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0520-643号 チーム医療を考える(特定看護師を軸として) [kensa-ML NEWS 【特集】]


 このところ晴天が続いていますが、結構な黄砂が降り注いでいますね。隣国からの有難くないプレゼントですが、アレルギー症状の悪化を訴える方も多数見かけます。日中はかなり気温が上昇していますし、真夏日を記録している地域もあります。この環境の悪化、何とかならないものですかね・・・

 環境の悪化といえば、先日もこのニュースでも取り上げました原発作業員の方々の健康管理は、事態収束に向けての大きな課題(問題)となっています。やはり上の方々が作業工程表を作成したところで、実際働くのは現場の方々。記事にも書かれていますが、現場で働く方々の環境改善と健康管理に万全を期すのは当然のことです。この方々がおられないと上の方々のシナリオ通りには事が進みません。


社説:原発作業員 健康管理は万全に 毎日新聞 5/20
 
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110520k0000m070160000c.html
 福島第1原発の集中廃棄物処理施設で働いていた60代の男性作業員が心筋梗塞(こうそく)で死亡した。同原発には1000人近い作業員が昼夜働いているが、絶えず放射線の危険にさらされ、蒸し暑くて重い防護服を着ての作業は過酷を極める。疲労が蓄積し、熱中症にかかる人もいる。作業員が倒れたのでは修復が遠のくばかりだ。長期化に備えて安全と健康管理に万全を期すべきである。
 作業員が同原発内の医務室に運ばれたのは14日午前6時50分ごろだった。同原発には勤務医が1人しかおらず、勤務時間(午前10時~午後4時)外は治療が受けられない。このため男性は約20キロ離れた支援拠点の「Jヴィレッジ」に運ばれた。同所には医師3人が詰めているが、医療設備は十分に整っていない。心臓マッサージなどをしたが回復せず、男性は原発から約45キロ離れたいわき市内の病院に運ばれ、そこで死亡が確認された。体調不良を訴えてから2時間以上が過ぎていた。
 東京電力は経済産業省経由で産業医科大(北九州市)に医師の派遣を依頼、計19人の医師が今月中旬から6月末まで同原発内で救急初期対応に当たることになった。さらに同大は計約80人の医師を応援派遣し、福島第1・第2原発で働く作業員の健康診断を行い内部被ばくなどのチェックをする。従業員の健康管理は事業所責任が原則ではあるが、復旧の見通しが立つまでは厚生労働省や文部科学省なども医療体制のバックアップに努めるべきではないか。
 宿泊場所や食事にも問題がある。第1原発の免震棟や体育館には計約400人が寝袋と毛布で仮眠しているが、すし詰め状態でよく眠れない人もいるという。第2原発や「Jヴィレッジ」も宿泊場所となっているが、シャワーが使えないなどの劣悪さは変わらない。それが2カ月以上続いてきたのだ。
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 私がメールニュースのように全国の皆さんへ情報を発信するようになって早10年弱となります。その間一番何を苦労したかというと、どのように書いたら私の伝えたいことがきちんと読者の方々に伝わるか、ということ。また厳しいことを発言する時にはどのように別の話題で緩和させたらいいのだろう、とか、さらには電話などと異なり、形に残るものですから、あまり粗相もできない、結構苦しんだ時期もありました、が、結局は自分の素で自分の書きたいようにストレートに書くしかないな、とある意味最近は開き直っています。自分を良いように見せようと取り繕っても仕方ありませんもん。

 私自身職場でもよく「嫌われることを恐れるな」と言っておりますが、まさにポピュリズム、いわゆる大衆迎合主義の方が世の中に氾濫し、自分の立ち位置やなすべきことを忘れている方々が多すぎますから、私のような者が居ても良いのかもしれません。ただしマイノリティでないにせよ、かなりの少数派ですけど。残念ながら上に上がれば上に上がるほど少なくなるという法則があるようです。


