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1119-613号 多剤耐性菌事件の本質 [kensa-ML NEWS 【情報】]


 一昨日、院内幹部ヒアリングも無事終わり、やれやれと思う間もなく、次の仕事へと取り掛かっています。来週、福岡で「国立病院総合医学会」が開催されますが、かなり遅ればせながら、ようやくそちらの仕事に取り掛かることが出来ます。しかし、かなり厳しいタイムスケジュールです。来週までは時間との勝負!

 メールニュース配信やブログ更新も、さらにはご訪問もすることが出来ず誠に申し訳ありません。来月に入ったら少し落ち着くでしょう・・・希望的観測 ネットの方もこの数日ほとんどチェックも出来なかった状態で、かろうじて「イトカワ」微粒子と判明した喜ばしいニュースのみ活字で拾いました。その他は全くと言って良いほどチェック出来ていませんが、色々とあったようですね。

 まず今回は隣国の話題から入ります。


中国は“ルール無用” 広州アジア大会 東京新聞 11/17
 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/sports/news/CK2010111702000186.html
 【広州=朝田憲祐】広州アジア大会で中国選手団や観客らによるルールを逸脱した“愛国”行為が横行し、他国の選手らが冷たい視線を投げかけている。大会幹部は開幕前「金メダル数にはこだわらない。ホスト国にふさわしい、温かいもてなしと大人の対応をする」と語っていたが…。
 十六日のセパタクロー男子団体予選、マレーシア対中国では、試合開始時間になっても審判団が現れなかった。大会関係者に聞くと「中国チームが主審を中国人に代えろと急に言いだしまして」。
 さすがに主審の変更は認められなかったが、線審二人は中国人で、ライン際のボールをことごとく中国に有利に判定。試合は中国の“工作”も実らずマレーシアが勝ったが、「勝つためには何でもありなのか」と関係者はため息をついた。
 十三日に全五種目があったダンススポーツでは、採点者の印象に残りやすく有利とされる最終演技者は、すべて中国チームだった。演技順は抽選で決めるが、五種目全部で中国が最終になる確率は七千七百七十六分の一。その結果、中国勢がすべての金メダルを獲得した。日本チーム関係者は苦笑いを浮かべるだけだった。
 応援もすさまじい。競泳会場の中国応援席には、使用禁止の太鼓が持ち込まれ、中国選手の登場のたびに大きな音で連打。持ち込んだ経緯を聞こうと、応援席に近づくと「日本人はあっちへ行け」。入場ゲートの安全検査員も知らんぷりだ。
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 何とも言いようのない節操の無さ。まさに「虎の穴」。検査当直の時、夜中にアジア大会が放映されて少し見ていましたが、要するに品格の問題ですね。限定したエリアで恥をさらすのは百歩譲ったとして、宇宙を自分の庭化しないように各国は目を光らせる必要があります。自国の政治不和を宇宙で晴らさないようにしてもらいたいですね。正義のパンチはどなたがぶちかますのでしょうか???

 国際評価というものをもう少し意識されたら如何かしら?自分で自分の首を絞めていることにそろそろ気づいたら如何かしら?こんなこと書いたらまた隣国から猛烈なアタックが掛かりますね。アクセス数は増えますが、一体隣国のどなたが見ているのでしょう?隣国国民は見れないと思いますので、隣国国民にとってはまさに情報のブラックホール・・・(--;

 とにかく、お月さまにゴミの山や黄色い砂が増えないことを願います。


中国:初の有人宇宙ステーション、来年打ち上げ 軍需産業総動員で国威発揚 毎日新聞 11/18
 
http://mainichi.jp/select/science/news/20101118ddm007030114000c.html
 【珠海(中国広東省)浦松丈二】中国初の国産有人宇宙ステーションの実験機「天宮1号」が来年中ごろに打ち上げられる。珠海で開催中の航空・宇宙ショーで担当者が明らかにした。中国は20年までに長期滞在可能な宇宙ステーションを完成させ、将来は月面着陸を目指している。米露に続く有人宇宙プロジェクトを国威発揚につなげていく思惑がありそうだ。
 中国初の宇宙飛行士、楊利偉(ようりい)・有人宇宙飛行弁公室副主任は16日、珠海で報道陣に「天宮1号は総合テストの段階に入っており、来年中ごろ打ち上げられる。予定されているドッキング実験は宇宙ステーション建設の鍵になる」と説明した。
 中国は03年に初の国産有人宇宙船「神舟5号」の打ち上げと回収に成功。来年中ごろに天宮1号を、同年後半に神舟8号を無人で打ち上げ、宇宙空間でドッキングさせる。さらに12年には神舟9号(無人)、同10号(有人)を打ち上げ、ドッキング技術の完成を目指すという。
 宇宙ステーションの建設・運用には巨額の費用がかかるため、単独で建設したのは旧ソ連(71年)と米国(73年)だけ。現在、日米露など世界15カ国が参加して国際宇宙ステーション(ISS)を建設中だが、建設・運用総費用が10兆円を超え、「人類最大のプロジェクト」といわれている。
 中国もISS参加を打診しているが、軍事利用を警戒する米国などが反対している。そのため単独で宇宙ステーション開発を進める中国は、国内の軍需産業を総動員して計画を主導する。
 中国が宇宙開発を国威発揚に結びつける背景には、国民の所得格差が深刻化するなか、巨額予算を宇宙に投じることへの国民からの批判を封じ込める狙いもありそうだ。
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 恥ずかしいニュースはこのくらいにして、お口直しを一席。少し遅くなりましたが、「はやぶさ君」の話題です。

