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1210-619号 命を削る:治療の支え [kensa-ML NEWS 【特集】]


 年の瀬も近まり、非常に慌ただしい日々を過ごされている方も多いことかと思います。恒常的な不景気となっていますので、冬のボーナスも非常に厳しい状況となっています。地位は上がれど給料上がらず、ボーナスは下がる一方・・・本当にボリュームのある「ボーナス」・・・夢ですね。現実は「ショーナス」・・・悲し~[もうやだ~(悲しい顔)]

 先日、流行語大賞が発表されたところでしたが、今日は今年の漢字の発表日。朝から今年は何だろうとテレビでもやっていましたが、皆さん見事にバラバラでしたね。聞く人聞く人によって異なるのが今年の特徴。今年の漢字は、「暑」でした。見た瞬間、なんやしょうもな!と言ってしまいました。長い夏であったことは認めますが、ひねりが足らなかったですね。私は「飛」か「鬱」だと思いました。先ほどお会いしたいつもお世話になっているメッセンジャーの方は、「酷」だと言われていました。私の言う「飛」については、やはり、はやぶさブーム、鳥インフルエンザ(渡り鳥)、季節外れの黄砂、等ですね。「鬱」については常用漢字に入ったこと、不景気を吹き飛ばすため鬱憤晴らししたいのではないかと思うこと、鬱積した政治への不満、などが理由ですね。ま、見事に外れました。喉元過ぎれば暑さ(熱さ)忘れる・・・ですね。

 さて今日はノーベル賞授賞式ですね。「識」を持たないお国では、各種妨害工作が花盛り。世界中が貴方の背中を見ていますよ。見られる立場になっているということを早く認識しないと将来的に大きな損益を与えること必至です。我が足元だけしか見れていない方、本当に多いですね。地に足付けてどっしり構えましょうよ!

 今日の社説、コラムもこの話題で持ちきりです。


社説:平和賞授賞式 空席が中国の現実語る 毎日新聞 12/10
 
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20101210k0000m070115000c.html
 今年のノーベル平和賞授賞式には、受賞者も家族も出席できないという。なぜなら、受賞者である中国人の民主活動家、劉暁波氏は獄中にいるからだ。妻は軟禁状態。メダルと約1億2000万円の賞金が宙に浮いたままの授与式となる。
 ロシアやイラン、イラクなど20カ国前後の代表も出席を見合わせるそうだ。人権抑圧に対する価値観において中国と似た立場の国々が多い。
 このこと自体は不思議ではない。獄中の劉氏が出席できないことはノーベル賞委員会も織り込み済みだろう。劉氏は、中国共産党の一党独裁体制を批判する民主化憲法草案を起草したために、共産党政権の法律によって、獄中にあるからだ。
 「中国の法律に反した服役中の犯罪者」という中国政府の主張は、中国の法律が非民主的で人権抑圧的であるということでもある。劉氏が獄中にある事実こそ、中国に民主憲法が必要なことを証明している。
 それにつけても、中国政府の取り乱した対応は醜態だった。「服役中の犯罪者」を釈放しなかったのはともかく、留守宅まで監視下に置き、家族を軟禁するとは見苦しい。劉氏の主張の正しさが、ますます輝きを増した。
 各国にある中国大使館を動員して授賞式に参加しないよう運動したと知ったら、多くの中国人は顔を赤くするのではないか。この世界には、中国が民主主義とは価値を異にする危険な国だという「中国異質論」を言いたいひとたちがたくさんいる。そのようなひとたちにとって中国の居丈高な強圧外交は、「中国の台頭は危険だ」という中国脅威論、中国傲慢論を一層強く印象づけるものとなったことだろう。
 考えようによっては、中国は愚直である。民主活動家や人権活動家に対する理不尽な弾圧をあまり隠そうとしない。
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【主張】平和賞と中国 出席妨害は逆効果を生む 産経新聞社説 12/10
 