産経抄 産経新聞コラム 5/20
 
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110520/plc11052003370001-n1.htm
 「活字っていうのも、正業みたいに思われてるけど、字が残るから危険な商売で、また危険なことを書かなきゃ、面白くもなんともないんです」。「最後の無頼派」と呼ばれた作家の色川武大が生前、雑誌の対談で語っている。
▼活字に限らず、およそ言葉を生業(なりわい)としているなら、誰もが思い当たるふしがあろう。劇作家で演出家の平田オリザさんも、例外ではないはずだ。しかも現在は、内閣官房参与という立場で、鳩山由紀夫前首相の所信表明演説作成にもかかわった、より「危険な商売」に就いている。
▼その平田さんの発言が波紋を広げている。ソウル市での講演で飛び出した。福島第1原発事故への対応で、放射能汚染水を海に放出したのは、米政府の要請を受けたものだった、というのだ。
▼菅直人政権では首相や周辺から、これまでも失言や不用意な発言が相次いできた。今回は、細野豪志首相補佐官らが、平田さんの「勘違い」だとして、収束を図ろうとしている。もっとも、国際社会で日本の信用を失いかねない失態である。そんな言い訳は通用しない。
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 ここらでちょっとお口直しにお耳寄りな情報のご提供。ダイエットの必要がない方々にはあまり関心のないことだと思いますが、脂肪燃焼には、乾燥コンブより冷凍コンブが良いとの話題。フコキサンチン含量によるものらしいですが、念のため、フコキ・サンチンでもフコキサン・チンでもなく、フコ・キサンチンですので・・・どうでも良いことですが。


脂肪燃焼 乾燥コンブより「冷凍」 道立工業技術センターが共同研究 北海道新聞 5/18
 
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/293134.html
【函館】道立工業技術センター(函館)と食品製造販売のフジッコ(神戸)との共同研究で、冷凍したコンブは脂肪燃焼効果がある色素フコキサンチンの含有量が乾燥コンブの約1・5倍に上ることが分かった。加工原料として冷凍コンブの普及を目指す同センターなどへの援軍となりそうだ。
 15日に東京で開かれた日本栄養・食糧学会で発表された。
 研究には函館産のマコンブを使用。乾燥コンブ(60度で機械乾燥)のフコキサンチンの含有量は、採取後すぐに冷凍した場合の8割にとどまり、つくだ煮に加工した後の含有量は冷凍コンブが100グラム中3・14ミリグラムだったのに対し、乾燥コンブは2・09ミリグラムだった。


フコキサンチン
 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%B3%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3
 フコキサンチン(Fucoxanthin)は分子式 C42H58O6 で表されるカロテノイドの一つである。褐藻やその他の不等毛藻に存在して茶色-オリーブ色を呈するとともに、葉緑体において光合成の補助色素として機能している。フコキサンチンは可視光線のうち青緑色から黄緑色(450-540nm)の波長域を吸収し、510-525nm 付近に吸収極大を持つ。特に、褐藻類中のカロテノイドのほぼ100%がフコキサンチンである。
 生物がフコキサンチンを摂取した場合の栄養学的(ニュートリゲノミクス的)な研究が、ラットやマウスを用いて北海道大学で行われている。これにより、フコキサンチンが、通常は褐色脂肪細胞に特異的に存在するタンパク質であるサーモゲニン(Thermogenin;熱産生タンパク質)のUCP1(uncoupling protein 1)の発現を白色脂肪細胞において促すことで、脂肪組織における脂肪の燃焼を助けることが明らかとなった。ただし、ヒト向けのフコキサンチンを添加した食品は、まだ開発段階である。理由として、化学合成や遺伝子組換などの手法によるフコキサンチンの生産が現在のところ不可能なため、供給源が褐藻のみであること、加えて褐藻中に含まれるフコキサンチン量は、多いものでも乾燥重量の0.1%程度とされていることなどがあげられる。