 非常に喜ばしいというか、まさに快挙ですね!国民にとっての誇りです。と皆さん仰っているのですが、数年前の「はやぶさプロジェクト」に対する評価はどうだったでしょうか?政府の対応も冷たいもの。今回の快挙で国民の意思を無視出来ず、一気に形勢は逆転しました。事業仕分けではなかなか厳しい指摘もありましたが、研究費や助成金などの予算もある程度獲得できることでしょう。しかし今回はこのような大成功で終わったから良いものの、失敗で終わっていたならばどういった評価になっていたかというと、非常にお寒い気持ちになります。「研究」というものの本質を政府のみならず国民も理解してもらわないといけないのではないでしょうか?先行投資というか、ダメで元々的な感覚がないと無理ですね。ダメでも希望や勇気を与えられればいいんです。と割り切った考えを持てる方は、少ないかもしれませんね。かく言う私自身もある程度の成果は期待してしまいます・・・(--;


イトカワの砂―あっぱれを、次の宇宙へ 朝日新聞社説 11/18
 
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2
 日本の小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った微粒子が、小惑星イトカワのものであることが確認された。
 月より遠い天体に着陸し、採取した物質を人類が手にするのは初めてのことだ。宇宙探査の歴史に残る快挙といっていい。
 イトカワまでの距離は、地球から太陽までの距離の2倍に当たる約3億キロもあった。はるか遠来の使者は何を語ってくれるだろうか。
 小惑星は46億年前に太陽系が誕生したときの名残をとどめているとされ、太陽系の化石ともいわれる天体だ。
 微粒子はこれから、日本国内だけでなく世界中の研究者に分配されてくわしく分析される。イトカワの生い立ちはもちろん、それを通して太陽系の起源に迫る成果を期待したい。
 今回、はやぶさのカプセルから見つかったのは細かな砂のようなもので、0.01ミリ以下の極微粒子約1500個に加え、やや大きいものもあった。
 弾丸を発射してイトカワの表面の物質を飛ばす装置は働かなかったが、着陸の衝撃で舞い上がった砂粒がカプセルにうまく入ってくれたようだ。
 目には見えない物質を分析チームの研究者がていねいに集めて分析した。鉱物の組成は地球の物質と異なって隕石(いんせき)に似ており、イトカワの観測から予想された成分とも一致することを確かめた。量はごくわずかだが、最新の装置を使えば、ほぼ予定通りの分析ができそうという。
 道のり60億キロに及ぶ旅の途中で交信が途切れ、エンジンも故障した。南天を赤く燃やした、この6月のはやぶさの奇跡的な帰還は記憶に新しい。
 プロジェクトを率いた宇宙航空研究開発機構の川口淳一郎教授が「帰ってきただけでも夢のようだったのに、さらにその上」というように、ちっぽけな「はやぶさ君」は今度もまた、うれしい方へ予想を裏切ってくれた。「あっぱれ」というしかない。
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社説:イトカワ微粒子 天からの贈り物だ 毎日新聞 11/17
 