http://sankei.jp.msn.com/world/china/101210/chn1012100333001-n1.htm
 ノルウェーのオスロで10日に行われる中国の民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授賞に対し、中国政府が続けた妨害工作は目に余る。とくに各国に授賞式に出席しないよう圧力をかけたことは中国による独善的で手段を選ばぬ覇権的行動を鮮明にしたといえ、受け入れられない。
 日本や米欧の主要国などが出席を表明したのは当然だが、中国をはじめロシアやイラン、パキスタンなど約20カ国が欠席する。親米国フィリピンの場合は中国の武器供与をあてにしたようだ。人類の普遍的な理念を謳(うた)う平和賞の意義を否定したといえる。
 中国政府は「犯罪者への授賞は内政に対する干渉だ」と妨害工作を正当化する主張を繰り返している。劉氏は中国共産党による一党独裁体制の廃止を求める「08憲章」を起草して国家政権転覆扇動罪に問われ、長期服役の身となった。授賞理由にもある通り、「非暴力による人権擁護の闘い」を長年続けたにすぎない。
 しかも中国当局は、授賞式に関し、妻の劉霞さんや他の国内活動家の出国さえ阻止している。
 過去に受賞者本人が出席できなかった例として、ミャンマーの民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チー氏(1991年)らがいる。だが、本人、親族ともに出席できないのはナチス・ドイツを批判した独ジャーナリスト、カール・オシエツキー氏(35年)以来という。
 平和賞を選考するノーベル賞委員会が中国政府の圧力をはねつけ、ノルウェー政府とともに毅然(きぜん)とした姿勢を貫いていることは高く評価したい。
 委員会は劉氏への授与を「平和賞の歴史の中で最も意味ある授賞」と位置付け、中国本土以外で暮らす民主活動家約50人を授賞式に招待した。会場にはあえて受賞者用の椅子を置き、「空席」にすることで中国の人権状況の現実を世界に訴えるという。
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 さてここからは医療関連ニュースに移ります。

 近年子供の体力低下が顕著となってきていますが、それに伴い肥満児が問題とされてきていました。子供たちの間で「今何時? 肥満児。 何時過ぎ? 太り過ぎ」なんて掛け合いも良く聞かれていました。うちの息子の小学校でもメタボっぽい子の比率が高いなぁ・・・なんて家内と話していましたが、統計的には減少しているんですね。意外でした。でもこれって身長と体重で単純に計算したわけでしょうから、筋肉量の調査を行ってもらいたいものですね。恐らくこの近年の傾向として筋肉量は減少しているはず。いわゆる密度の低い子が増えていると思うんですね。BMIは肥満度の目安にはなりますが、正確な値では無いです。一方、視力低下は疑いようのないところですが、子供の回復力に期待して学校でもしっかりと視力訓練を行うとか、指導を行うとか、そういった話には発展しないものでしょうかね?


