の減収となるが、合計で年間8億円ほど増収になる見込みだ。総合周産期母子医療センターに指定され、小児救急にも尽力する高槻病院(大阪府高槻市、477床、7対1、12.6日、96%)も同様に、4月の収入は3.8%増。年間で7億~8億円の増収になるとみられている。
 どの大規模病院にとっても、大きな増収要因となったのが「手術料」の引き上げだ。今改定では、外科系学会社会保険委員会連合の試案に基づき、約900項目の手術料が増点され、難易度の高い技術度区分DとEの手術料は30~50%増となった。
 広島大病院の手術件数は、医科歯科合わせて年間約7000件。医科の手術の70%が技術度区分DかEに当たるため、手術料だけで年間5億~6億円の増収となる見通しだ。済生会熊本病院も、年間8億円ほどの増収見込み分のうち、約3億7000万円が手術料によるものだという。ただし、手術料が引き上げられる一方で、薬価と材料価格が引き下げられたため、大きな増益には結びつきにくいのが実情のようだ。
 手厚く評価された救急や小児科の報酬も、大規模病院の増収に寄与している。今改定では、ハイリスク新生児の集中治療を評価するため、「新生児特定集中治療室管理料1」が増点された。24床ある新生児特定集中治療室が常に満床の高槻病院では、この増点で年間9000万円の増収となる計算だ。また、2次救急を担う病院が算定する「救急医療管理加算」も引き上げられ、同病院は、これにより年間3000万円の増収を見込んでいる。
 小児救急医療を担う病院が算定する「小児入院医療管理料」は、常勤小児科医9人以上という比較的手厚い配置を評価した「小児入院医療管理料2」が新設されるとともに、特定機能病院でも算定できるようになった。広島大病院では常勤小児科医3人以上を要する「小児入院医療管理料4」を算定できるようになったため、年間2億2000万円程度の増収となる見通しだ。
看護補助加算も大きく寄与
 手厚い人員配置や、多くの重症患者を受けた実績が施設基準に盛り込まれ、新設・増点となった報酬が多かったことも大規模病院の増収に寄与した。病院関係者は、「今まで人員を増やし、救急を維持してきたところがやっと評価された」と口をそろえる。
 今改定で新設された「急性期看護補助体制加算」はそうした報酬の一つ。同加算は、看護配置が7対1または10対1の急性期病院が算定できる。算定には、総合周産期母子医療センターの設置または年間の緊急入院患者数が200人以上の実績が施設基準として課せられており、急性期病院として機能しているかどうかが問われる。
 以前から看護補助者を置いていた済生会熊本病院は、「急性期看護補助体制加算」の新設を受けて補助者を増員。入院患者50人に対して1人の補助者が必要な「急性期看護補助体制加算1」を算定し、年間1億3000万円の増収となる予定。高槻病院も以前から看護補助者を活用しており、4月から「急性期看護補助体制加算1」を算定。年間8000万円程度のアップを見込む。
 ただし、同加算を算定するには、重症度・看護必要度の基準を満たす患者の割合が一定以上必要だ。具体的には、看護配置7対1の一般病棟では全体の15%、10対1では10%以上であることなどが要件となっている。済生会熊本病院院長の副島秀久氏は「当病院は地域の救急を積極的に受け入れており、比較的重症者が多いが、それでも基準を満たす患者の割合は16%」と話す。同基準を満たす患者を一定以上維持するのは簡単ではなさそうだ。
 「急性期看護補助体制加算」ほどの増収効果はないものの、医療クラークを手厚く配置した病院を評価する「医師事務作業補助体制加算」の増収効果も小さくない。同加算は、急性期病院(特定機能病院を除く)を対象としたもので、今改定で従来より手厚い配置に対する項目が新設され、それ以外の配置基準に対する報酬も引き上げられた。
 高槻病院では、20年ほど前から医療クラークを導入。改定前は「25対1補助体制加算」を算定していたが、今改定で「15対1補助体制加算」を算定。年間約3000万円ほどの増収が見込まれている。看護補助者や医療クラークを活用する病院の中には、看護師が早く帰れるようになったり、外来患者を待たせる時間が短縮されたりしたところもあるようだ。
 もちろん、これらの加算収入だけで看護補助者や医療クラークの人件費を賄えるわけではない。ただし、これから医療現場の役割分担は一層進み、こうした職種の重要性は増すはず。高槻病院事務部長の中村達也氏は、「今後も積極的に看護補助者や医療クラークを増やしたい」と話す。
 中小病院であっても、手術を積極的に手掛けていたり、手厚く人員を配置し2次救急を担うなど、急性期に特化できれば、今改定では増収につながる。
 佐賀県南部に位置する、織田病院(佐賀県鹿島市、111床、7対1、12.9日、93.3%)は、2次救急を含め、急性期に特化する中規模病院だ。患者数が増えていることもあるが、同病院では「手術料」の引き上げ、新設された「急性期看護補助体制加算」、「医師事務作業補助体制加算」や「救急医療管理加算」の増点などの影響で、4~8月の実績で入院は前年同期比7.5%増、外来は同5.1%増となった。「急性期に特化していたことがよかった」と理事長の織田正道氏は話す。
“自称”急性期病院は減収
 一方、平均在院日数が比較的長い急性期病院には、今改定はそれほど大きな恩恵をもたらしていない。
 15対1の「入院基本料」が引き下げられたほか、後期高齢者医療制度の13年を目処に廃止されることが決まり、「入院基本料」に検査や投薬などが包括化される患者の対象が拡大された。これまで包括化の対象は、癌治療中や人工呼吸器の使用中など手厚い医療が必要な患者を除く、一般病床に90日以上入院する75歳以上の患者が対象だった。今改定では、年齢制限が撤廃され、手厚い医療が必要な患者を除く、一般病棟に90日以上入院する全患者に適用されることになった。
 ASK梓診療報酬研究所の中林氏は、「患者が長期にわたり入院しているような“自称”急性期病院は、減収となる」と指摘する。こうした病院には、超急性期病院の後方病院などとして機能している中小病院が少なくない。
 とはいえ、このような病院が今から手厚い人員や設備をそろえ、超急性期を手掛けるのは難しい。そこで、在宅医療に力を入れて減収分を補おうという動きが中小病院の間で出始めている。その表れが、在宅療養支援病院(以下、支援病院)の急増だ。
 支援病院は、前回改定で新設され、在宅療養支援診療所と同額の、高い「往診料」や「在宅時医学総合管理料」「在宅ターミナルケア加算」などの報酬を算定できる。届け出には24時間体制の担当者や、24時間往診が可能な体制、緊急時に備えた入院用病床の確保などが必要だ。
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[ひらめき] PADM(パダム):遠位型ミオパチー患者会へのご協力お願い [ひらめき]

    遠位型ミオパチーという病気をご存知でしょうか? 
    筋肉そのものに原因があって、筋力が低下する「ミオパチー」といわれる疾患の中で治療法が全くなく、
    体幹部より遠い部分から徐々に筋力が低下していく非常に重い筋肉の進行性難病です。
    100万人に数名といわれる希少疾病ですが、2008年に「遠位型ミオパチー患者会」が発足しました。
    この患者会のみならず遠位型ミオパチーという病気をより多くの方々に認知していただき、一人でも
    多くの方々に賛同していただき、患者会の目標を達成することが目標です。その一つに「難病認定」
    があります。この「難病認定」のためには「署名活動」が必須であり、皆さんのご協力が必要です。
    宜しくお願いいたします。        
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