 さてここからは本日の特集となります。またか・・・と思われるかもしれませんし、私の屁理屈意見かもしれませんが、「チーム医療」についてです。

 以前より何度も申してきたように、私は多職種専門集団による連携業務並びに融合を目指して活動を行ってきています。ですからこのような業務を否定するものではなく、逆に推進したいと願っている一人です。しかし「チーム医療」という用語、定義に対しては違和感というか、そのようなものを感じています。従来の定義とは、「それぞれの分野における専門家集団が自領域の専門性を維持しつつ主体性をもって、患者により質の高い医療を提供すること」ですが、このようなものではそれぞれの分野における専門的知識の必要な部分を融合し、新たなものを創出したうえで患者に還元していく、といった感覚のものではないと私は思うため、「チーム医療」というよりも「連携医療」といった用語の方が妥当なのではないかと思います。ですから十年ほど前から私が訴えてきているのは、「連携と融合」の推進です。が、一般的には「チーム医療」という用語が広く一般的に広まっているため、せめて概念的なものを誤解してほしくないと願う次第です。


チーム医療
 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%8C%BB%E7%99%82
 チーム医療(チームいりょう)とは、医療環境のモデルのひとつ。従来、医師が中心となって医療業務を形成していたが、医療従事者がお互い対等に連携することで患者中心の医療を実現しようというものである。『「チーム医療」の理念と現実』(細田満和子著、日本看護協会出版会、2003年、2009年オンデマンド版)によれば、チーム医療は4つの要素-「専門性志向」「患者志向」「職種構成志向」「協働志向」-に分けられる。
【概要】
 従来型の医療モデルの欠点として、医療従事者がすべて医師の配下に入ってしまって主体性が発揮できなかったり、内科と外科の対立などがあり結果として最善の医療が実現できなくなることがあるという点があった。この関係を水平な構造にし、外科と内科などの医局間の壁を完全に取り去り、それぞれの立場からの提言を互いにフィードバックしながら医療を行うというのがこの考え方である。無論、この構造の中心には患者が位置し、チームの一員として捉えられる。
具体的な方策としては、
 1.看護師薬剤師が診療録とは別にまとめている看護記録をカルテと統合するなど、情報の共有
 2.臨床薬剤師、専門看護師や臨床栄養士の積極的な回診への参加など、意見交換の機会の確保
 3.ガイドライン、パスウェイなどをすべての職種と共有しともに医学的エビデンスを吟味する。
 4.ペインコントロール専門の看護師など、スペシャリストの育成。つまり医療のエキスパートになる必要があるが全体像つかめる医療従事者になる必要もある。
 5.内科や外科、放射線科、麻酔科、病理診断科などで合同カンファレンスやキャンサーボードなどの合同会議を開いたり、一つの医局に外科医や内科医を集めたりし一人の患者に専門ジャンルの違う医師が合同で治療方針を立て治療にあたる
 6.外科と内科の壁を完全に取り去り、一人ひとりの患者さんに相互の立場からより建設的な意見を出し合い、チーム医療を組む
 7.精神科医・臨床心理士が他科の患者の心理的ケアを行う
などが提案され、一部で実行されている。
 また、患者が主体的に医療に参加できるために、患者を育てることに医療従事者は努力する必要がある。患者が主体的に健康に関する情報を得て、活用することはヘルス・リテラシーと呼ばれている。
 ただし、日本の現状では法的にほとんどの医療行為が医師の指示のもとでなければ行ってはいけないとされ、制度面での整備は追いついていない。また、現場でも長年の主従意識は容易に解消できるものではない。
 特に様々な意見の反映が求められるがん医療にはとてもチーム医療は重視されている。日本乳癌学会では特にチーム医療を重視しており、単なる医療環境のモデルだけでなく、学会の研究活動としてとらえられている。がんのチーム医療は他の癌腫にもひろがっており、がん対策基本法案にも推進を記載されている。
 また、医科分野だけでなく、医学・歯学・薬学の各分野の関わりにおけるチーム医療も重要である。


