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20130905-668号 シャガース病 [kensa-ML NEWS 【特集】]

皆さん、こんばんは。神戸の新井です。

 大荒れの天気が日本列島を駆け巡っておりますが、皆さんの所では如何だったでしょうか?

 昨日の神戸は、神戸大学に出かける1時間ほど前が風雨ともにピークだったようです。大学に到着した時には風は強かったものの雨はさほどではなく、ほんと、助かりました。会議終了後、今年度の臨地実習生と面談をし、帰ることには風雨ともに小康状態。天候も大荒れだろうと自家用車で出かけていたのですが、帰りの高速道路上で綺麗な虹を観測しました。ちょうど渋滞もあったので観測にはもってこい。おまけに虹の輝度は高くなり最終的にはダブルリング。いやぁ、良い目の保養をさせてもらいました。被害に遭われた方には・・・のんきな事を言ってごめんなさい。

 さてフェイスブックにはすでにアップしておりますが、朝日新聞の記事で医療職紹介シリーズというのご存知でしょうか?第8回目は臨床検査技師。それも単なる紹介ではなくって、患者さんが臨床検査技師に配慮する点等書かれており、非常に面白い内容となっています。しかし面白いとばかりも言ってもおられず、臨床検査技師のコミュニケーション下手が見事に露呈しています。患者さんにこんな気なんて使わせたくねぇよなぁなんてこと感じましたけど、皆さんはどのよに受け止められましたか?


医療職種紹介シリーズ8 「臨床検査技師」 朝日新聞 8/27 (一部引用)
 
http://apital.asahi.com/article/nob/2013082700008.html
 病院などの医療現場で働く医療者紹介の第8回目は「臨床検査技師」。
 「臨床検査技師等に関する法律」によって定められた国家資格です。前回は、臨床工学技士でしたから、名称はなんとなく似ていますね。
 この「臨床」という言葉は、一般社会ではなじみがない単語ですが、医療の世界で当たり前に使われており、医療の最前線で患者と接している現場といった意味合いになります。つまり、臨床検査技師とは、患者がいる現場で、検査に携わる専門家ということになります。
 患者からすればお会いするのが病院だけですから、病院で働いているイメージが強いでしょうが、検査専門会社や製薬企業の研究所などにも少なからずいます。
 病院においては、血液検査、尿検査などでデータを測る、エコー検査や心電図検査室で検査するといった仕事がメインであり、これらの医学的な情報を的確に測定することで、医師の診断をサポートしている職種です。
 さて、ここは患者道場。患者としては、臨床検査技師の方とどう接すればいいでしょうか?



 さて前置きはこれくらいにして、長い本題に移ります。

 シャガース病という病気ですが、恥ずかしながら先月ニュースに発展するまで知りませんでした。実際自分で調べてみて、あっ、その病気なら聞いたことがあるような、ただ記憶は定かでないけどと思い出したのが、バチスタ手術について調べた時。元々バチスタ手術はブラジルでシャガース病による心肥大に対しての縮小術だったんですね。

 ということで興味を持ったということと、情報が少ないということはいたずらに不安を掻き立てるということもありますので、出来る限り多くの記事を集めてみました。


シャーガス病(アメリカトリパノソーマ病)とは (一部引用)
 
http://www.forth.go.jp/keneki/kanku/disease/chagas%20disease.html
[流行地]
 シャーガス病は寄生性の原虫であるクルーズトリパノゾーマによる感染症で、おもに中南米でみられます。
[感染経路]
 家の土壁、屋根、天井、マットレスなどに生息しているサシガメ類昆虫の糞に含まれるトリパノソーマが粘膜、眼瞼結膜、皮膚刺咬部から体内に侵入することで感染が成立します。就寝中、知らないうちに感染していることがほとんどですので、注意が必要です。また、汚染された飲食物を摂取することによる経口感染、輸血や臓器移植による感染例も報告されています。
[潜伏期]
 感染成立後、数週間後に発症します。感染者の約25%は数年~数十年後に慢性期症状(不整脈、心筋症消化器症状など)を発症すると考えられます。
[症状]
 原虫の侵入した部位の腫れや炎症、リンパ節腫腸で始まり、発熱、肝脾腫に進行し、一部の患者は急性心筋炎・髄膜脳炎で死亡することもあります。さらに数年後、20~30%の患者に、慢性心筋炎(不整脈→突然死も)、巨大食道(嚥下障害→栄養失調・誤嚥性肺炎)、巨大結腸(便秘、腸捻転)などが起きることもあります。