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20101117k0000m070102000c.html
 容器を開けた時には空っぽにしか見えなかったという。「どうなることかと思った」とチームのメンバーは明かすが、工夫を重ね、目に見えない1500個の微粒子を分析し、小惑星「イトカワ」の物質であることを突き止めた。
 探査機「はやぶさ」が地球に帰還しただけでも快挙だった。5年前のイトカワでのサンプル採取自体は予定通りにいかず、空っぽでもおかしくなかった。それだけに今回の成果は、多くの人の努力に対する「天からの贈り物」のように思える。
 地球外天体のサンプル持ち帰りは月とほうき星に次ぐもの。「夢を超える成果で、点数は付けたくない」。チームを率いてきた川口淳一郎さんがそう語る気持ちはよくわかる。
 イトカワの物質と判断した決め手は微粒子の組成だった。電子顕微鏡で調べると微粒子はかんらん石や輝石(きせき)などで、組成が隕石(いんせき)の特徴と一致した。隕石は小惑星のカケラと考えられ、地球上の物質とは組成が異なる。はやぶさが観測したイトカワのデータとも一致した。
 小惑星は太陽系初期の姿をとどめているといわれる。今後の分析で、粒子ができた年代や当時の環境など、太陽系誕生の謎を知る手がかりも得られそうだ。「はやぶさ君」の活躍に比べると地味な分野だが、宇宙の歴史に迫る醍醐味(だいごみ)を感じる。
 サンプル収納容器には部屋が二つあり、今はまだ1部屋しか分析していない。残る1部屋の方がイトカワ着陸時の条件がよく、こちらの分析にも期待したい。
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小惑星探査機:イトカワ微粒子採取 迫る「太陽系の起源」「はやぶさ2」実現に期待 毎日新聞 11/17
 
http://mainichi.jp/select/science/news/20101117ddm012040004000c.html
 7年間の旅から今年6月帰還した小惑星探査機「はやぶさ」が、小惑星イトカワの物質を直接、持ち帰ることに成功した。年明けにも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などによる詳細な分析が始まり、直径0・01ミリ以下の微粒子を通して宇宙を探る分析が本格化する。一方、はやぶさが実証した小惑星へのサンプルリターン(試料回収・帰還)技術を高めた後継機「はやぶさ2」の実現にも期待が高まっている。【山田大輔、関東晋慈】
 はやぶさが持ち帰った微粒子は、光学顕微鏡で見えない極小サイズだが、試料容器の一部を調べただけでも1500個以上が見つかった。「数が多ければ予想外の物が入っていたり、有機物が見つかる可能性も出てくる」。分析チームリーダーの土山明・大阪大教授(鉱物学)は意欲満々だ。
 分析には、直径0・01ミリ以下の微粒子を十数枚に薄く切るダイヤモンド製の極小ナイフ「ウルトラミクロトーム」や、輪切り写真が撮れる「X線CT(コンピューター断層撮影装置)」など、国内にある十数種類の実験装置を使う。中の結晶構造や化学組成などをつぶさに調べる。これにより、微粒子ができた年代や当時の温度、ガス成分など当時の宇宙環境が分かる。これは太陽系46億年の歴史を知る「物証」となる。もしも有機物が見つかれば、地球の生命がどこから来たかの謎解きに一石を投じる可能性もある。
 これまでは地上に落ちてきた隕石(いんせき)を集め、分類する方法が主流だった。「地球環境による汚染を受けていない物質を調べることは、これまでにない学問の始まり」と、チームの藤村彰夫・JAXA教授は強調する。
 JAXAは現在、はやぶさの技術を発展させ、新たな小惑星を目指す「はやぶさ2」計画を進めている。
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 さて調子に乗って天文関連ニュースをもう1編。

 先ほど隣国の状況を情報のブラックホールと称したところですが、今度は本物のブラックホールの話題。

 ブラックホールジェット自体の言葉は知っていたのですが、理論的なものは全く知りませんでした。正確には、ハイブリッド・ブラックホールジェットというそうな。これについて説明したサイトもありましたので、ついでにご紹介。


ブラックホールジェット:国立天文台など、新理論 「光の圧力が関係」 毎日新聞 11/16
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/11/16/20101116ddm016040025000c.html
 ブラックホールのごく近くから高速で噴き出すガスの流れ「ブラックホールジェット」を説明する新しい理論を、国立天文台と京都大のチームが構築した。この理論に基づいて、実際の観測値に合致する現象を、スーパーコンピューターで再現することにも世界で初めて成功した。
 ブラックホールは非常に強い重力を持ち、その内部からは光も脱出できない。しかし、ごく近くで発生するブラックホールジェットは、細いガスの流れが光に近い速さで数十万光年にわたって噴き出す現象で、なぜ強い重力を振り切ってガスが噴き出すのかは謎だ。
 国立天文台の大須賀健助教(ブラックホール天文学)らは、ブラックホールが周囲のガスを引き込む際、ガスの摩擦によって発する光の圧力が関係していると考えた。ブラックホールの重力や磁場など、従来考えられていた要因に光の圧力を加味して、ブラックホールジェットが生じる仕組みを理論的に説明した。
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ハイブリッド・ブラックホールジェット: スーパーコンピュータが解き明かした新タイプのジェット
 