 以下、世間一般的なものとの混同を防ぐため私はかなり嫌な気分ですが、あえて「連携医療」を「チーム医療」として記載します。

 上記の説明の中にも入っている「がん医療」に対するチーム医療のモデリングですが、臨床検査部門が積極的に参画しているといったケースはまだまだ少ない感があります。実際、がん医療にかかわる記事の中に「臨床検査技師」といった文言が入っているものをほとんど見ませんし、具体的な連携内容を記載しているものも、私の勉強不足かもしれませんが、見たことがほとんどない、というのが実感です。もちろん、医療における確定診断部門として病理部門が存在しますが、他の検体検査や生理検査においてはいかがでしょうか?ましてや化学療法に対するものなど、参画しているケースは全国でどの程度あるのでしょうか?このあたり、神戸でモデリングできるよう、この分野で頑張ってみようかな、と考えているところです。

 また以下の記事、概念的にちょっと違うな、と感じるところは、医療の中心は医師と書いていますが、患者、およびその家族です。医師が船長、いわゆるマネージャーだという意見は同感ですが。


MDアンダーソンがんセンター チームオンコロジー.com
 
http://www.teamoncology.com/toc/comment.php4


がんのチーム医療(チームオンコロジー)とは
 
http://www.teamoncology.com/team/
【チーム医療の定義】
 チームとは、ある共通の使命・価値観・信念(ミッション)を持ち、望ましい将来像・実現したい世界観(ビジョン)を共有した集団を意味し、ただ単に集合を意味するグループとは異なります。
 チーム医療は、患者自身もチームの一員と考え医療に参加し、医療に関わる全ての職種がそれぞれの専門性を発揮することで、患者の満足度をより高めることを目指した医療を指します。
 チーム医療に関わる職種は、医師、看護師、薬剤師、栄養士など、直接医療を提供するチームのみならず、福祉職、心理職、スピリチュアルケアなど患者および家族のサポートを行うチーム、家族・友人、企業、マスコミ、政府などを含めた医療や患者を囲む社会資源からなるチームも含まれます。
 従来の医療は、医師を頂点とした指示体制に基づく診療活動であったが、チーム医療は、各職種が平等な関係にあります。また、それぞれの職種が持つ専門的な意見をもとに患者と共に議論し、そこで得られたチームのコンセンサスに基づき、協働しながら行う医療です。それゆえ、各職種の行動はチームとして責任を負う必要があります。さらに、チーム医療では、状況に応じて、それぞれの職種がリーダーシップを発揮し、相互尊重することが求められます。
【MDアンダーソンがんセンターについて】
 テキサス州ヒューストンには42のさまざまな医療施設が集まる世界一の巨大医療センター、テキサス・メディカルセンターがあります。MDアンダーソンがんセンターはそのなかにあり、世界有数のがんの専門病院として知られています。年間6万5,000人の患者さんを受け入れ、新薬の治験や遺伝子治療など、最先端のがん治療及び研究が行われています。
 私たちの病院の根幹を支えているのは集学的治療(チーム医療)といっても過言ではありません。MDアンダーソンがんセンターでは、世界でも最も有能とされる病理医、放射線専門医、腫瘍内科専門医、腫瘍外科専門医、腫瘍放射線専門医、看護師、薬剤師がチームとなり患者さんの治療にあたっています。
【MDアンダーソンがんセンターのチーム医療とは具体的にどのようなものなのか】
 チーム医療をひとことで説明するのはとても難しいのですが、基本はコミュニケーションです。MDアンダーソンがんセンターでは約30年前からチーム医療への取り組みが始まり、試行錯誤しながら現在のかたちになったという経緯があります。しかし、現在のかたちも通過点にすぎず、今後も進化は続き、決してひとつのかたちに止まることはないのです。
 チーム医療は最初、医師同士のコミュニケーションから始まって、10~15年前に看護師や薬剤師も含めたかたちになり、今では看護師や薬剤師も医師に近い仕事を担うようになりました。臨床看護師や上級看護師は、もちろん医師の管理下ではありますが、診断所見もとれますし、処方せんも書け、場合によっては処置もします。いろいろなデータを集め、ときには医師にアドバイスもします。看護師や薬剤師の専門性を高めていくと、医師の仕事と重なる部分が出てきますが、それをお互いどのように協力していくかを15年かけて作りあげてきました。
 ある患者さんに対してチームを組むとき、中心になるのは内科医の場合もあれば、外科医の場合もあります。その患者さんの状況により腫瘍内科医、腫瘍外科医、放射線医、形成外科医、看護師、栄養士など多くの専門家がメンバーとなり、患者さんに対する一定の治療方針を話し合います。話し合いは電話の場合や、会議をする場合もあります。ときには全く顔を会わせないこともあります。ここで大切なのは、よく話し合って基本方針を決めておくということです。その基本方針は、どの医師あるいはスタッフに聞いても皆同じになる努力が必要です。
 チーム医療は、よく船に例えられます。チームの中心となる医師は船長です。船長には全体像を見極める力が要求されます。個々の部分に関しては、その分野の専門家に任せればよいのです。医師は何ができて何ができないのかを自分自身で把握し、できないことを誰に任せればよいのかを知っておくことが大切です。
 一方、看護師や薬剤師はいかに自分の役割を拡張し、責任をとるかを考える必要があります。そのために、それぞれの職種の高い専門性が求められます。
 要するに、チーム医療とはコミュニケーション医療にほかならないのです。
【日本における「チーム医療」】
 どの病院でもチームは職種があれば存在します。ただ、どのような組織作りとコミュニケーション体制をつくるかによって、患者さんの満足度は歴然と違ってきます。また、患者さんの主体的な態度を引き出せるかどうかも、チーム医療の取り組みで決まると思います。
 このWebでMDアンダーソンがんセンターのチーム医療を紹介することにより、日本独自のチーム医療体制が築かれることを期待しています。


