SSブログ

120518-660号 シマウマ探しにならないために [kensa-ML NEWS 【情報】]


 皆さん、こんばんは。神戸の新井です。

 実に約3か月ぶりくらいの配信になります。まぁとにかく忙しいの毎日で、気が付けば5月も半ばを過ぎてしまっています。学会演題のエントリーもせなアカンし、研究報告書も作らなアカン、毎日の事務仕事もせなアカン、週末は家族を放置し野球小僧たちと戯れなアカン、せなアカンことだらけですが、まぁ何とか元気にやっております。肌の色も今のところは程よくこんがり焼け、あと1か月も経てば日本人と思われなくなるかと思います。とにかく白衣の白さが際立つのですねぇ・・・(^^;

 医療関連メールニュース、医療系ブログの方は約3か月ご無沙汰なのですが、少年野球系ブログとフェイスブックへは投稿を続けています。少年野球系ブログは会員限定のため、関係者しか見ることが出来ませんが、フェイスブックはご覧いただけます。今後、雑多情報を掲載していこうかと思っていますので、友達申請していただければ、と思います。
 
https://www.facebook.com/gamdango
 また今後、現在配信しているメールニュースや、ブログなどとフェイスブック、ツィッターなどの併用は非常に無駄が多いと思いますので、どこかに集約しようかと考えています。どうしたら良いものか悩んでおりますので、良い知恵をどなたかいただければ・・・


 さて本日は、コラム関連、金環日食の話題、医療関連ニュースへと進んでいきますが、まずは先日、返還40周年を迎えた沖縄の話題から・・・

 「恥」という文字を知らない方が世の中いたるところにおられるようで、その方々が非常に迷惑な影響ビームを善良な方々へ降り注いでいるといった構図を良く見かけます。政界のみならず身近なところにいっぱいあることを皆さんも体感されているのではないでしょうか?。このようないわゆる「恥知らず」は「識」の欠如と大きな関連性があり、その結果、人罪たるものを生み出します。何度かこのメールニュースでも取り上げてきましたが、ちょこっと触れておきます。

「識」の入っている用語
 意識、学識、鑑識、眼識、見識、常識、知識、認識、良識、胆識、見当識
 旧識、相識、面識
 識語、標識

 いずれも非常に大切なものばかりです。また「識」を喪失することで発生してくるものが「罪」、まさに人罪です。「じんざい」にもいろいろあります。

「じんざい」
 人材・・・まだ海のものとも山のものとも分からない材料。
 人財・・・組織や社会に利益をもたらし、財産と言える人。ある意味、スーパージェネラリスト。
 人在・・・いるだけの人、または何をしているか良く分からないが存在感だけは大きな人。
 人才・・・組織トップの器ではないが、豊かな才能を持った知恵者。ある意味、スペシャリスト。
 人罪・・・とにかく無意識に罪を生み出す人。意識的に罪を生み出せば犯罪行為。
 人座位・・・ただ単に座っているだけで存在感もない人。


産経抄 5月17日 男にこそ必要な「恥を知る」
 
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120517/plc12051703090003-n1.htm
 「恥を知れ」を校訓としている学校がある。東京都千代田区に本部を置く大妻女子大学である。女性だけではない。男性にこそ必要な言葉だ。自民党の野中広務元官房長官はそう考えているに違いない。
▼「男は恥を知るものだ。のうのうと沖縄に来て、県民に泥をかけるのか」。沖縄復帰40周年の記念式典会場で、鳩山由紀夫元首相を見かけて、苦言を呈したという。きのうの読売新聞が報じていた。
▼野中氏の怒りは理解できる。自民党政権下で進められてきた、米軍普天間飛行場の移設のための話し合いを台無しにしたのが、鳩山氏だ。衆院選前の沖縄で訴えた、「最低でも県外(移設)」の公約は、今から振り返れば詐欺に等しい。
▼案の定、政権奪取後その舌の根の乾かぬうちに自らの主張を撤回して、移設先を名護市辺野古地区とする日米合意を結んでいる。その後も、日米同盟を維持しながら、地元の負担を少しでも軽くしようと奔走する人たちを、愚弄するような発言を続けてきた。
▼今回も鳩山氏は「のうのう」と沖縄を訪れただけではない。「『最低でも県外』という気持ちを果たさなければ、沖縄の皆さんの気持ちを十分理解したと言えない」。宜野湾市での講演で、首相時代の決定を再び覆してしまった。外務省の中止要請を振り切って、イランを訪問し、まんまと利用されて帰ってきてから、まだ1カ月ちょっとしかたっていない。

