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20130904-667号 鳥インフルエンザ最近の情報 [kensa-ML NEWS 【特集】]

皆さん、こんにちは。神戸の新井です。

 台風17号改め温帯低気圧と秋雨前線の影響による不安定な天候により、全国各地に被害をもたらしていますが、皆さんの所では如何でしょうか?ご無事でしょうか?特にこれから影響を受けると予想されている地域の方々におかれましては、十二分にお気を付け下さい。こちら神戸は風雨[雨]とも強くなってきました。雷[雷]も轟いています・・・

 今日は神戸大学医学部保健学科において、臨地実習指導者会議が開催されますので私も出席してきます。指導者(と私がいうにはお粗末すぎておこがましいのですが)というものは、良い人材を確保する、またその人材を人財に変えていく使命があると思います。技師長協議会会合でも、様々な大学との連携を強固にする使命が我々にはあるので、積極的な取り組みをお願いしたい、と発言しているのですが、満足できる状態というには程遠いと思います。臨地実習は良いネットワークを構築するためにも、広義で臨床検査部門の活性化のためにも、人財を育てるためにも、その第一歩となるものですから、指導にあたられる方々は自覚と責任感を持って臨んでもらいたいものです。「感動とは、感じて動くこと」。実習生の方々が自発的に能動的に実習に臨み、臨床現場で多くの感動を味わってもらえることを願っています。


 さて我々国立病院機構グループ施設のニュースを2件ご紹介します。本邦で現在も将来も大きな課題である、周産期医療と救急医療。こういったいわば経済的にメリットの少ない医療を地域と連携してますます充実させてもらいたいものです。地域医療の密接に関わっている我々に対し、素晴らしいアイデアをいただいた気がします。


国立佐賀病院を周産期医療センターに再指定 佐賀新聞 9/3 (一部引用)
 
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2544163.article.html
 佐賀県は1日、佐賀市の国立病院機構(NHO)佐賀病院をリスクの高い妊産婦を受け入れる「総合周産期母子医療センター」に引き続き指定した。今後も県内の周産期医療の中核として、高度の母体、新生児医療を24時間体制で提供していく。
 医療センターは、合併症のある妊婦や低出生体重児などリスクの高い患者を受け入れる施設で、国の指針に沿って都道府県が指定する。「母体胎児集中治療管理室(MFICU)6床以上」「新生児集中治療管理室(NICU)9床以上」の基準があり、県は2010年8月、NHO佐賀病院を初指定した。
 初指定に関しては約3年間の有効期限を設けたが、今後は病院側が辞退しない限り、指定の効力は無期限で続く。再指定により、診療報酬の優遇措置やNHOの助成金を引き続き受けることができる。

ドクターカー本格運用 高崎総合医療センターで9日から 産経新聞 9/3 (一部引用)
 
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130903/gnm13090302150003-n1.htm
 独立行政法人国立病院機構高崎総合医療センター(石原弘院長)は9日から、高崎市等広域消防局と連携し、医師が同乗し、現場に出動させる緊急自動車、ドクターカーの運用を始める。市などによると、病院による運行は全国約30カ所で行われているが、県内での本格運用は初めて。(萩原淳子)
 ドクターカーは救急現場で早期に治療を始めることで患者の救命率向上や後遺症の軽減を図る目的で導入。医療機器や無線機を装備し、緊急自動車指定を受けた車に医師や看護師、さらに患者情報を収集して医師に伝達する指令係が乗務する。同消防局が管轄する高崎、安中両市内の原則20分以内で到着可能な場所を目安に出動する。
 市などによると、現状では救急搬送の通報受信から救急車が患者のもとに到着するまでの平均時間は8分50秒。しかし、患者受け入れの医療機関を決定、患者が搬送先に到着するまでの平均時間は通報から約35分かかっているという。
 同センターが実施するドクターカーは、心臓疾患など生命に関わる救急患者で、より迅速な措置が必要と判断された場合に消防が専用電話でセンターに出動を要請。救急医が同乗した車が現場に向かい、患者を収容した救急車と出先のポイントで合流する「ドッキング方式」で運用する。
 当面、平日午前9時から午後5時までで対応し、医師はセンターの救急医5人のうち10年以上の経験を持つ荻野隆史医師(49)と福江靖医師(46)の2人が交代であたる。運転は指令係と兼務で消防局OBら2人を雇用した。