 ここでケンカを売るわけではないのですが、どのような経過でこのようなものができたのか、政治的な背景やその他は知りませんが、意味が分からない協議会をご紹介します。私が臨床検査技師だから、かなり違和感を感じるのかもしれませんが。

 日本放射線技師会が事務局の「チーム医療推進協議会」というものがあります。ここには医療に携わるあらゆる職種が記載されているのですが、臨床検査部門以外の各職種においては国家資格名となっています。しかし臨床検査技師といった文言はなく、細胞検査士という職が紹介されています。臨床検査技師は専門職種ではないとの判断なのでしょうか?どうなんでしょ?全く理解できません。当然のことながら、日本臨床衛生検査技師会という団体は全く記載されていません。

チーム医療推進協議会 http://www.team-med.jp/index.php


 さてコメディカルという用語に対しても違和感があります。そもそも医師以外はパラメディカル、いわゆる医師の傍(かたわら)にいるスタッフ、という意味だったと思いますが、そのようなものではなく専門性をもって医師をサポート・補佐するものであるところから、コメディカルという用語ができたのだと理解しています。しかしこれは世間一般的に言われている「チーム医療」の概念とは異なっているのではないでしょうか?ですから私は医師以外の医療系スタッフをコメディカルというのには抵抗感があります。「チーム医療」の概念を正確に反映すれば、医療関連施設で働く医療従事者はすべてメディカルスタッフと呼ばなければいかんのとちゃいますか?

 また医療の質を科学的に分析するには、医療的側面、経営的側面、両側面からのアプローチが必要なのは当たり前。医療経済が破たんしている現在では両側面を満たさなければ医療は成立しません。事務部門は主に経営的側面からのアプローチを担ってもらう部門であり、この部門が包含されないのはまったくもって不可解な話であり理解できません。記載の中には診療情報管理士や医療事務が記載してありますが、その方々だけでは病院運営なんて成立しませんし、医療の質を向上させるにはお金も必要。