⇒ 続きはこちら


 この方こそ、裸の王様という称号が本当にふさわしい! 「識」の欠如している様子が良く分かります。

 さてこのようなくだらない話題はこのくらいにして・・・

 いよいよ世紀の日食が迫ってきましたね。この日を心待ちにしていた方も多いと思います。私も楽しみにしているのですが、心配はお天気。月曜日、世紀の天文ショーを見せてもらいたいものですね。


毎日新聞社説:金環日食 宇宙のドラマ楽しもう 5/16
 
http://mainichi.jp/opinion/news/20120516k0000m070106000c.html
 太陽が月に隠されてリング状に輝く金環日食が21日朝、九州南部から福島県南東部にかけての太平洋側を中心に観測できる。日本でこれほど広範囲に観測できるのは932年ぶりで、該当地域の居住者は約8300万人に達するという。それ以外も部分日食が見られる。次に金環日食が日本で観測できるのは18年後、しかも北海道だけだ。天文現象の中でも最もドラマチックとされる日食を存分に楽しみたい。
 日食は地域が西側になるほど早く始まる。金環日食となるのは午前7時半前後だ。通勤、通学時間帯に重なるため、登校時間を早めて観測会を開いたり、振り替え休日にする学校もある。科学や自然に親しむきっかけになるだろう。金環日食がぎりぎり見る地点を観測で見極め、より正確な太陽の直径を割り出そうというキャンペーンが計画されているが、これに参加するのも面白い。
 日食に合わせ、東日本大震災で被災した子供たちを元気づけようという取り組みもある。天文関係者のグループが寄付を募り、福島県沿岸部(浜通り)の小中高校を中心に日食観測用の遮光シート6万人分を配布した。学校の先生向けに、観測説明会も開ている。
 太陽の光があってこそ、地球上のさまざまな生命も存在できる。その光が織りなすドラマは、被災者の心も温めてくれることだろう。
 注意したいのは観測方法だ。金環日食の最中も含め、たとえ瞬間的であっても太陽を裸眼で直視してはいけない。最悪の場合、失明の恐れがある。黒い下敷きやすすを付けたガラス、感光したネガフィルムを使うのもだめだ。目に見えない有害な光がカットできないからだ。必ず日食用の専用グラスや専用遮光シートを使おう。ピンホールカメラの原理を使って太陽の像を投影するなど、間接的な観察方法ならより安全だ。
⇒ 続きはこちら