メタボな子減少、視力の低下は続く 文科省調べ 朝日新聞 12/9
 
http://www.asahi.com/health/news/TKY201012090342.html
 「メタボ」な子は減少したが、身長はこれ以上伸びず――。文部科学省が9日に発表した今年度の学校保健統計調査(速報)で、子どもたちのそんな傾向が示された。身長はこの10年は頭打ちとなる一方、健康志向で太り過ぎへの気配りは広がったようだ。視力の低下に歯止めがかからず、携帯電話の普及といった生活の変化への対策の遅れも映し出された。
 調査は4~6月、5~17歳を対象に実施。身長、体重は約70万人、視力などは約335万人を抽出調査した。
 肥満傾向の子どもは2001年度前後をピークに減少が続く。06年度と10年度で比べると、全体に占める割合は9歳は9.70→8.30%、12歳は11.73→9.98%、15歳は11.98→10.52%に減少。平均体重も大半の年代が前年度より減少か横ばいだった。食べ過ぎの制限や運動習慣を取り入れる家庭、学校が広がった影響もあるとみられる。
 身長も男子は前年度と比べて、全年齢で減少か横ばいだった。増加した年齢がなかったのは初めて。12歳の平均は152.4センチ。女子も13、17歳を除くと減少か横ばい。12歳で151.9センチだった。身長は戦後、栄養状態の改善から一貫して伸びてきたが、00年前後から横ばいになっている。
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 私の学生時代には「パラメディカル」なる用語があって、大学の先生に「パラ、いわゆる傍なる用語は誠に持って失礼だ。これからはコメディカルの時代が来る。」とお話しされていたのを良く思い出します。しかし就職して数年たってよくよく考えてみると、コ、いわゆる補という意味ですが、医師の足りない部分を補う、というのも少し抵抗感のある話だなあと思っていました。我々の職種は診断、治療分野に対して補うのではなく、必要不可欠なものでないといけない筈。ですから「メディカルスタッフ:医療従事者」という用語は適切かと思います。世間的な認識はまだまだのようですが、私自身は事務部門の方もメディカルスタッフだと考えています。勿論外部から来られるメーカーやディーラーの方々も同様。どちらが上ということではない筈です。現代医療は医療の質だけ追い求めていても、もはや成立するものでなく、維持させていくためには経済的概念が不可欠です。様々な職種とコラボレーションすることで、新たな何かを生み出していき、それを患者さんに還元してゆく。これが現代医療の在り方であると私は考えていますので、チーム医療なる用語は大嫌い。チーム医療の定義的は、「それぞれの専門性を生かしてテリトリーを守りつつ患者さんを中心とした医療を展開する」といったものです。テリトリーを守っていたのでは、連携し融合することは不可能。ですからチーム医療検討委員会の中で特定看護師が議論されていることに対し、非常に違和感を感じます。用語だけの問題かもしれませんが、私にとっては「連携医療もしくは医療連携」が正しい用語の使い方であり、こだわりな訳です。


ヒアリング対象は「成功事例」、個別の事情に配慮を―チーム医療方策WG CBニュース 12/9
 
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/31358.html
 厚生労働省のチーム医療推進方策検討ワーキンググループ(WG、座長=山口徹・虎の門病院院長)は12月9日、各職種の現状と課題について、委員から引き続きヒアリングを行った。同省は年度内に、チーム医療のガイドラインとなる事例集をまとめる方針だが、これまでのヒアリングについて委員からは、「成功事例ばかり。それを取り込めない病院が全国にたくさんある」「好事例でなくても、チーム医療が保証されるシステムを考えなければならない」と、個別の事情に配慮した方策を検討すべきとする指摘が出た。
 この日のWGでは、7人の委員からヒアリングを実施。言語聴覚士の森田秋子委員(初台リハビリテーション病院ST部門チーフ)は、リハビリテーションにおけるチーム医療について、「中核はカンファレンス」と強調。その一方で、収益の関係で次第に開催が困難になっている現状もあることから、保険点数の設置などカンファレンスを開くための環境を整備する必要性を示した。
 また、作業療法士の中村春基委員(兵庫県立総合リハビリテーションセンター)は、医療、介護、福祉といった幅広い連携がリハビリで求められることから、「医療チームだけでは完結しない」とし、調査の実施を要望。その上で、現段階でのガイドラインの策定は困難として、「来年度も引き続きWGを続けてほしい」と求めた。
■多職種を「メディカルスタッフと呼んで」
 医療職16団体などでつくる「チーム医療推進協議会」を代表して発言した取出涼子委員(初台リハビリテーション病院教育研修局SW部門チーフ)は、医師と看護師も含めて「メディカルスタッフ」と呼ぶことを提案し、多職種で役割分担を考える視点の意義を強調した。また、がんや糖尿病など、4疾病におけるチーム医療に関する実態調査の必要性を訴えるとともに、職種間の対応が法律上で不明確な行為の明確化に着手すべきとした。
■職種間の理解深める教育も必要
 ヒアリング後の意見交換で取出委員は、「自分の病院で働いている、あるいは地域で働いている職種をどれだけ知っているのか、という教育プログラムを持つことも重要」と、職種間の理解を深める必要性を指摘した。一方、近森正幸委員(近森病院院長)は、「(チーム医療は)アウトカムが出るようにやるべきだ」と繰り返し強調。マンパワーが不足している現状を「堂々巡り」とした上で、「専門職の病棟配置に点数を付けるところに持っていかないとアウトカムも出ないし、日本の医療はよくならない」と訴えた。
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 この高齢者医療制度改革会議については以下のURLで資料が見れます。
 