コ・メディカル
 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%AB
 コ・メディカル(和製英語: co-medical。英: paramedic)とは、医師や歯科医師の指示の下に業務を行う医療従事者を指す。コメディカルスタッフとも呼ばれる。
【概要】
 国語辞典『大辞林』(三省堂)によると、「コメディカルスタッフ」は「医師・看護師以外の医療従事者」の意とされる。
 一方、通例は医師・歯科医師以外の看護師を含む医療従事者の総称として用いられ、具体的には下記の職種を指し示すことが多い。しかしながら、概念的定義として捉えられることが多く、発言者や文脈によっては他の職種を包含する場合も、逆に職種を限定する場合もある。歯科衛生士や歯科技工士などは、歯科医療における類義語であるコ・デンタルとも呼ばれる。
 現代は、医療の高度化・複雑化にともない、以前は医師のみが行っていた業務の細分化・分業化が進んでいる。従って、当該コ・メディカルには、高度な専門性の追究と日々の自己研鑽を重ね、有機的に連携しチーム医療を実現することが求められる。
【呼称】
 英語圏では paramedic(英語発音:パラメディク)または「paramedical staff」と呼ばれ、日本でも英語にならって「パラメディカル」「パラメディカルスタッフ」との呼称が用いられていた。接頭辞の "para-" は「補足する」「従属する」という意味であり、パラメディカルは医師の補助をする職種を指している。
 1982年(昭和57年)、第1回糖尿病患者教育担当者セミナーの講演において、阿部正和東京慈恵会医科大学学長(当時)が、患者教育には医師のみならず全ての関係スタッフの協力が不可欠として、医師以外の関係スタッフを卑下したパラメディカルとの呼称を止め、「協同」を意味する接頭辞の "co-" を用いた「コ・メディカル」(co-medical、英語発音: /コウメディカル)との呼称の使用を提唱した。「コ・メディカル」という名称は、後に定着する「チーム医療」の考えと合致し、日本の医療業界に広く受け入れられた。
 なお、英語には comedical(英語発音: /カミディカル) という単語があり、「喜劇的な」を意味する。そのため、日本で言う「コ・メディカル」を英語の中で用いる場合には、綴りや発音に注意を要する。


 さて本日はこの話題をメインとしたかったのですが、前置きが長すぎました。申し訳ありません。

 特定看護師については、業務範疇がどの程度なのか、また法的な整備はどのようなものなのか、非常に興味を持ってみていましたが、公的な認証制度の設定ということで落ち着くようですね。法的整備がどのようなものになるのでしょうね?


厚労省「チーム医療推進のための看護業務検討WG」 特定看護師の認定制度の創設を概ね了承 日経メディカルオンライン 5/17
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201105/519775.html
 5月16日、厚生労働省の「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」の14回目の会合が開催された。この日は厚労省から、特定看護師(仮称)の要件について素案が提示され、特定看護師の公的な認証制度の創設について、委員の間で概ね合意が得られた。
 特定看護師の要件としては、厚労省から以下の4点が挙げられた。
(1)看護師の免許を有すること
(2)実務経験5年以上であること(養成課程への入学・入所前)
(3)厚生労働大臣の指定を受けた養成過程を修了すること
(4)厚生労働大臣から知識・能力・技術の確認・評価を受けること
 (※養成課程には2年の課程と8カ月程度の課程の2種類を設け、業務の範囲に差を設けることとする)
 また、一部の医行為を特定看護師のみ実施可能にしてしまうと、医療現場に混乱が生じる恐れがあるため、業務独占にせず、柔軟な運用をしていく考えを示した。
 認証制度について厚労省では、「一例として、保健師助産師看護師法に新たに特定看護師の認証についての規定を追加する方法があり得る」(医政局医事課長の村田善則氏)と説明。また、東大大学院法学政治学研究科教授の山本隆司氏は、「名称独占や業務独占にしなければ、柔軟な制度を作ることは可能だ。ある医行為について、特定看護師は医師の包括的指示で実施が可能だが、それ以外の看護師は具体的な指示を受けた上で実施するなどしてはどうか」と述べた。
 WGは特定看護師の要件や認証制度について、6月上旬に開催予定の「チーム医療推進会議」に提出する。今後、推進会議での討議を基に、さらに議論を深めていくとしている。


 最後になりますが、特定看護師の設定においては非常に大きな影響力を有した「NP:診療看護師」制度。どのようなものか、ご紹介をして今号の締めとします。緒方さやかさんという方のブログから引用しました。

