GAM's Channel_vol.2_基準値と正常値 [Gam's Channel]
皆さんは、「基準範囲」と「正常範囲」という言葉を色々なところで耳にされたことがあると思います。
似て非なるもの。この二つの意味の違いをご存じでしょうか?
「基準範囲」の求め方は、問診を行い健康・正常と思われる方の検査をまず行います(上図参照)。
その結果の平均値を取り、平均値を中心に左右合わせて95%の方々のデータ範囲を「基準範囲」
と呼びます(上図のような分布を正規分布と呼びます)。
したがってグラフの両端2.5%+2.5%=5%の方々が基準範囲外となってしまいます。
ですから「基準範囲」と「正常範囲」がもしも同じものであるとすれば、基準範囲外の5%の方々は
すべて異常と判断されることになります。
さて基準範囲を外れた方々は本当に異常なのでしょうか?
その答えを述べる前に、検査データには「生理的変動」というものがあるということについてご説明
いたします。
ヒトには固有のリズムがあり、ヒトにより異なる、すなわち「性質」というものが存在します。
また一日の時間の中や季節などで変化を示すものや、運動をしたり食事をしたりすることで変化を
示すものがあります。
よく知られるところでは、正常な方において血糖などは食事をすると約1時間後に最高値となります
が、約2時間後には食事前の値に戻ります。
ですから血糖検査などは食事をする前に採血を行わなければ安定した検査データは得られません。
日常生活を送る中で検査データは刻々と変化していますので、採血を行う時間によってはかなり変動を
認める項目も多く、容易に基準範囲を外れることは想定できます。
ちなみに先ほどの血糖で例を示しますと、空腹時における血糖の正常域は110mg/dL以下とされて
おりますが、正常の方でも食事後1時間後には140~160mg/dLにもなってしまいます。
このように「基準範囲」を「正常範囲」に置き換えるのは間違いであり、そもそも多数集団の中で
「正常範囲」と呼ぶことは危険だと言えます。「基準範囲」はあくまでも単純に統計学的処理を加え
算出した目安ということとなります。
また「正常範囲」とは、性別や生活パターン、環境、嗜好など様々な要因により変化するその人
固有のものであり生理的変動が加わった、言わば「性質」とも言えるものです。
ですから「正常範囲」は万人に共通のものではありません。
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NHO神戸医療センター
臨床検査技師長
新井 浩司
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医療の現場でも正規分布の考え方が使われているのですね。
私は、以前、製造メーカーで設計や生産技術を経験しましたが、製造品質のばらつきを標準偏差であるシグマを算出し、3シグマが許容値を超えると品質上に問題ありと判断していました。
3シグマだとたしか99.7%で2シグマだと95%だったと覚えています.
製造の場合は、製法や品質基準が一定なので、統計学的な品質管理は有効だとおもうのですが、人間の体は千差万別で統計学上で傾向をつかむことには意義があるとは思いますが、正常とか異常だときめつけるのは乱暴すぎるような気がします。
by コーミン (2010-03-24 11:25)
コーミンさん
いつもコメント有難うございます。
検査の項目では正規分布を示すものも多数あるのですが、
腫瘍マーカーや感染症などカットオフ値なるもので切り分けを
するものもあり、多彩です。
基準範囲とはあくまでも正常と思われる方を対象にした分布
であり、コーミンさんの仰るように、その値をもって正常、異常
の切り分けを行うのは危険ですが、世間的にはいまだ基準範囲と
正常範囲が混同して使用されている例が多いため、一般の方々は
勘違いしがちです。医療従事者もこのあたりを正確に把握していない
方が多いため、我々のような職種の者が、今後きちんとした説明を
患者さんに直接ご説明することが必要となってくると思います。
by Koji (2010-03-25 11:46)