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000amvy.html#shingi12


新高齢者医療制度:厚労省が最終案 現役世代、重い負担 民主の意向反映 毎日新聞 12/9
 
http://mainichi.jp/select/science/news/20101209ddm002040078000c.html
◇「後期」批判意識
 厚生労働省は8日、後期高齢者医療制度に代わる新制度の最終案を、有識者でつくる高齢者医療制度改革会議(厚労相の諮問機関)に示した。13年度から75歳以上の高齢者を原則、市町村の国民健康保険(国保)に移したうえで、高齢者医療の財政は都道府県に運営させる。18年度からは国保全体を都道府県に託し、財政の安定化を図る。現行制度への批判を意識し、高齢者の負担軽減措置を並べたものの、それは現役世代の負担増に跳ね返る。野党の反発は強く、実現のメドは立っていない。【鈴木直、山田夢留】
 2020年度、新制度なら75歳以上の人の国保保険料は2万円増。一方、74歳以下は最大で7万円増に--。
 現行制度には高齢者にも応分の負担をしてもらい、少子化で増え続ける現役1人あたりの負担を軽くする狙いがあった。だが、「後期高齢者」という名称も相まって「うば捨て山」と批判された。改革案には高齢者への配慮が随所に目立つ。
 後期医療では加入者全員が保険料を払うが新制度では子どもらの扶養を受ける人(約170万人)は負担が不要。世帯全員が国保加入なら医療費が高額になっても全員の合算により負担が軽くなる。こうした家族は約350万世帯。負担は50億円以上減るという。
 現行制度は、現役の負担軽減のため、高齢者の保険料アップ率を現役より高くしている。今回は、自公政権時代から特例で実施してきた低所得者への保険料軽減措置(最大9割)は最大7割に縮小するものの、12年度からアップ率を現役とそろえることも盛り込んだ。
 厚労省の推計によると、75歳以上の医療給付費(10年度11・7兆円)は25年度、22兆円に倍増する。しかし、歴代政権が消費税増税を封印してきた以上、お年寄りの負担を軽くする財源は「現役の負担増しかない」(厚労省幹部)。ターゲットは、主に大企業の健康保険組合や公務員の共済組合加入者だ。
 75歳以上への医療費には現役の支援金が支払われている。医療保険からの支援金額は主に加入者数に応じて決まるが、新制度では加入者の収入水準に比例する「総報酬割り」に全面移行する。高給の人は負担が増える仕組みで、25年度に健保組合の平均保険料はいまより約9万円増え、年28万9000円となる。
 改革案は市町村国保に移る75歳以上の財政運営を都道府県が先行して行い、18年度以降は国保全体を都道府県化する二段構えとした。高齢者を国保に移しても、75歳以上のみ都道府県がみる形では「後期医療の廃止」という民主党の看板公約に偽りあり、と指摘されかねないためだ。
 それでも、国保は無職の人や高齢者ら低所得の人が多く、保険料負担が厳しい。08年度、赤字の国保は全体の45%、812団体。実質の赤字額は計2383億円に達する。
 財源を示さないまま都道府県に国保財政を背負わせようとする国に対し、知事らの不信は根強い。8日の高齢者医療制度改革会議で、国保の都道府県化に反対する神田真秋愛知県知事は「財源の欠如が最大の問題だ」と異議を唱え、賛成の立場の
岡崎誠也・高知市長も「国が最終的な財政責任を負わなければいずれ立ち行かなくなる」と指摘した。
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 さてメインニュースの前に当院に関連する話題を一篇。当院はがん診療連携拠点病院に認定され、様々な活動を行っておりますが、慢性疾患でもあるがんに対しては、地域の病院、診療所などとの連携が欠かせません。今後多くの改定を経て良質なパスに繋がっていけばと願います。