 さて本日の特集記事。先日、以下の記事が出ていたので、関連記事を集めてみました。

鳥インフル:H7N9型ワクチン開発に着手へ 毎日新聞 9/2 (一部引用)
 http://mainichi.jp/select/news/20130902k0000e040121000c.html 
 厚生労働省は2日、中国で感染が拡大した鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)のワクチン開発に着手する方針を固めた。H7N9型が、人から人に容易に感染する新型インフルエンザへ変異することに備え、メーカーに開発を依頼する。試験的に少量を製造してもらい、年明けから動物を使った試験を実施。早ければ来年度から生産できるよう準備を進める。
 ワクチン製造に向け厚労省の国立感染症研究所は6月、英国からワクチン製造に用いるウイルスの株を輸入。7月には感染研もワクチン用の株を独自に開発した。
 厚労省は8月下旬、国内メーカーに2種類の株を無償で分与。どちらの株がワクチンに適しているか検討してもらった上で製造を始めてもらう。H7型はワクチンを接種しても免疫ができにくいとの報告もあり、動物試験に時間がかかる可能性もある。現在、ワクチンの大量生産や備蓄について計画を公表している国はない。

鳥インフルH7N9ワクチン開発へ 試験用は年内にも 朝日新聞 9/2 (一部引用)
 http://apital.asahi.com/article/news/2013090200004.html
【阿部彰芳】中国で人への感染が広がった鳥インフルエンザH7N9について、厚生労働省は2日、ワクチン開発を進める方針を決めた。H7N9は今年、患者が確認されたばかりで、有効なワクチンがない。将来、大流行した場合に備え、試験的に作って安全性や効果を確かめることにした。
 厚労省専門家会議で了承され、メーカーに協力をあおぐ。ワクチンのもとになるウイルス株は8月下旬からメーカーに提供しており、早ければ年内にも試験用のワクチンを作り、年明けに動物実験を始める。
 H7N9は今年2月に初めて患者が見つかった。世界保健機関(WHO)によると、8月11日までに中国と台湾で135人報告され、死亡は44人。報告数は4月下旬から減少し、7月の2人を最後に患者は確認されていない。


 ウィルスのワクチン開発はいたちごっこで作っても作ってもきりがないところは皆さんもご存知かと思います。かといって放っておくこともできないし、以下のような理由で開発せざるを得ないのですね。

鳥インフル:H7N9型、日本人は抗体なし…東大など解明 毎日新聞 7/11 (一部引用)
 http://mainichi.jp/select/news/20130711k0000m040103000c.html
 今春から中国で感染者が相次いだ鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の特徴を、さまざまな哺乳類を使った実験で解明したと、東京大などのチームが10日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に発表する。日本人は感染や悪化を防ぐための抗体を持っていないことも判明した。チームの河岡義裕・東京大教授は「パンデミック(大流行)を起こした場合、肺炎患者が増える可能性がある」と指摘する。
 H7N9型ウイルスは、遺伝子解析から、ヒトの細胞に感染・増殖しやすい特徴があると予想されていた。
 チームは、上海市と安徽省で見つかった最初の2人の患者から採取したウイルスで、哺乳類のフェレットやマウス、サルなどに感染させた。


 抗体を保有していないので、もし感染拡大した場合、免疫力の弱い方を中心に死者多数なんてことになりかねないです。では、このH7N9型の発生経路や特徴について以下記します。あともう少ししたら神戸大学に出向かないといけませんので、細かいコメントについては差し控えます。ではまた。


質問なるほドリ:中国の鳥インフルの特徴は? 毎日新聞 4/18 (一部引用)
 
http://mainichi.jp/opinion/news/20130418ddm003070151000c.html
◇ヒトの細胞にくっつきやすい性質
 なるほドリ 中国でヒトへの感染が問題になっている鳥インフルエンザウイルス「H7N9型」は、どんな特徴があるの?
 記者 国立感染症研究所(こくりつかんせんしょうけんきゅうしょ)などによると、これまで知られていなかった新タイプのウイルスです。中国の浙江(せっこう)、江蘇(こうそ)両省でニワトリから検出されたウイルスと浙江省のカモ、韓国の野鳥のウイルスの遺伝子計3種類が混ざっていました。鳥インフルエンザウイルスはヒトに感染しにくいのですが、今回は表面がヒトの細胞にくっつきやすい性質に変わり、鳥の体温より低いヒトの鼻からのどでも増えやすい特徴がありました。
Q 患者は、鳥からうつされたの?
A 感染源は今も分かっていません。中国の農業省などによると、上海(シャンハイ)市の市場で売られていたハトから患者のウイルスとそっくりな遺伝子のウイルスが見つかりました。他に、浙江省杭州(こうしゅう)市の露店街のウズラなどからH7N9型のウイルスが見つかっています。ただし、鳥インフルエンザは豚などを介してヒトにうつることもあり、鳥が感染源とは断定できません。
Q これまで、鳥インフルエンザがヒトにうつったことはあるの?
A たくさんあります。H5N1型は各地で報告されています。97年に香港(ホンコン)で初めてヒトへの感染が確認され、厚生労働省によると、03年以降(今年3月15日まで)は15カ国で計622人が感染、うち371人が死亡しています。