金環日食:21日朝、8300万人観測可能 起こる仕組み、歴史、安全な観察方法紹介 毎日新聞 5/17
 
http://mainichi.jp/select/news/20120517mog00m040005000c.html
 月が重なり太陽がリングのように輝く「金環日食」が21日朝、九州南部から東北南部までの太平洋側の広い地域で見られる。日本では1987年9月に沖縄で観測されて以来25年ぶりとなるうえ、東京では173年ぶり、大阪では282年ぶり、名古屋では932年ぶりだ。8300万人が楽しむことができる今年最大の天文ショーに期待は高まるが、太陽の光は強烈で、正しく観測しないと目に重い障害が残ることも。日食が起こる仕組みや歴史、専門家が薦める安全な観察方法を紹介する。【斎藤広子、鳥井真平】
◇真東の空リングきらり
 21日の金環日食は、中国南部の海南島付近で日の出とともに観測され始める。見える場所はここから東の方角へ移り、香港や台湾を経て、日本へと近づいてくる。
 日本では九州南部でスタート。四国、近畿、東海、関東と続いていく。それ以外のほとんどの地域でも太陽が大きく欠ける「部分日食」を見ることができる。国立天文台助教の相馬充さんによると、今回のように日本の広い範囲で金環日食が見られるのは、なんと平安時代末期の1080年以来という。
 21日は平日の月曜日だが、日本で金環日食になるのは午前7時半ごろ。多くの人は学校や仕事を休まなくても済みそうだ。
 金環日食はどんなふうに進むのか。東京を例にシミュレーションしてみよう。
 国立天文台の暦計算室によると、当日の日の出は午前4時32分。太陽は普段と同じように丸い姿で水平線から上がってくるが、20度の高さまで上がる午前6時19分、右上からじわじわと欠け始める。金環日食になるのは、ほぼ真東の方角で35度の高さになる午前7時31分。それから約5分間、自然が作り出す「太陽のリング」を堪能できる。この後は太陽の右上から元の形に戻り始め、午前9時2分、ショーは終わりを告げる。時刻に差はあるが各地で同じような見え方になるという。
 太陽が完全に隠される「皆既日食」は周囲が夜のように暗くなる。では金環日食ではどうなるのか。これまで3回観察したという月刊星ナビの川口雅也さん(52)によると、「暗くはならないが、太陽の欠ける割合が大きくなるにつれ、周りの景色が薄暗く少し灰色がかって見えてくる。気温も下がるかも」。
 どんな場所で待っていればよいのか。
 川口さんは「せっかくの日食が建物に邪魔されないように、午前7時半の時点で太陽がどこの位置にあるのかを今から確認しておくことです。事前にできるだけ東の空が開けた場所を探してみてください」と話している。
◇なぜ起きる?太陽、月、地球が一直線
 日食は、太陽、月、地球が一直線に並び、地球から見て、月が太陽の前を横切った時に起きる現象だ。太陽が月によって完全に隠される「皆既日食」になるのか、太陽の縁だけが残って金色に輝いて見える「金環日食」になるのかは、三つの天体の距離や大きさが関係している。
 太陽の直径は約139万2000キロあり、月の直径(3476キロ)の約400倍。一方太陽と地球との距離は約1・5億キロで、月と地球の距離約38万キロに対し、こちらもほぼ400倍だ。だから地球に住む私たちの目には、月と太陽はちょうど同じくらいの大きさに見えている。
 月は約27日間かけて地球の周囲を回っていて、その軌道は実はわずかに楕円(だえん)を描いている。
 地球に比較的近い位置で太陽を隠す時、月は太陽よりも大きく見えるため「皆既日食」になる。遠い位置にある時に重なれば、月の見た目は太陽より小さくなるために太陽を隠しきれず、今回のような「金環日食」になる。三つの天体の奇跡的な距離と大きさのバランスが、私たちに「皆既」「金環」「部分」というさまざまな日食を楽しませてくれているのだ。
⇒ 続きはこちら


 この「限界線」で見られる現象として、「ベイリービーズ」というものがあります。私が観測しようと考えているところは、限界線に近いので、上手くいけば見れるかもしれませんね。


ベイリービーズ
 
http://eclipse-navi.com/yougo/kinkan/beiriibiizu.html
 http://www.astroarts.co.jp/news/2012/04/24eclnav25/index-j.shtml
 イギリスの天文学者フランシス・ベイリーが1836年5月15日の金環日食を観測した際、欠け際ぎりぎりに月のクレーターから光がとぎれとぎれに漏れているのを見つけました。これを見て「輝くビーズの列のようだ」と表現したことに由来する現象がベイリービーズ(Baily's Beads)です。


 さてここからは医療関連ニュースとなります。本日は、金環日食の話題を長々とご紹介しましたので、本文を少し短く調整します。本末転倒(^^;