かかりつけ医と拠点病院 がん患者治療計画共有へ 神戸新聞 12/9
 
http://www.kobe-np.co.jp/news/kurashi/0003663955.shtml
 がん患者がどの医療機関でも安心して治療を受けられるように、兵庫県内のがん診療連携拠点病院(拠点病院)や県医師会、患者団体などでつくる「県がん診療連携協議会」が、県内統一の診療計画書「地域連携クリティカルパス」の原案を作った。拠点病院とかかりつけ医などが、患者の情報、診療計画を共有するのに活用する。
 まず、県内17カ所の拠点病院で症状が安定している患者を対象に導入し、連携する医療機関を登録制で募る。
 原案は日本人に多い五大がん(肺、胃、肝臓、大腸、乳)ごとに、連携する医療機関同士の共同診療計画書▽治療や検査に関する役割分担表▽緊急時の対応マニュアルをまとめた。手術の内容や検査結果を記録でき、退院後に必要な検査の種類や時期を示す患者用の「連携ノート」もある。
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 メインニュースに移ります。

 何ともやるせないタイトルですが、これも現実。これまで何度も取り上げてきておりますが、高額療養費制度について関連サイトをご紹介しておきます。特集記事、じっくりとお読みください。他人事ではありません。明日は我が身。

高額療養費
 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E9%A1%8D%E7%99%82%E9%A4%8A%E8%B2%BB
 高額療養費とは、病院などの窓口で支払う医療費を一定額以下にとどめる目的で支給される制度。1ヶ月間(同月内)に同一の医療機関でかかった費用を世帯単位で合算し、自己負担限度額を超えた分について支給される。
 従来、自己負担限度額を超えた分について後に支給されていたが、事前に手続きをすればそもそも自己負担限度額を超えている分について医療機関に支払う必要がなくなった。
(療養及び訪問看護療養)
 入院時の食事療養、生活療養にかかる自己負担部分については計算対象とならない。また、入院時の特別料金(部屋代の差額)、歯科材料における特別料金、先進医療の先進技術部分、自費診療を受けて償還払いを受けた場合における算定費用額を超える部分など、保険外の負担についても対象外となる。