http://th.nao.ac.jp/~ohsuga/news/hybrid-jet.htm
 国立天文台天文シミュレーションプロジェクト(CfCA)の大須賀健助教、京都大学大学院理学研究科宇宙物理学教室の竹内駿氏(元大学院生、現富士通)および嶺重慎教授の研究チームは、国立天文台のスーパーコンピュータ(Cray XT4)を用いた大規模シミュレーションにより、新しいタイプのブラックホールジェットを発見しました。
 ブラックホールはガスを吸い込むだけでなく、光の速度に近い速度で、細く絞られたガスの流れを噴出することが知られています。この噴出流(ジェット)は宇宙で最も激しいガス噴出現象の一つですが、強力な重力で周囲のガスを吸い込むブラックホールが、なぜ逆にガスをジェットの形で噴出するのか、未だに解明されていません。本研究では、光の圧力と磁場を巧妙に組み合わせるシミュレーションで、このジェットの形成メカニズムの解明に挑み、新しいタイプのジェットを世界で初めて発見しました。
 よく知られているようにハイブリッド車とは、その動力源としてガソリンと電気をうまく組み合わせることにより、環境にやさしくしかもパワフルで実用的な車を実現したものです。研究チームが提唱したモデルは、ジェットの駆動メカニズムとして従来から有力視されていた光の圧力と磁場の力という二つの力を巧妙に組み合わせることにより、従来のジェットモデルに比べ、より高速でかつ細く絞られたジェットを生み出すという画期的なモデルです。ハイブリッド車にちなみ、この新タイプの、ブラックホール近傍から噴き出すジェットは、ハイブリッド・ブラックホールジェットと名付けられました。
 より正確には、このジェットは、磁場の力で細くしぼられ、光の圧力で加速されるタイプのジェットです。多量のガスがブラックホールに吸い込まれる際、ガス中の磁場が増幅され、バネのようにぎっしり巻いた磁場構造が形成されます。この構造は磁気タワーと呼ばれ、ジェットを細く絞りこみます。同時に、ガスが放射した光の圧力が噴出ガスを加速するため、細く絞られた高速ジェットが発生するのです。この研究により、宇宙で知られている最もパワフルなジェット噴出を自然に説明することに成功しました。
 ブラックホールに吸い込まれるガスに働く光と磁場の力を同時に解くのは、高度な計算テクニックと超高速計算機を必要する計算であり、これまでは実行が困難でした。研究チームは国立天文台CfCAが有するスーパーコンピュータ(Cray XT4)を約2週間動かすことにより、はじめて新タイプのジェットの発見にいたりました。
 研究チームは、さらに大規模なシミュレーションを実行し、ジェットが周囲の星や銀河の進化に与える影響を解明することを計画しています。
 本研究は2010年10月25日発行の「日本天文学会欧文研究報告(PASJ)」に掲載されます。


 この手の話題には目が無いもので・・・もう一つ、ブラックホールについて。

 これはまた、ワクワクするようなニュースですね。私の年より若いブラックホールですか・・・もっとも5000万光年先での出来事ですが。宇宙年齢からすれば非常に画期的な発見で、今後、ブラックホールの増殖過程等を観察できる良い機会となりそうですね。ブラックホールについても再度調べてみましたが、ホワイトホール解というものもあるそうな。これって高気圧と低気圧みたいなものですかね???