 まずは私が属している国立病院機構に関する記事をご紹介。

 平成26年4月より新法人制度への移行を決定したのですが、国立病院機構と労働者健康福祉機構の合併はないものとみて良いのですかね?
 そもそもその昔、国立病院は厚生省管轄、労災病院は労働省管轄であり、行政改革が積極的に行われた時代に厚生労働省となった経緯から、このようないびつなことになっています。しかし両機構の支えるべき医療の形態はそもそも異なるわけですから、それを無理やり一緒にしても無理でしょ?って話です。それぞれの特色を生かしつつ、経営基盤を安定させるとともに基幹病院としての機能を充実させるべき・・・正論ばかりでは通用しないことも分かっているのですが・・・


国立・労災病院の新体制に柔軟性求める声- 厚労省検討会 CBニュース 5/17
 
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37254.html
 全国144施設の国立病院と32施設の労災病院のそれぞれの運営母体を、2014年度に脱独立行政法人化する政府の方針を受け、新しい法人制度について議論している厚生労働省の検討会は17日、国立病院と労災病院の役割を整理した。新体制下に向けた課題は、どちらも地域医療と政策的な医療の両立。また、病院へのニーズは時代によって変化していくため、委員からは柔軟な体制作りを求める声が多く上がった。
 国立病院は、重症心身障害者や難病患者を積極的に受け入れており、重症心身障害者の入院数は、全国の約40%(10年10月時点)、筋ジストロフィー専門の病床数は、約96%(12年4月時点)を占めたという。また、公的な医療機関として、東日本大震災に被災を受けた地域へのDMAT(災害派遣医療チーム)派遣や、新型インフルエンザ発生時の検疫所への医師・看護師派遣を通じて、これまで緊急時に医療資源を提供してきた。
 一方、労災病院は、臨床現場から症例と患者の職業歴などのデータを蓄積。これを基に、労働と、アスベストやメンタルヘルス不調などの関係や、患者の職場への早期復帰についての研究も行っている。
 委員からは、国立・労災病院が、新しい法人体制の下でも、緊急時の医療資源の提供や、メンタルヘルス不調の研究など、国が政策的に求める医療の提供を担うべきとの意見が相次いだ。一方で、これまで以上に、周辺の病院と連携し、地域医療を支えることも重要との指摘が上がった。
 これについて、国立病院を運営する国立病院機構の桐野高明理事長は「われわれは、端的に言えば人間を診るが、政策医療だけしか必要のない人間はいない」とし、労災病院を運営する労働者健康福祉機構の上家和子理事は、「ある一定のレベルに達した医療がなければ、政策医療は当然できない」と述べ、地域医療と政策医療を両立したい考えを示した。

⇒ 続きはこちら


 関連するニュースを古いものですがもう一編。


国立・労災病院「脱独法化」へ検討開始- 厚労省、年内にも報告書 CBニュース 3/30
 
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36933.html
 厚生労働省は30日、「国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会」(座長=永井良三・東大大学院教授)の初会合を開き、国立病院を運営する国立病院機構と、労災病院を運営する労働者健康福祉機構の両独立行政法人について、2014年4月の新法人制度移行に向けた検討を始めた。13年の通常国会への関連法案提出を目指し、年内にも報告書を取りまとめる。
 この検討会は、1月に閣議決定された「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」で、両独立行政法人について「14年4月より新たな法人制度に移行する」とされたことを受けて設置された。
 主な検討事項は、▽社会や医療ニーズの変化に対応した病院運営▽法人の経営努力を促進する財政運営▽目標・評価▽国民目線での情報公開・発信―の在り方で、5回程度の会合を開いて議論を取りまとめる。

⇒ 続きはこちら

 

 さて本日のメインニュースに移ります。

 このニュースのタイトルを見て、「なんのこっちゃ?」と思われた方も多いでしょうね。この記事に書かれているように、医療関係者の癖というか、性(さが)というか、何と言っていいのか分かりませんが、どうしても難しい方へ、難しい方へ、と考える傾向にあるのがこの職種の特徴です。知識が多ければ多いほど、こういったピットフォールに落ち込むことが多い傾向にあります。パターンを多く知ってはいるが、その確率にまで頭がおよんでいない、実地経験の少ない方に良く見られる傾向ですね。
 我々検査技師でも同じ傾向にあり、実際の臨床現場で頭を捻り、知っている知識を総動員して考えれば考えるほど分からなくなってしまう、というのは良くあります。逆に知識が無さ過ぎて分からないということも・・・私が実際に長年携わってきた腹部超音波検査の経験を例に取り上げてみます。