日本のNP、PA制度を考える
 
http://www.teamiryou.com/npとは/
【NPとは】
 Nurse Practitioner (ナースプラクティショナー)は、「診療看護師」などと訳されており、アメリカで1960年代に生まれたが、近年においては、オーストラリア、イギリス、カナダなどの国々がNP制度を取り入れている。このサイトでは、アメリカのNPについて紹介する。
【NPの定義】
 以下は、米国NP協会(aanp.org)から引用して個人的に訳したものである。
 NPは、プライマリーケアもしくは専門的な医療を外来、病院、または介護ホームで提供する。また、有資格者であり、独立した医療提供者である。NPとは、 高度な教育と診断能力を培った看護師であり、健康促進と治療を様々な人々に提供する。修士号、Post-Masters (修士号の後で更に勉強するプログラム)、または博士号が、NPとして働き始めるにあたって最低必要な学位である。(AANP, 2006)
NPの仕事内容NPの仕事内容は:
 ・全身の診療を行う
 ・健康促進を行う
 ・急性の病気や慢性病などの診断を行い
 ・血液検査や放射線検査を勧め、結果に判断を下す
 ・薬を処方する
 ・薬のサンプルを受け取ったり、(患者に)提供したりする
 ・必要に応じて医師やほかの医療提供者に紹介する
 1965年に看護師のフォード氏と小児科医のシルバー氏は協力して看護師用の卒後教育講座を創設した。 フォード氏は当時の医師不足と貧困に悩むコロラド州での状況について、こう語っている。「実のところをいうと、私たち、看護師が判断することが多かったのだ。(中略)こっそり診断をしていた。第一、そうしなければいけなかったのだ。他に誰もいなかったし、貧しい患者さんたちは、正直言うと私たちにそのような判断をすることを求めていたのだ」3 。と同時に、これらの看護師には専用の、高度な訓練や教育が必要であるとロレッタは考え、できたのが上記の講座であった。 要するに、米国におけるNP設立とは、すでに看護師が患者の必要に迫られて行っていた診療行為に対して(1)安全性を増すためにそれ専用の知識を与え(2)法的に正当化する新制度だったのである。
 NPは当初、米国看護協会に「看護師に医師の助手をさせるのか」と反対を受けた(フォード氏とのインタビュー)。しかし、その後数十年かけて「看護哲学に基づいた診療行為」という独特のアイデンティティーをNPたちは確立していった。医療の質や安全性を裏付ける研究が数多く発表されるとともに、(1)国家試験の制定(2)教育カリキュラムの統一(3)州免許制の発足、という3つの「相互に強化される役割と責任」5を確立することで、NPの質の担保を計り、それが診療報酬獲得、ひいては雇用の拡大につながっていった。
【NPの教育】
 NP を志望する学士を持つ看護師は, NPプログラムにおいてフルタイム学生であれば約2年間の講義と臨床研修を経て希望の専門分野のNP修士号を取得する。また、看護師以外の学士号を持つ人向けのNP講座も存在し、3年間で看護資格とNP資格を取得できるようになっているため、新しい人材を看護界に取り入れている。 更に、専門看護師(Clinical Nurse Specialist: 以下、CNS) など、修士号を持つ他分野の高度実践看護師(以下、APN)向けに、1-1.5年でNP資格を取得するための講座も存在している。
 NP講座は小児科、成人科、婦人科、 精神科、癌科、老年科、急性期科、新生児集中治療科などと領域が別れているが、一番人数が多いのはファミリー科(全ての年齢層を診る科)である2。また、受験するには学士号と共通試験の成績のみならず、「5年以内に解剖学や統計学を一定の成績以上で受講」などの必須科目があることが多く、入学生の知識レベルの統一を図っている。
【NPの専門分野】
 看護師や医師とは違って、NPは専門分野に沿った修士号を取らなければいけない。PAの人たちは、「だから、PAの資格の方が使えるんだよね!」と言う。 例えば、周術期を2年やってから、やっぱり外来で婦人科だけしよう、みたいなことがPAはできるけど、NPはできないのだ。ただし、自分の分野の中の範囲なら多少の自由はきくが(下の説明参照)。
 専門分野は、診る患者の年齢・性別・及び診察場所(ICUか、外来か、など)によって分けられている。AANPによれば、一番人数が多いのは、NPの6割を占める「ファミリー NP」(小児と成人と婦人科を診ることができる)である。ほかには、成人科NP、急性期NP」(入院病棟や救急救命室、ICUなど)、小児科NP、精神科NP、老年科NP、成人ガン科NP、新生児集中医療NPなどの専門もある。
 ファミリーNP、成人科NP、小児科NPの3種のNPのほとんどはプライマリーケアを診療所や医院などで医師と並行して提供している。患者は、医師を診るかNPを診るか選ぶことができる。
 急性期NPはICUなどで働くため、医師や看護師とより密接したチームワークを必要とされる。
 ファミリーNPの人は、例えば普通の外来のクリニックでプライマリーケアもできるし、お年寄りが大好きになったら介護ホームでも働けるし、小児科の分の資格を生かして学校の医務室でも働ける。(私の先生の一人は、ファミリーNPだが女性専用の刑務所で婦人科のみをやっている。)
 成人科NPの人は、普通のクリニックで内科をやる人も多いが、専門外来で、例えば糖尿病専門医院で他のEndocrinologists に混じって 診療する、というようなことも多い。ちなみに、糖尿病クリニックの場合、患者さんに足の手当てや栄養の話をするのはCertified Diabetes Educatorの役目で、これは大抵NPでなくて看護師である。
 小児NPの人は、小児科医院、地域診療所、学校の医務室、思春期外来などで働く。
 婦人科NPは産科の訓練も含み、産む時以外の妊婦の診療ができる。(妊娠中、産後)だが、産科なしで婦人科だけの仕事につく人も多い。
 私の通ったYALEでは、婦人科NPも自動的に成人科NPを取らなくてはいけなかった。同様に、老年科NPは成人科NPも取らなくてはいけなかった。「成人全体を学ばずしては、炉お年寄り/女性の診療も行えないだろう」との考えであるが、これは、州と学校によってかなり違うようである。


