非採算部門から知的資産部門への転換(2003年発表) VOL.01 [Tea-break]
非採算部門から知的資産部門への転換 2003年 ~連携と融合による医療の質向上効果は?~
国立京都病院・輸血療法WG事務局/DMC(地域医療連携)室
政策医療(内分泌・代謝)臨床検査技師連絡会事務局
【はじめに】
独立行政法人化施行まで残すところあと僅かとなり、全国施設の臨床検査部門においても対応に苦慮されていることであろう。またコストパフォーマンス追求や社会的状況のため、特に検体検査部門における外部委託という問題が急浮上しており、コストパフォーマンスを追及しすぎるあまり、その面ばかりが強調されているような感がある。病院内において、あるいは拡大解釈し、医療全般から見て臨床検査部門に求められているものは、本当にコストパフォーマンスなのか?ということを再度考えてみたい。
昨年、総合医学会臨床検査部門シンポジウムにおいて「検査標準化に対する現場における対応 ~全国共通の検査を目指して~」という発表を行い、その内容については、国臨協会報にも紹介したが、あくまでも概論的内容であった。その発表における趣旨は、「狭義の標準化すなわちデータやプロトコル等の標準化といったことではなく、我々自身が実践すべき業務とは、内容を見直し常にCQI(継続的な質改善:Continuous Quality Improvement)を行い、患者様にはより良い医療を提供すべきもの、といった観点で現場における対応と問題点・課題について発表を行った。また全国共通の検査とは、検査の量(volume)を指すのではなく、検査の質(quality)であることを述べておく」ということである。本年はその内容を実践するため、院内外において様々な取り組みを行ってきた。この取り組みはまだまだ成果・結論が完全に得られたとは言い難いが、進捗状況を含め報告する。
【新井の本音コメント:タイトルの意味】 「非採算部門から知的資産部門への転換」というタイトルですが、これには非常に深い意味があります。ご存じ無い方もおられるかもしれませんが(検査技師なら知らないなんて言わせません・・・本音を言うと、今の時期そんな事知らないなら検査技師を辞めてしまえと思います)、臨床検査部門に対して「アウトソーシング」の波がかなり激しく押し寄せています。臨床検査部門は、大きく分けて検体検査分野業務と、生理機能検査分野業務に二分されています。生理機能検査分野は法律上、アウトソーシングが出来ないのですが、検体検査分野は可能です。検体検査分野の中でも、生化学や免疫血清など自動分析機器を使って業務を行っている分野は収益性も高く、それだけ買い手も多く、アウトソーシングの対象となりやすいのです。ただし、今回の診療報酬改定でも明らかなように、検査点数減は顕著で、今後検体検査分野が非採算部門になることさえ予想されることです。また業務内容を考えると、自動分析機器を使って業務を行うということは、単に検査依頼に対して報告を行っているだけの業務内容であれば、機器を正確に稼動させ、メンテナンスをしっかりしさえすれば、誰にでも出来る業務だと思われるかもしれません。実際にそのような業務内容の検査室も悲しい事ながらあることでしょう。プロの検査技師が何故院内に配置されているかという意味を、検査技師自身が理解出来なければ、私たち検査技師の居る場所はなくなることでしょう。臨床検査結果をまず最初に知り得るのは、我々検査技師ですから、我々がプライマリージャッジを間違ったり重要なデータを見過ごしたりすることで、患者さんに大きな損害を与えることも大いに考えられることです。何を言いたいかというと、我々臨床検査部門の人間(どの分野も同じでしょうが)は、組織(病院施設)にとって財産とならなければ、存在する意味は無く淘汰されるだけ。コストパフォーマンスが悪くなれば別のメリットを探求しなければならず、臨床検査部門が「知的資産部門」にならなければ、生き残れませんよ、と言いたかったのです。
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PADM(パダム):遠位型ミオパチー患者会へのご協力お願い
遠位型ミオパチーという病気をご存知でしょうか?
筋肉そのものに原因があって、筋力が低下する「ミオパチー」といわれる疾患の中で治療法が全くなく、
体幹部より遠い部分から徐々に筋力が低下していく非常に重い筋肉の進行性難病です。
100万人に数名といわれる希少疾病ですが、2008年に「遠位型ミオパチー患者会」が発足しました。
この患者会のみならず遠位型ミオパチーという病気をより多くの方々に認知していただき、一人でも
多くの方々に賛同していただき、患者会の目標を達成することが目標です。その一つに「難病認定」
があります。この「難病認定」のためには「署名活動」が必須であり、皆さんのご協力が必要です。
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さてこのブログでは、臨床検査に関連する内容だけではなく、医療系、農業系、宇宙系、少年野球系等々、雑多な内容となっています。またこのブログを立ち上げたのは、多くの方々に密接な関係のある臨床検査をもっと知っていただきたい、そしてその業務に就いている臨床検査技師をもっと知っていただきたいとの思いからです。
現代の医療においては、客観的根拠を基に病態解析などがなされ、EBM(Evidence based Medicine)の根幹として臨床検査データは位置付けられています。このような重要なポジションに居ながら、我々自身の待ち受け体質は根強く、我々臨床検査技師自身が何をするべきなのか、また何が出来るのかを真剣に考えるべきであり、後進の方々に良い道を残すためにも、一般の方々に臨床検査技師をまず知っていただく、ということが必要なのだと思います。そのような趣旨から各種サイトランキングにも登録しておりますので、バナーをクリックしていただければ幸いです。
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NHO神戸医療センター
臨床検査技師長
新井 浩司
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世間一般の会社にも非生産部門は存在します。綜合広告代理店で定年まで自分が経験したことを振り返りますと、営業活動の第一線でお金を稼ぎまくる時代には、自分なりに誇らしくやりがいを感じてサラリーマンをしました。47歳で急性心筋梗塞をおこしてバイパス手術をうけ、半年休職の後に復帰して、全社の面倒を見る総務局に移りました。ここで普通なら、いわゆる「非生産部門」追いやられたととるところでしょうが、危ないところを国立循環器病センターの医療のおかげで命拾いをしたのだからと、「これからは全社を相手に、生産部門の活性化・効率化に全力を発揮するときだ」と発奮して、身体障害者手帳を持ちながら定年までつとめることができました。最近は、センターにおいても、朝の9時に採血していただいた結果が、その日の外来検診に間に合わせていただけるようになりました。患者としてたいへんありがたいことです。さらに、このデータをもって、自己の病態の個性を先生にご理解いただいて、優れた診療を受けられるのは、これひとえに「検査部」おかげです。ご参考までに。
by せんり会 東 正弘 (2006-02-22 10:00)
「財産的価値」の指標が、世の中全体で狂っている今、非生産部門で生きていくには、具体的にどう勉強していけばいいんだろうと常々思います。
by まゆぷこ (2006-02-22 12:07)
「非生産部門」「非採算部門」こそ、物事の本質を見つめるには良いマーカーかもしれませんね。しかし物事の評価基準、判断基準があまりにも常識とはかけ離れている世の中(というよりその基準自体が存在しないかも?)・・・というより、何事も金銭に置き換えてしまう世の中。全くおかしいですね。何か間違っています。
検査業界では、儲けどころがアウトソーシングになるといったことになっています(非採算部門は買い手が付きません)。アウトソーシングが全部悪いとは思いませんが、迅速かつ正確なデータで、かつ専門職としての職責を全う(コンサルテーションなど)することは外部委託では困難だと思います。
色々お話したいことは山ほどありますが、いずれお話できることもあるでしょうね。
by Koji (2006-02-23 00:26)