 腹部超音波検査は、あくまでも「存在診断」であり「確定診断」ではないという原則のはずなのですが、にわか知識の多い方はどうしても「確定」したがる傾向にあります。我々臨床検査部門での「確定診断」とは「病理診断」を意味し、腹部超音波検査は「補助的診断」に過ぎません。例えば、画面上に腫瘍らしいものが見えたとする。その腫瘍が悪性であるのか、良性であるのか、質的判断はつくのか?ということになりますが、答えは「ノー」です。確率的に悪性である可能性が90%だとかいうことは出来ても確定はできません。あくまでも知識と経験に基づいた統計学的判断だと言えます。
 ですから「確定診断」してしまうことは知識を多くお持ちの方が陥りやすいピットフォールであり、危険なことだとも言えます。逆に知識と経験とを融合させ、「知恵」をお持ちの方は、確定的な診断を下さないと思います。この例として、超音波検査で「脂肪肝」というのは間違いであるということ。「脂肪肝」というものは臨床診断名であり、超音波診断名ではありません。肝炎が発生していることを二次的には指摘できても確定的には言えないはず。超音波診断名は「Bright liver」いわゆる肝臓の中に脂肪が浸潤している可能性が高い、ということになります。

 他に、検体検査などでは、全身検索検査をまず実施し、経過観察するための検査に移行、治療効果を判定するための検査に移行、といったステップを踏むのが当然のことですが、臨床現場において「末広がりの検査」となる「無駄」を良く見ます。これは要するに臨床検査への「知識不足」を露呈している結果と言えます。

 本日は長文記事になりましたので、「総合医」:専門性にこだわらず、全体的な視点から問題点の仕分けが的確にできるタイプの医師 の話題をご提供しませんでしたが、後日UPしようと思います。究極的には「総合力」が命だと言える、と私は確信します。


「この外来患者は帰していいか」が極意- シマウマ探しにならないために(上) CBニュース 5/12
 
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37168.html
 遠くから蹄(ひづめ)で走る音が聞こえたとする。まず思い浮かべるのは馬だが、ある人は、シマウマだと言う。医療現場で、患者を診察した際に馬(比較的多い疾患)でなく、めったにいないシマウマ(希少な疾患)を考えてしまう、シマウマ探し(looking for zebra)。若手医師が陥りやすい思考パターンで、確定診断までに遠回りして、結果的に余計な検査を繰り返し、患者に不安な思いをさせたりしてしまう。研修医指導のプロに、どうすればシマウマ探しを避けることができるかを聞
いた。(君塚靖)
■「有病率」概念が育たない医学教育
 若手医師がシマウマ探しに陥る要因の一つは、医学教育にあるようだ。学生時代の実習は、病棟での入院診療が中心であるため、頻度(=有病率)の概念が育っていないことだと指摘される。
 筑波大附属病院(茨城県つくば市)の前野哲博教授は、こう話す。
 「病棟の患者は、すでに確定診断がついて入院してくるわけですから、そのセッティングで実習していても、有病率の感覚は育ちません。例えば、胸が痛いと訴えて受診した症例報告の珍しい病気の患者を、ある研修医が病棟で担当したとします。そうすると、外来で胸が痛いという患者が来ると、みんな病棟で見たその病気ではないか、と考えてしまう。一度稀な病気を見たり聞いたりすると、どうしても『あれじゃないか』『これじゃないか』、とシマウマを探してしまいます」。
 確定診断に向けた鑑別診断リストを作成する上で前野氏は、患者の訴える「全身倦怠感」などのキーワードをきっかけに、病名について、最も可能性が高い「本命」、次に可能性が高い「対抗」、可能性は高くないが必ず押さえておくべき「穴馬」に分けて、病名をリストアップする。それを踏まえて、「緊急性:どれくらい急ぐか?」「重篤性:どれくらいヤバイか?」「有病率:どれくらいありえるか?」「治療可能性:どれくらい予後を変えうるか?」の4つの因子を使って絞り込むことになる。
■時間軸を使いトレンドを把握する
 前野氏は、シマウマ探しを避けるためには、有病率と重篤性、つまり「どれだけヤバイか」の掛け算(有病率×重篤性)をして、その程度により判断するという。
【シマウマ探しを避けるために】
・有病率×重篤性「どれだけヤバイか?」が高いか、もしくは一定以上あるか
・「待てるか(今、診断を確定する必要があるか)」を考える
 →時間軸を使うことで、トレンドを把握して
  精査を進めるべきか判断する材料にする
 「例えば、尿路結石の疑いでやって来た患者に対しては、大動脈解離を疑って、超音波(エコー)を当てなさいと研修医には教えています。有病率から考えると、大動脈解離である可能性は低くて、ほとんどが尿路結石です。でもなぜエコーを当てるかというと、もし大動脈解離だったら、非常に危ないからです」。
 さらに前野氏は、初回の診断で無理に病名を付けようとせず、時間軸を有効に活用することを推奨する。
⇒ 続きはこちら