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[ひらめき] PADM(パダム):遠位型ミオパチー患者会へのご協力お願い [ひらめき]

    遠位型ミオパチーという病気をご存知でしょうか? 
    筋肉そのものに原因があって、筋力が低下する「ミオパチー」といわれる疾患の中で治療法が全くなく、
    体幹部より遠い部分から徐々に筋力が低下していく非常に重い筋肉の進行性難病です。
    100万人に数名といわれる希少疾病ですが、2008年に「遠位型ミオパチー患者会」が発足しました。
    この患者会のみならず遠位型ミオパチーという病気をより多くの方々に認知していただき、一人でも
    多くの方々に賛同していただき、患者会の目標を達成することが目標です。その一つに「難病認定」
    があります。この「難病認定」のためには「署名活動」が必須であり、皆さんのご協力が必要です。
    宜しくお願いいたします。        
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 臨床検査技師のブログにお越しいただき有難うございます。

 さてこのブログでは、臨床検査に関連する内容だけではなく、医療系、農業系、宇宙系、少年野球系等々、雑多な内容となっています。またこのブログを立ち上げたのは、多くの方々に密接な関係のある臨床検査をもっと知っていただきたい、そしてその業務に就いている臨床検査技師をもっと知っていただきたいとの思いからです。

 現代の医療においては、客観的根拠を基に病態解析などがなされ、EBM(Evidence based Medicine)の根幹として臨床検査データは位置付けられています。このような重要なポジションに居ながら、我々自身の待ち受け体質は根強く、我々臨床検査技師自身が何をするべきなのか、また何が出来るのかを真剣に考えるべきであり、後進の方々に良い道を残すためにも、一般の方々に臨床検査技師をまず知っていただく、ということが必要なのだと思います。そのような趣旨から各種サイトランキングにも登録しておりますので、バナーをクリックしていただければ幸いです。

 ご質問、ご意見、ご感想などございましたら、
gamdango@csc.jp までご遠慮なくメッセージをお送りください。ただし医療相談等には内容によりお答えできない場合もありますので、あらかじめご了解ください。

         NHO神戸医療センター
         臨床検査技師長
                新井 浩司

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