観測史上最も若いブラックホールを発見 11/17
 
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20101117002&expand&source=gnews
 誕生後わずか30年と推定される観測史上最も若いブラックホールが、地球からわずか5000万光年の場所で発見されたことが11月14日に発表された。これにより、ブラックホールの成長の初期段階を観測することが初めて可能となる。
 ブラックホールのほとんどは、大質量星が超新星爆発を起こした後に生まれると考えられている。超新星爆発の後に残った超高密度の核は、小さいが質量が非常に大きい中性子星となるか、または崩壊してブラックホールとなる。新たな超新星爆発は毎週のように宇宙のどこかで発見されているが、生まれたばかりのブラックホールの観測は一筋縄ではいかない。
 ブラックホールはその性質上あまりにも密度が高いため、光さえもその重力から逃れることはできない。ブラックホールを観測するためには、重力に引き寄せられて周囲に円盤状に集積した物質を見つけるしかない。今回発見された誕生直後のブラックホールもこうして物質が集積する過程にあると考えられる。
 研究の共著者でハーバード・スミソニアン天体物理学センターのエイブラハム・ローブ氏は声明の中で、「ブラックホールの一般的な形成過程が観測されたのはこれが初めてかもしれない。しかし、この種のブラックホールの誕生を検知することは非常に難しい。X線観測を何十年も続ける必要があるからだ」と述べている。
 このブラックホールを生んだ超新星爆発は、1979年にアマチュア天文家によって初めて観測された。その後、NASAのチャンドラX線観測衛星など地球を周回する各国のX線観測衛星が、渦巻銀河M100で起きた超新星爆発によって放射されるX線をとらえた。
 各観測衛星は、1995年から2007年にかけてこの超新星爆発の残骸の観測を続けた。その結果、X線を放射し続ける明るい部分が見つかった。これは、物質がブラックホールに吸い込まれる際に凝縮して高温になっていることを示す。
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ブラックホール 
 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB
 ブラックホール (Black hole) は、重力が強く、光さえも抜け出せない時空の領域のことを指し、その中心に特異点が存在する。大質量の恒星が超新星爆発した後、自己重力によって極限まで収縮することによって生成したり、巨大なガス雲が収縮することで生成すると考えられている。ブラックホールの境界は、事象の地平面(event horizon) と呼ばれる。一般相対性理論では、厳密にはブラックホールは、『時空の他の領域と将来的に因果関係を持ち得ない領域』として定義される。
 21世紀初頭現在、ブラックホール自体を直接観測することはまだ成功していないが、周囲の物質の運動やブラックホールに吸い込まれていく物質が出すX線や宇宙ジェットから、その存在が確実視されている。銀河の中心には、太陽質量の×106?×1010倍程度の超大質量ブラックホール (super-massive black hole) が存在すると考えられており、超新星爆発後は、太陽質量の10倍?50倍のブラックホールが形成されると考えられている。20世紀末には、両者の中間の領域(太陽質量の×103程度)のブラックホールの存在をうかがわせる観測結果も報告されており、中間質量ブラックホール (intermediate mass black hole; IMBH) と呼ばれている。
 数式上は、すべての物質を呑み込むブラックホール解と相反するものとしてホワイトホール (white hole) 解が存在する。

 今日は久し振りでしたので、前置きが非常に長くなりました。以下はメインニュースですが、多剤耐性菌について上手くまとめられています。私の拙いコメントについては差し控えておきます。

 しかし、医学系のニュース配信のはずなのに、物理系や農業系が非常に多いですね。趣味の世界に走ってすみません・・・

 さて来週からは学会です。スライドまだ全然作っていないので、今夜あたりから頑張らないと・・・(--;
【日経メディカルオンライン 2010/11/10】
 多剤耐性菌事件の本質 Vol.1
 帝京大病院の対応は間違っていたのか? 孤軍奮闘を強いられる病院
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t115/201011/517323.html
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 9月、帝京大病院の多剤耐性アシネトバクター感染がメディアで大きく報道された。しかし、同病院の対策が後手に回ったのには無理からぬ事情もあった。同病院の事例を基に耐性菌対策の問題点を整理する。
 2010年9月3日。帝京大病院は多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii、以下MRAB)による院内感染が起こったとして記者会見を開き、その模様がメディアに大きく取り上げられた。新聞各紙は「46例から耐性菌検出。9例は死亡との因果関係を否定できず」などと報じた。
 同病院は10月2日、感染ルートの解明や再発防止策の確立を目指して、外部委員による独立調査委員会を立ち上げた(委員長:国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部信彦氏)。この委員会が調査を継続中ということで、10月中旬の時点では本誌の取材申し入れに対し「コメントを差し控えたい」との回答が寄せられた。10月21日に厚生労働省で開催された第9回院内感染対策中央会議(座長:東京医療保険大学長・小林寛伊氏)は、この問題を議題に取り上げた。ここでは同会議の資料を基に、帝京大病院の対応を検証する。

対策は発端症例から半年後
 資料によれば、同病院が過去の症例をさかのぼって追跡したところindex case(発端症例)は2009年8月と推定されている。これに対して同病院で1例目が検出され感染制御部がMRAB対策を取り始めたのが2010年2月。約半年のインターバルがある。
 MRABの場合、感染しても特有の臨床症状はほとんどない。そのため耐性菌の存在に気付かぬまま発端症例から時間が経過して感染が拡大しやすい。帝京大病院の場合もこういったケースだと考えられる。
 08年12月末~09年初めにかけてMRABのアウトブレイク事例を経験した、福岡大病院感染制御部長の高田徹氏は、「当初はMRABという認識がなかったことが、初期対応の遅れにつながった」と振り返る。
 アシネトバクターは土壌などの環境や消化管に生息する常在菌。免疫力が低下した患者では日和見感染の原因となり得るが、健康な人にとっては薬剤耐性があってもほとんど無害で病原性は弱い。しかし乾燥などに強く、ほかの菌が生息できない
ような環境でも生き延びるという特徴がある。
 国立感染症研究所を中心に行われている院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)のデータによると、検出されるアシネトバクターのうち、多剤耐性を獲得している割合は約0.2%とされている。臨床症状がない中で0.2%を見逃さないための体制づ
くりは容易ではない。
 「細菌検査に熟練した臨床検査技師がいてくれないと、耐性菌対策は出だしから後れを取ることになる」と自治医大病院感染制御部長の森澤雄司氏は話す。森澤氏は1日に1時間程度かけて約800件の検体からどんな細菌が分離されたか、検査室から報告されたデータでチェックしているという。