 今回騒動となった発端はこのようなニュースからでした。また誤解をされている方もおられるかもしれないので触れておきますが、サシガメに刺されたときに感染するのではないようで、糞の中に原虫(トリパノソーマ・クルージ)が存在するようです。この原虫が傷口から入り込むことや、糞の付いた手で目をこすったりしたときに粘膜から感染することもあるそうです。


国内初のシャーガス病、10人に輸血か 陽性男性と連絡取れず 産経新聞 8/14 (一部引用)
 
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130814/bdy13081422460003-n1.htm
 中南米の感染症「シャーガス病」の抗体陽性が国内で初めて確認された男性と現在、連絡が取れない状態であることが分かった。厚労省と日赤は国籍を明らかにしていない。
 男性は平成18年ごろから日赤がシャーガス病対策を始めた昨年10月までの間に少なくとも9回献血、日赤が保存している男性の血液を調べたところいずれも抗体陽性だった。6月の献血は血液製剤メーカーや医療機関への出荷を差し止めたが、過去の献血を基につくられた血液製剤11本が8医療機関で10人程度の患者に投与された可能性があることが判明。厚労省と日赤は患者の特定や感染の有無の調査を進めている。



献血で「シャーガス病」陽性 国内初、輸血患者を調査 産経新聞 8/14 (一部引用)
 
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130814/bdy13081421300001-n1.htm
 厚生労働省と日赤は14日、中南米生まれの40代の男性が献血した血液の検査で、中南米の感染症「シャーガス病」の抗体陽性を国内で初めて確認したと発表した。この血液は、血液製剤メーカーや医療機関への出荷を差し止めた。
 ただ、男性は平成18年ごろから、シャーガス病対策が始まった昨年10月までの間に少なくとも9回献血していたことが判明。これらの血液を基にした血液製剤11本が8医療機関で10人程度の患者に投与された可能性があり、厚労省と日赤は投与された人の特定や感染の有無を調査している。



献血の血液に中南米の感染症 10年後に心臓に影響も 朝日新聞 8/14 (一部引用)
 
http://digital.asahi.com/articles/TKY201308140417.html
 中南米に多く、重い心臓病につながるおそれがある「シャーガス病」感染者による献血が国内で初めて確認され、14日、厚生労働省の審議会で報告された。献血した男性の血液が約10人の治療に使われた恐れがあり、厚労省と日本赤十字社は感染の有無について調査を始めた。さらに対策が必要かどうかも検討する。


シャーガス病 初の陽性 献血した中南米男性 感染者の有無調査 東京新聞 8/15 (一部引用)
 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013081502000153.html
 厚生労働省と日赤は十四日、中南米出身の四十代の男性が六月に献血した血液の検査で、中南米の感染症「シャーガス病」の抗体陽性を国内で初めて確認したと発表した。
 男性はこれまで、二〇〇六年ごろから日赤がシャーガス病対策を始めた昨年十月までの間に少なくとも九回献血し、日赤が保存している男性の血液を調べたところいずれも抗体陽性だった。
 六月の献血は血液製剤メーカーや医療機関への出荷を差し止めたが、過去の献血を基につくられた血液製剤十一本が八医療機関で十人程度の患者に輸血された可能性があることが判明。厚労省と日赤は患者の特定や感染の有無の調査を進めている。



 この情報だけでは混乱する方もおられるとのことで、一昨日、追加記事が出されています。


日本でのシャーガス病を考える(上) 朝日新聞 9/3 (一部引用)
 