高額療養費制度 http://insurance.yahoo.co.jp/social/info/medical_major_04.html

高額療養費パーフェクトマスター http://www.bms.co.jp/kogakuryoyo/


【毎日新聞社特集記事 2010/12/05】
 命を削る:治療の支え 最後まで「働きたい」
 
http://mainichi.jp/life/health/news/20101205ddm003040116000c.html
=================================================
 治療が難しいと考えられてきたがんなどの病気になっても、医療が進歩し、日常生活への復帰が可能になった。たとえば、国民の2人に1人がなるがんは、その半分以上が治る時代だ。ところが、治療の多くは高額化し、治療中断による病状悪化や経済的負担の増加で、患者の体と生活を脅かす。患者を支援するはずの国の制度も、治療費確保のため働き続ける環境も、現状は十分とは言い難い。患者の負担軽減を求める声は高まる一方だ。【河内敏康、大場あい】
 高額な医療費の負担に苦しんだ盛岡市在住の慢性骨髄性白血病(CML)患者、柏崎周一さんが先月27日未明、58歳で亡くなった。経済苦から特効薬の服用を中断して容体が悪化、骨髄移植も受けたが、回復しなかった。「貧乏人は薬が使えず、死ぬしかないんでしょうか」。周一さんの妻、木の実さん(53)は、こう言って嘆いた。
 周一さん夫婦が苦しみ、負担軽減を願う姿を今年5月9日の毎日新聞で紹介した。その後、厚生労働省は国の高額療養費制度で一般所得者の低所得層の患者負担上限額引き下げなどについて議論を始めた。だが、周一さんが息を引き取った5日後、来年度からの引き下げ開始を見送る方針を決めた。
 周一さんはパスタ店を経営、特効薬服用で症状は安定し、店の切り盛りに力を注いでいた。ところが店の経営悪化に伴い薬代の負担が重くなり、4年前に薬の服用を中断。その後治療を再開したが、病状は重く、今年11月に受けた骨髄移植後の合併症で亡くなった。
 11月22日夜、人工呼吸器を装着する前、周一さんは意識がもうろうとする中、両手でスパゲティをゆで上げる仕草をしながら、「早く仕上げないと。お客さんが待っている」と語った。周一さんの最後の言葉だった。木の実さんは「最後まで職場復帰を願っていた。病気になっても、誰もが安心して暮らせる制度を作り、夫のような思いをする人が二度と出ないようにしてほしい」と訴える。
 厚労省は今回、通院患者が医療機関の窓口で自己負担分を立て替え、約3カ月後に上限額を超えた分が戻ってくる現在の仕組みから、立て替えなくてもすむよう改める方針を決めた。だが、制度見直しの根幹だった負担上限額引き下げが見送られたことに、患者団体からも批判の声が上がっている。
 議論した社会保障審議会医療保険部会では、70歳未満で収入が約300万円以下の患者の負担上限額を、現行の月8万円余から半分程度にする試算が示されたが、財政状況の悪化している健康保険組合など医療保険者が反発した。
 がん患者会「グループ・ネクサス」理事長で厚労省がん対策推進協議会会長代理の天野慎介さんは「負担が大きいから見直しできないというだけでは、議論は不十分だ」と指摘。血液疾患患者の会「フェニックスクラブ」事務局の野村英昭さんは「患者が長期に高額な負担を強いられるという現状に、医療保険制度が対応できていない。(柏崎さんのように)薬の服用を中断したり、休薬している患者は潜在的に多い。早く対応しなければ状況は悪化する」と早期の抜本的な見直し実現を求めている。
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【毎日新聞社特集記事 2010/12/05】
 命を削る:治療の支え/上 がん発病で退職、降格
 
http://mainichi.jp/life/health/news/20101205ddm001040059000c.html
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 1年前、自分がこんな状況に追い込まれるとは思いもしなかった。来年のことは想像もできない--。
 横浜市の女性(48)は今年10月、乳がんの発病をきっかけに10年以上勤めた通信関係の会社を退職した。「会社からクビに追い込まれたのではないかと思うと、本当に怒りを感じる。病気になり、高い治療費を抱え、職まで失うなんて……」
 今年1月、会社の健康診断で異常が見つかった。精密検査でがんと判明。女性は5月、抗がん剤治療や手術を受けるため、半年間の休職を会社に申し出ると、人事担当者から一枚の紙を渡された。「休職は1カ月。休職期間が終わって復帰できない場合は退職することに合意する」
 頭が真っ白になった。「治療費を考えると辞められない」。女性はサインを拒否。治療の副作用でしびれる脚を引きずりながら、満員電車に乗って出社を続けた。通院や副作用がつらい日は有給休暇を使ったが、やがて有休を使い果たし、欠勤がちになった。
 夏ごろ、会社が業績不振に陥ると、女性の席の内線電話が鳴った。リストラの通告だった。今度は拒否できず退職した。女性は、がん発覚前は月約45万円の収入があったが、月約20万円の失業保険に頼らざるを得ず、再就職しなければ無収入になる。もしがんが再発すれば、高額の抗がん剤治療を受けなければならないが、貯蓄もあまりない。
 女性は両親の住む長野県に戻ることを考えている。「景気も悪く、病気を抱えての再就職は厳しい。病気によって、余裕のない企業ではしっかり休職できず、就労者が簡単に切られる社会はおかしいと思うが……」。抗がん剤による脱毛を隠すカツラの毛先を見つめながら、つぶやいた。
 「がんが再発して休みばかり取られたら、他の人に示しが付かないから降格だ」
 岐阜県の男性会社員(41)は5年前、右脇下の肉腫の手術を受け、約14カ月の休職を経て職場に復帰した。だが08年、新しい上司に思わぬ言葉を突きつけられた。反論は許されず、2階級降格の「ヒラ社員」になった。「復帰後、仕事の責任は果たしたつもり。それなのになぜ、とせつなかった」と、男性は唇をかんだ。
 男性は専業主婦の妻と子供2人の4人暮らし。入院前は約600万円あった年収が、今は約400万円まで減った。貯蓄も治療で使い切った。「がん患者でも働いて税金をきちんと納め、社会に貢献できる人はたくさんいる。企業や国は、もっと病気を抱える人のことを理解してほしい」
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【毎日新聞社特集記事 2010/12/07】
 命を削る:治療の支え/中 遅かった障害年金支給
 