 

シマウマ探しにならないために(下)- 「診断方法に決まった正解はない」 CBニュース 5/15
 
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37193.html
 東京慈恵会医科大(東京都港区)で後期研修1年目の光永敏哉さんは2011年9月、地域医療の研修で新潟県小千谷市にある片貝医院(根本忠院長)で本格的な外来診療を経験した。慈恵会医科大の地域医療研修は、全国の同大学OB・OG医師の下で学ぶのが特徴だ。
 光永さんは、診療所での研修を、実りの多いものだったと振り返る。
 「地域の診療所なので、子どもから大人、皮膚疾患から内科的疾患まで、あらゆる患者が来ます。19歳のおたふく風邪、水虫、魚の目だとかは大学病院では診ませんし、一般的な皮膚疾患だと大学病院では兼科依頼をして、皮膚科の医師が診ます。診療所に来るたくさんの患者を、テンポよく診療していくのは非常に難しく、勉強になりました」。
 光永さんは、風邪で来院した患者の例を挙げた。「一般的なウイルス性上気道炎か、細菌性溶連菌感染症なのか、など鑑別診断が難しかったです。肺炎が疑われる場合、大学病院では、特に高齢患者だと、入院も考慮して、早めにレントゲンやCTを撮ります。しかし診療所ではまず、きちんと聴診など身体所見を取った上で、その人のADL(activities of daily living)がどういう状態かを確認します。単に呼吸器の症状だけで、肺炎の疑いをキャッチするのは、難しかったです」。
 光永さんは、指導医を務めた根本院長から、高度な臨床センスを感じとった。患者を観察する力や幅広い知識、それに、患者の病態を時系列で追っていく、マネージメント力に驚かされたという。
 「根本先生は、見逃してしまいそうな、患者の足がつりやすいだとか、ちょっとした症状までとらえていました。のど痛で来院した患者に対し、何日後くらいには、せき、その後には、他の症状が出ると先を読んで、せき止めや痰切り薬などの処方について一緒に考えたりしました。臨床センスだと思います。先生から聞かされた、『患者の病気だけを診ずに、バックグラウンドまでを知るのがホームドクターだ』という言葉は忘れません」。
 光永さんは以前、腎臓内科を目指していたが、昨年3月の東日本大震災をきっかけに、救急外来医(ER医)になろうと決めた。「この10年、20年で、日本のER医の立ち位置を明確にし、アイデンティティーを確立したい」と意欲を見せる。
 研修医教育の経験が長い、武蔵国分寺公園クリニック(東京都国分寺市)の名郷直樹院長は、若手医師にシマウマ探しをする傾向があるのは、事前確率の概念に馴染んでいないからだと指摘する。
 事前確率とは、有病率と同義で、検査をする以前にどの程度、その病気の可能性があるかということだ。
 名郷氏は、こう説明する。
 「事前確率が低いと、どんなに優れた検査が陽性でも、偽陽性が多い。逆に、事前確率が高いと、良い検査で陰性が出ても病気の可能性は依然、残っていたりする。若手医師は、確率の低いものにとらわれ、検査の偽陽性にひっかかったり、あるいは確率が高いのに、検査が陰性だからといって、それを否定してしまったりだとか、そういうパターンに陥りやすい」。
 名郷氏は、インフルエンザを例に説明する。「インフルエンザの流行期は、ほとんどがインフルエンザなのです。つまり検査前の事前確率が高い状況です。確率が高い状況で、陰性という結果が出ても、大体は、インフルエンザだったりするのです」。
 少しでも臨床疫学的な考え方があれば、このパターンから抜け出すことができるのに、万が一の検査の結果に引っ張られ、次々と検査を続け、結果的に患者の不安をあおってしまうというのだ。