http://apital.asahi.com/article/story/2013090200011.html
 中南米出身の男性が今年の6月に献血した血液から、日本国内で初めてシャーガス病の抗体が検出されたことがニュースになりました。同じ方から2006年から2012年10月にかけて少なくとも9回の献血が行われており、この方の血液をもとに作られた11本の血液製剤が約10人の方に投与された可能性があると報道されています。
 これまでの記事を読む限り、シャーガス病についての情報はまだまだ少なく、なかにはいたずらに不安感をあおりかねない内容のものもあります。今あるニュースからの情報だけでは問題の本質が見えにくくなっていると感じたため、シャーガス病についての説明を加えるとともに、今回の献血検体の抗体陽性の事例について考えたいと思います。
 シャーガス病は、アメリカ・トリパノソーマ病とも呼ばれている病気で、トリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)という、中南米に広く存在する寄生虫によって引き起こされます。トリパノソーマ・クルージは、サシガメという昆虫を介して、人間を含む150種類以上の動物に感染します。ひとくちにサシガメといってもその種類は多く、シャーガス病を媒介するものは米国南部から中米・南アメリカにいる吸血性のサシガメで、日本にいるサシガメを介した感染は知られていません。
 この虫は人の血を吸う時に糞をすることがあり、その糞の中にいる原虫が傷口から血液の中に入りこむことが、シャーガス病の主な感染経路です。子供などが、糞がついた手で目をこすり、目の粘膜から感染することもあります。この場合は、テレビで報じられたようなロマーニャ徴候と呼ばれる特徴的なまぶたの腫れが生じることがあります(よって、こうしたまぶたの腫れは、輸血で感染した場合には起こりません)。
 サシガメを介さない感染経路としては、妊娠している女性から胎児への感染、臓器移植による感染、そして今回問題になっている輸血による感染などが知られています。慢性感染者とのキスや性交渉、日常生活における接触では感染することはまずありません。


日本でのシャーガス病を考える(下) 朝日新聞 9/3 (一部引用)
 
http://apital.asahi.com/article/story/2013090200012.html
早く体制の整備を
 シャーガス病は、日本ではあまり知られていない感染症ですが、世界にはラテンアメリカを中心に推計800万人から1000万人の感染者がおり、WHOが「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Disease)」の一つとして重要視している疾患です。例えば、メキシコでは0.5~1.5%の人が慢性感染しているという報告があります。ブラジル人のシャーガス病の抗体陽性率は過去の研究では約4.2%、児童を対象とした最近のある調査では、0.1%以下となっており、地域によってもばらつきがあります。
 以前シャーガス病はラテンアメリカの住環境の整備されていない農村部や貧困地域に多く、先進国ではあまり問題とされてきませんでしたが、近年ラテンアメリカからの移住者が増えたため、米国やヨーロッパにも多くの感染者が住んでいます。移民の多い米国には、現在30万人から100万人の感染者がいると推計されています。よって、シャーガス病は先進国においても決して非常に稀な疾患ということではありません。
 シャーガス病が輸血を介して感染することは何十年も前から、中南米諸国で報告されており、近年ラテンアメリカからの移民の増加を受け、イギリス、米国、カナダ、スペインなどでは、輸血から感染の危険性を考慮し、献血検体に対するトリパノソーマ・クルージの抗体検査が開始されていました。イギリスでは1998年より、感染のリスクがある献血者に対して抗体検査が行われており、スペインでも2005年から抗体検査が開始されています。カナダでは2009年より、中南米への長期滞在歴がある、又は中南米で生まれた献血者からの検体は、血小板製剤には使用しない方針をとり、2010年より抗体検査が導入されています。米国では2007年から、全国的に抗体検査が開始され、現在までに約1900の献血検体が抗体陽性であったと報告されています。
 日本には、数年前まで37万人以上、現在でも26万人以上のラテンアメリカ出身の方が暮らしています。日本にいるラテンアメリカ人の数は、イギリスにいる数よりも多く、カナダにいるラテンアメリカ人の数が日本を越えたのはつい数年前のことです。これは日本が、出入国管理及び難民認定法を1990年に改定し、単純労働者の獲得のために積極的に日系のラテンアメリカ人の方を受け入れてきたからです。



 これまで本感染症に対する治療としては、急性期にしか対応できず、慢性期に入った場合には、対症療法、とされていましたが、新薬開発が進められそうです。


南米に多い難病、群大が治療候補物質を発見 米誌に論文掲載 朝日新聞 9/2 (一部引用)
 
http://apital.asahi.com/article/local/2013090200010.html
 群馬大は6日、南米を中心に約1600万人が感染しているとされる「シャーガス病」の治療薬の候補物質を発見したと発表した。日本での感染例は確認されていないが、新薬開発に向け、外資系製薬会社などの提携先を探している。
 候補物質は、群大の嶋田淳子・大学院教授、久保原禅・生体調節研究所准教授らのグループが発見。東北大グループの協力も得て、粘菌由来の「DIF誘導体」が治療薬として臨床応用できると突き止めたとしている。米国の薬学系専門誌「バイオケミカル ファーマコロジー」の1日付に論文が掲載されたという。


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