表1 帝京大病院における院内感染の経緯(院内感染対策中央会議資料を基に編集部作成)
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/report/t115/201011/closeup/517323_hyou1-2.html

 耐性菌対策を素早く実現するためには、病院の感染制御部門と、経験豊富な細菌検査室、病棟の臨床医の3者が、密接に情報を交換して疑わしい菌を絞り込み、培養で検出することが望ましい。しかし、それができる医療機関は限られているのが現状だ。帝京大病院でもMRABに気付くのが遅れたことに加え、情報共有にも時間がかかったと言えそうだ。
 なお、帝京大病院の場合は過去の症例を検討することが可能だったが、これも院内に細菌検査部門があったから。細菌検査を外部委託している病院では、事実上追跡は不可能だろう。院内に細菌検査室を持たない中小病院では、耐性菌の存在にさらに気付きにくいといえる。

封じ込め失敗の原因は
 感染制御部がMRABに気付いた後は、帝京大病院でも対策を施している。感染患者の個室隔離、標準予防策や接触感染対策の実施、病棟の一時閉鎖と消毒などだ。それにもかかわらず、MRABの封じ込めには至らず、感染患者はその後もしばらく増えている。
 この事実が示唆することは、多剤耐性菌対策は、菌が検出された患者のいる病棟だけ徹底してもだめということだ。病院全体で取り組む必要がある。そのためには一定のマンパワーも必要だ。
 帝京大病院では7月30日に、東京逓信病院院長の木村哲氏、福岡大腫瘍・血液・感染症内科教授の田村和夫氏を外部委員とする調査委員会を開き、後に報告書をまとめた。この報告書によれば、同病院では感染制御部専従のスタッフはICN(infection controlnurse)1人で、大半は兼任のスタッフだった。同報告書は病床規模の大きい大学病院では専従のスタッフとしてICD(Infection control doctor)が3人以上、ICNが4人程度必要だと提言している。なお、同病院は、10月21日からウェブサイトで感染制御部専従の医師を公募している。
 病棟の一時閉鎖を決断して強力な対策を実施しても、先にほかの部署や病棟に広がっていれば封じ込めは失敗する。実際に患者から検出された病棟だけでなく、ほかの病棟でも環境調査して監視培養を行うなど病院全体での対策が必要になる。内視鏡やカテーテルなどを使用する部門、患者のケアに使用した汚染物の保管場所などはとりわけ要注意の監視対象になる。
 福岡大病院の事例では、消毒済みのバイトブロックからもMRABが検出されたことから、高田氏は同病院でのアウトブレイクを「限られたスタッフで現場の医療機器・器具の消毒にも対応していたため、消毒管理が不十分になっていた可能性があった」と振り返る。
 福岡大病院ではアウトブレイク時、救命救急センターを1カ月強閉鎖。患者をセンターに集め、MRABが検出されなくなるまで管理した。患者をケアするスタッフも専従とした。
 「MRABのようなまれな耐性菌の場合、複数の検出事例があれば院内感染ととらえ、早期に介入し封じ込めを行うことが、感染を早期に終息させる手段となる」と高田氏は話す。同病院はその後、器具の消毒管理業務を中央材料部に集約。やむを得ず現場で管理する際は、勤務帯ごとに責任者を任命し、消毒管理表への記録を徹底した。また、感染対策室を独立部門としての感染制御部に格上げし、体制を強化した。
 感染制御部門にマンパワーを配置し、病院全体で感染を封じ込める体制を取る。それが十分にできず対策が後手に回ってしまった帝京大病院の事例は、多くの病院に様々な教訓を与えてくれたといえる。

多剤耐性菌対策が後手になりやすい理由
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/report/t115/201011/closeup/517323_hyou2-3.html

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【日経メディカルオンライン 2010/11/11】
 多剤耐性菌事件の本質 Vol.2
 要注意!注目の6つの多剤耐性菌 広く耐性示し難治例増える?
 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t115/201011/517344.html
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 新たな多剤耐性菌の登場に注目が集まる中、治療薬となる抗菌薬の開発が強く望まれている。しかし現状として、新規の抗菌薬の開発はあまり進んでいない。安易な抗菌薬の処方を控えることも重要だ。
 国立感染症研究所細菌第二部部長の荒川宜親氏は、国際的に注目されている耐性菌として、以下6つを挙げる。近年新たに出現して問題になっていたり、以前から存在が認められ、診療現場で対応に難渋することの多い耐性菌だ。以下でその特徴を順に見ていこう。
 国立感染症研究所細菌第二部部長の荒川宜親氏に、薬剤耐性菌のうち、最近新たに発見されたものや、以前から存在しているが現場で対応に難渋する菌を選定してもらった。