http://mainichi.jp/select/science/news/20101207ddm001040033000c.html
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 「障害年金の受給が決まったとき、夫は本当に喜んでいた。治療を受けた病院が制度をもっと早く教えてくれていたら……」
 埼玉県内のパート社員の女性(45)は昨年10月、夫を胃がんで亡くした。治療費を支えるはずだった待望の障害年金の、最初の振り込み予定日の約10日前だった。
 障害年金は、老齢年金などと同じ公的年金制度の一つ。けがや病気によって仕事や日常生活に支障がある人が対象だ。だが、医療関係者にもあまり知られておらず、がんなどの患者の受給者は少ないとみられる。
 女性の夫は07年、43歳で胃がんが見つかり手術を受けた。翌年再発、夫は治療の副作用に苦しみながら仕事を続けていたが、保険適用による3割負担でも窓口の支払いが1回4万円近い時もあり、家計を圧迫していた。
 女性が、がん患者も障害年金を受給できることを知ったのは患者会のブログ。昨年初め、社会保険労務士が作るNPO「障害年金支援ネットワーク」に相談し、必要な書類を準備するため、社会保険事務所(現・年金事務所)や市役所、病院に何
度も足を運んだ。
 書類にはショックな内容もあった。「予後6カ月程度~1年未満」と余命が書かれた病院の診断書。治療の効果に関する一般的な話は主治医から何度も聞いていたが、夫に残された時間がそれほど短いとは信じられなかった。「年金を受給するため」と自分に言い聞かせた。すべての書類が受理されるまで約1カ月、年約80万円の支給決定通知が届くまで、さらに約3カ月かかった。最初の振り込みは、その3カ月後。夫の治療にはついに間に合わなかった。
 障害年金は、国民年金などに加入し、保険料の納付状況、生活への支障の程度などの要件を満たせば支給される。がんや間質性肺炎など重い病気の患者も対象だ。日本年金機構や各共済組合が認定基準などに基づき、医学的な診断と、生活や仕事への影響などを総合的に判断して受給の可否を決める。だが医療関係者でも障害者手帳を持つ人だけが受給できると誤解している人も多い。請求用の診断書は記入の仕方が特殊で、「がんなどの患者が請求しやすくなるには、書類の改善が必要だ」と指摘する医師もいる。
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【毎日新聞社特集記事 2010/12/09】
 命を削る:治療の支え/下 追いつかぬ公的制度
 