中国の鳥インフル どう考える? どう備える? 朝日新聞 4/4 (一部引用)
 
http://apital.asahi.com/article/takayama/2013040400002.html
 3月31日、中国の国家衛生計画出産委員会はWHOに対して、国内でインフルエンザA/H7N9に3人が感染したと通知しました。これらはヒトへのA/H7N9感染が確認されたの最初のケースになります。
 通知によると、上海市の男性2人と安徽省の女性1人で、2月19日から3月15日のあいだに発熱、咳などで発症し、やがて重症肺炎に発展したということです。現在までに9人の感染が確認され、3人が死亡しています。
 中国の疾病対策センター(CDC)によって3月29日に亜型の同定が試みられましたが、A/H3N2、A/H1N1pdm09、A/H5N1のいずれもが陰性であったことから、さらにシークエンスを検討したところA/H7N9であることが判明したようです。
 また、遺伝子の一部がヒトに感染しやすく変異していることまでは確認されていて、ヒトからヒトへの感染が発生していないか(つまり新型インフルエンザの流行がはじまっていないか)、これから注意深く監視してゆく必要がありそうです。
 報道によると、この遺伝子変異の分析をしたのは、日本の国立感染症研究所のようです。中国当局から、発生しているウイルス遺伝情報の提供を受け、その配列を分析したということです。
 分析したのは、はじめに感染が確認された上海市の男性2人と安徽省の女性1人から分離されたウイルスで、いずれもウイルスの増えやすさを決める特定の遺伝子が、ヒトの細胞の表面に感染しやすく変異していたとしています。
 また、注目すべきは、上海市と安徽省の患者それぞれから分離されたウイルスにおいて、遺伝子の変異した部位の配列が一致していたということです。これはウイルスが広範囲に拡がっている可能性を示唆していると思います。ただ一方で、広範囲で発見されているのに孤発例ばかりで集団発生を認めておらず、(SARSのように)医療従事者の感染事例が報告されていないことから、それほど感染力は有していないだろうと私は思います。
 これらの情報を総合して考えると、かなり前からA/H7N9は発生していて、じわりじわりと拡がっていたのでしょう。それに気づいたのが先月だったというだけです。しばらくは、発掘するかのように報告が続くでしょうが、どこかで報告数が頭打ちになるはずです。そうならなければ……、それはウイルスがヒトへの適合性を獲得したということ。つまり、本格的な新型インフルエンザの発生となります。
 個人的には、いまだ正体の見えないA/H7N9のアウトブレイクよりも、むしろ、中国が国内の感染症情報を迅速に公開し、さらに遺伝子情報を日本の研究機関に渡したことに驚きました。というのも、この方面についての中国の隠ぺい体質には、かなり定評があったからです。SARSの教訓に学んで危機管理体制が適正化していたのか、あるいは新政権のなかで情報公開への決断がみられたのか、はたまた隠しきれないほど拡大している事実について掌握してしまったのか……。
 いずれにせよ、せっかくの中国からの情報提供について、一部のPM2.5報道にみられるような「今度はインフルかよ。まったく迷惑な話だ」といった低レベルな反応を返すのではなく、「よくぞ迅速に情報公開してくれた」と謝意を伝える姿勢が日本人には必要です。また、絶対に中国人観光客を忌避するような行動をとってはいけません。これは胸襟を開きかけた中国の姿勢に泥をすりこむ行為です。最悪の場合、今後、日本だけが情報をもらえないということにもなりかねません。
 今回、ウイルスのゲノム配列を世界に先駆けて日本が現地からもらえたことは極めて貴重なことなんです。どれくらい貴重かというと、確定診断のためのPCRプライマーを世界に先駆けて開発できて(2009年に北米からゲノムを入手するのにどれだけ苦労したか……)、抗インフルエンザ薬の耐性遺伝子の有無を世界に先駆けて確認できて、さっそくパンデミックワクチンの開発準備が始められるぐらい貴重なんです。パンデミック対策においては、こういう水面下の情報交換/協力関係というのが極めて大切ですから。
 さて、一昨日(4月2日)、WHOはホームページ上でFAQを公開していますが、「ヒトからヒトへの感染を起こしたとする証拠はない」としています。ただし、「起こしていない」と断言することもできないので、現在は調査中であるということです。それ以上、これといった新情報は公式には出ていません。
 やっぱりヒトからヒトへの感染のしやすさを測りうるのは、試験管ふって遺伝子の変異があるかどうかを論ずるよりも、実際に患者と接してきた家族や医療従事者への感染があったかどうかだと思います。そして、いまのところWHOは「水平感染を確認していない」と繰り返し強調しています。


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