【多剤耐性アシネトバクター】
 今回の騒動の原因となった多剤耐性アシネトバクター(MRAB)の定義は、まだ確立されていない。ほとんどの抗菌薬に耐性を示すといわれ、免疫低下状態にある患者においては注意すべき存在だ。ただ、健常者に対しては基本的に無害。また、ほかのグラム陰性桿菌にない特徴として、乾燥した環境でも生き延びられる。
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/report/t115/201011/closeup/517344_hyou3.html
 欧米では2000年ごろから注目されており、わが国では08年12月~09年1月に、福岡大病院でのアウトブレイクが報告され、話題となった。その後、船橋市立医療センターや愛知医大病院でも検出された。幸いにも、これら2病院では感染者は1人にとどまった。いずれも感染源は海外からの帰国者だった。
 国内でのMRABの報告例はそれ以前からあるが、荒川氏によると、その遺伝子型に変化が起きているという。同氏は「福岡大病院での感染以降、同定されたMRABの遺伝子型は、従来から国内で分離されているものとは異なる。『外来型』が新たに国内に侵入してきており、『従来型』と比べて感染が広がりやすい傾向にあるようだ」と話す。ただし、病原性がこれまでより強まったとの報告はないという。帝京大病院でアウトブレイクを起こしたMRABが外来型であるかどうかについては、同病院を所管する都の研究所で、解析が進められている。

【カルバペネム耐性緑膿菌】
 MRABと同様にグラム陰性桿菌である多剤耐性緑膿菌(MDRP)も、現場で対応に難渋する菌の一つ。緑膿菌は土壌中や水中、動物の皮膚などに常在する菌で、MDRPは、カルバペネム系、アミノグリコシド系、キノロン系抗菌薬の3種類の薬剤に対する耐性を獲得したものだ。
 抗菌薬に対する主な耐性機構には、(1)抗菌薬の不活化酵素であるβラクタマーゼを有する、(2)作用点を変異させる、(3)抗菌薬を排出する─などが挙げられ、MDRPはこれらをすべて有する。MDRPはMRABと同様、健常者にとっては基本的に無害な弱毒菌だが、一方で免疫低下状態の患者においては、重篤な日和見感染をもたらし得る。そのため、ICUなどの免疫の低下した患者が集まる空間においては、きめ細かい感染管理が求められる。
 日本化学療法学会が09年、全国752施設を対象に実施した調査では、7割近くの病院がMDRPを検出したと回答。うち約半数の施設で尿路感染症などを引き起こしていた。同学会は予想以上に広がっているとして、注意を喚起している。

NDM-1型メタロβラクタマーゼ産生腸内細菌】
 日和見感染ではなく、健康な人間でも膀胱炎などの感染を起こすことで、重症化が懸念される多剤耐性菌が、New Delhi Metallo-β-Lactamase-1(NDM-1)産生腸内細菌と、Klebsiella pneumoniae carbapenemase(KPC)産生肺炎桿菌だ。
 NDM-1は、βラクタマーゼの一種であるメタロβラクタマーゼと呼ばれる酵素で、カルバペネム系抗菌薬を分解する。NDM-1産生菌は、カルバペネム系のほか、フルオロキノロン系やアミノグリコシド系抗菌薬にも耐性を示すといわれる。インドやパキスタンで医療行為を受けた患者を介して欧米に持ち込まれたと考えられており、英国でも急増していると報告された。
 「その他」には、KPC産生株などが含まれている。近年総じて急増しており、NDM-1産生株は著しく増えている。(出典:Lancet Infect Dis2010;10:597-602.)
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/report/t115/201011/closeup/517344_zu2.html
 わが国でNDM-1産生菌の検出を最初に公表したのは獨協医大病院。10年9月6日、同病院が09年4月に入院したインドからの帰国者から、NDM-1産生大腸菌を検出していたことを報告した。また、10年10月4日には、10年8月にさいたま市民医療センターに入院した患者の尿からNDM-1産生肺炎桿菌が分離されたことが判明した。いずれも1例の検出にとどまり、感染が拡大することはなかった。ただ、2例目の患者には海外渡航歴がなく、既に市中に感染が拡大している可能性もある。
 荒川氏は「NDM-1産生株は大腸菌や肺炎桿菌といった腸内細菌科のため、腸内や環境中に定着しやすい」と話す。そういった菌が抗菌薬に耐性を示すと、「健康な人間であっても、腎盂腎炎などを引き起こした場合に治療が非常に困難になる恐れがある」と、県西部浜松医療センター副院長で感染症科長の矢野邦夫氏は懸念する。その意味で、日常診療に対するインパクトは大きい。
 さらに問題なのが、これらの耐性遺伝子はプラスミドと呼ばれるDNA分子を介して比較的容易に伝播するということだ。同じ腸内細菌科に属し、かつ病原性の強いチフス菌や赤痢菌などに今後、耐性遺伝子が伝播する可能性も否定できない。実際、今年8月に行われたInterscience Conference on Antimicrobia lAgents & Chemotherapy(ICAAC)では、NDM-1産生株がサルモネラ菌から発見されたとの報告があった。また、同じく腸内細菌科のセラチアやシテロバクタなどにも伝播する可能性があるという。