http://mainichi.jp/select/science/news/20101209ddm001040059000c.html
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 「1日7000円の薬で命をつないでいる。障害年金も却下された」(乳がんの60代女性)。「抗がん剤治療を勧められているが、経済的な問題で治療をするか迷っている」(食道がんの50代女性)。NPOが08年に開設した「がん電話情報センター」(東京都文京区)に寄せられる相談のうち、最近増えているのが経済的負担に関するものだ。
 血液がんの患者支援団体「血液情報広場・つばさ」理事長、橋本明子さん(59)は同センターで相談主任を務め、患者の切実な声に胸を痛める。「経済的な問題で治療をあきらめてほしくない。支援できないだろうか……」
 今年10月、橋本さんらは製薬企業の寄付などを基に慢性骨髄性白血病患者を支援する「つばさ支援基金」を設立。この病気は治療費の窓口負担が月10万円を超すこともあり、治療中断する患者が後を絶たない。月2万円の助成を求め問い合わせが殺到、10月だけで約160件に上った。
 国の高額療養費制度の負担軽減策が進まない中、民間基金は治療継続を支える柱の一つだ。一方、つばさ支援基金の規模では対象者は約100人まで。橋本さんは「支援を広げるためにも、より多くの基金への寄付を集めなければ」と語る。
 「恥ずかしいが、命の長さがお金で決まってしまう現実を理解していなかった」
 大手生命保険会社で営業の現場責任者を務める河野幸彦さん(47)は今年1月にがんで亡くなった北海道の金子明美さん(当時41歳)を取り上げた本を読みショックを受けた。金子さんは6年半に及ぶ闘病生活で治療費負担に苦しみ、自ら患者会を設立。亡くなるまで国などに経済的負担の軽減を訴え続けた。
 河野さんは金子さんの姿を社内で紹介し、「がんなどの診断後に支払われる保険金が、治療によっては500万円必要な場合もあるなどと、経済的な厳しさを顧客にしっかり伝えるよう職場で話すようになった」という。
 生命保険の特約やがん保険などは病気になった際の負担軽減手段として期待されるが、従来の保険は入院や手術への給付が中心で、治療実態とのギャップが大きくなっていた。生保各社は昨秋以降、入院や通院の回数を問わず抗がん剤治療に給付する保険など、新商品を登場させている。
 高齢化に伴い病気の治療期間が延びる一方、景気の低迷で国民の収入や雇用は不安定化している。国の高額療養費制度、障害年金など従来の制度だけでは、患者の真の支えにはならない時代だ。
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もーもー

この不況  いつまで ・・・・・でしょうね   
身体は  忙しくても  ボーナスは  上がらず   ですよね・・・
  長女娘も   出ましたが   娘に  ボーナス  出るだけ
ありがたいと  思え    と   言ってます・・・・・(;。;)
by もーもー (2010-12-13 08:21) 

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[ひらめき] PADM(パダム):遠位型ミオパチー患者会へのご協力お願い [ひらめき]

    遠位型ミオパチーという病気をご存知でしょうか? 
    筋肉そのものに原因があって、筋力が低下する「ミオパチー」といわれる疾患の中で治療法が全くなく、
    体幹部より遠い部分から徐々に筋力が低下していく非常に重い筋肉の進行性難病です。
    100万人に数名といわれる希少疾病ですが、2008年に「遠位型ミオパチー患者会」が発足しました。
    この患者会のみならず遠位型ミオパチーという病気をより多くの方々に認知していただき、一人でも
    多くの方々に賛同していただき、患者会の目標を達成することが目標です。その一つに「難病認定」
    があります。この「難病認定」のためには「署名活動」が必須であり、皆さんのご協力が必要です。
    宜しくお願いいたします。        
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 さてこのブログでは、臨床検査に関連する内容だけではなく、医療系、農業系、宇宙系、少年野球系等々、雑多な内容となっています。またこのブログを立ち上げたのは、多くの方々に密接な関係のある臨床検査をもっと知っていただきたい、そしてその業務に就いている臨床検査技師をもっと知っていただきたいとの思いからです。

 現代の医療においては、客観的根拠を基に病態解析などがなされ、EBM(Evidence based Medicine)の根幹として臨床検査データは位置付けられています。このような重要なポジションに居ながら、我々自身の待ち受け体質は根強く、我々臨床検査技師自身が何をするべきなのか、また何が出来るのかを真剣に考えるべきであり、後進の方々に良い道を残すためにも、一般の方々に臨床検査技師をまず知っていただく、ということが必要なのだと思います。そのような趣旨から各種サイトランキングにも登録しておりますので、バナーをクリックしていただければ幸いです。

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         NHO神戸医療センター
         臨床検査技師長
                新井 浩司

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