⇒ 続きはこちら


nice!(12)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康


[ひらめき] Facebook・・・友達リクエスト、フィード購読大歓迎
     https://www.facebook.com/gamdango
[ひらめき] Facebook・・・最新情報はこちら
       https://www.facebook.com/Project102.MT

 

[ひらめき] PADM(パダム):遠位型ミオパチー患者会へのご協力お願い [ひらめき]

    遠位型ミオパチーという病気をご存知でしょうか? 
    筋肉そのものに原因があって、筋力が低下する「ミオパチー」といわれる疾患の中で治療法が全くなく、
    体幹部より遠い部分から徐々に筋力が低下していく非常に重い筋肉の進行性難病です。
    100万人に数名といわれる希少疾病ですが、2008年に「遠位型ミオパチー患者会」が発足しました。
    この患者会のみならず遠位型ミオパチーという病気をより多くの方々に認知していただき、一人でも
    多くの方々に賛同していただき、患者会の目標を達成することが目標です。その一つに「難病認定」
    があります。この「難病認定」のためには「署名活動」が必須であり、皆さんのご協力が必要です。
    宜しくお願いいたします。        
          http://enigata.com/index.html


    人気ブログランキング   臨床検査ランキング   Ameba_banner.jpg

人気ブログランキングにほんブログ村ランキング(臨床検査)に参加しています(Amebaは姉妹サイトです)。
啓蒙活動の一環として参加していますので、バナー↑↑↑へのクリックに是非ともご協力ください[ひらめき]


 臨床検査技師のブログにお越しいただき有難うございます。

 さてこのブログでは、臨床検査に関連する内容だけではなく、医療系、農業系、宇宙系、少年野球系等々、雑多な内容となっています。またこのブログを立ち上げたのは、多くの方々に密接な関係のある臨床検査をもっと知っていただきたい、そしてその業務に就いている臨床検査技師をもっと知っていただきたいとの思いからです。

 現代の医療においては、客観的根拠を基に病態解析などがなされ、EBM(Evidence based Medicine)の根幹として臨床検査データは位置付けられています。このような重要なポジションに居ながら、我々自身の待ち受け体質は根強く、我々臨床検査技師自身が何をするべきなのか、また何が出来るのかを真剣に考えるべきであり、後進の方々に良い道を残すためにも、一般の方々に臨床検査技師をまず知っていただく、ということが必要なのだと思います。そのような趣旨から各種サイトランキングにも登録しておりますので、バナーをクリックしていただければ幸いです。

 ご質問、ご意見、ご感想などございましたら、
gamdango@csc.jp までご遠慮なくメッセージをお送りください。ただし医療相談等には内容によりお答えできない場合もありますので、あらかじめご了解ください。

         NHO神戸医療センター
         臨床検査技師長
                新井 浩司

好き放題コメントを加えた最新の医療系情報(科学系、農業系、少年野球系話題も満載?)をご提供しています。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。