【KPC型カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌】
 NDM-1産生菌と同様、KPC産生肺炎桿菌も現場を脅かす可能性が高い多剤耐性菌だ。肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)のうち、カルバペネム分解酵素(カルバペネマーゼ)を産生する株のことを指す。1996年に米国で最初に分離され、現在ではKPCの種類に応じて複数のタイプに分類されている。
 わが国の最初の検出例は08年4月。米国から帰国し、九大病院に肺炎で入院した患者から検出された。遺伝子検査の結果、欧米で特に増加しているとされるKPC-3産生型と判明している。

【第三世代セファロスポリン耐性腸内細菌】
 「NDM-1産生菌などに比べると治療に手立てはあるものの、最近報告数が増えており厄介」(矢野氏)なのが、第三世代セファロスポリン系抗菌薬にも耐性を示す、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌だ。
 荒川氏は、「2000年以降、第三世代セファロスポリンのセフォタキシムやセフトリアキソンに耐性を示す大腸菌が急に増えている」と話す。また、それらの多くはフルオロキノロン系抗菌薬にも耐性を獲得しており、尿路感染症の治療などに難渋するため、診療現場でも注目されている。矢野氏は「ESBL産生菌への感染により腎盂腎炎を発症した場合、セフトリアキソンが使えないので、最初から広域抗菌薬であるカルバペネム系抗菌薬を使わなければならない」と語る。

【バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌】
 バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が、バンコマイシン耐性腸球菌などからプラスミドを介して、「vanA」などのバンコマイシン耐性遺伝子を獲得したもの。もしVRSAのアウトブレイクなどが起これば、MRSAに増して対応に苦慮する存在になると予想される。「幸いなことに現時点では、VRSAがヒトからヒトへ感染が拡大した例は、海外でもまだ報告されていない」と荒川氏は話す。ただ保菌例については時折報告されているため、今後の発生動向に注意が必要だろう。

治療は併用療法が鉄則
 これまで紹介したような多剤耐性菌に、単独の抗菌薬の投与で効果を上げるのは困難だ。しかし、「βラクタム系とアミノグリコシド系などの併用療法が奏効する可能性はある」と、東邦大微生物・感染症学准教授の舘田一博氏は話す。国内で使用できる薬剤の中では、ホスホマイシンが有効との報告もあるという。
 さらに現在、MRABやNDM-1産生株への有力な「特効薬」として期待されているのが、コリスチンの注射剤とチゲサイクリンだ。
 コリスチンは、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で有用性が高いとして、日本化学療法学会などが開発を要望。グラクソ・スミスクラインが治験を引き受けることとなった。近々第I相試験を開始し、その後承認申請を行う予定。「来年には臨床応用できるようになるのではないか」と、日本化学療法学会理事の三鴨廣繁氏は期待を込める。同様にチゲサイクリンの認可を求める声も多く、開発が検討されているところだ。
 ただ、コリスチンが奏効しない例も見られ、韓国などではコリスチンに耐性を示すMRABが出現したとの報告もある。「使えるようになるからといって、単独で使用したり安易に多用したりすると、新たな耐性菌を生むことになる。少なくとも、βラクタム系やアミノグリコシド系などの抗菌薬と併用して使われるべきだろう」と舘田氏は念を押す。
 こういった強力な薬剤の開発は必要だが、それ以前に、抗菌薬を安易に処方すべきではないという認識も重要だろう。「風邪の患者にも“取りあえず”必要のない抗菌薬を処方したり、漫然と長期に抗菌薬を投与するといったケースは少なくない」と、矢野氏は懸念する。現場は耐性菌対策の観点からも、抗菌薬の処方を見直す必要がありそうだ。
 同時に、「抗菌薬の服用についての患者指導にも力を入れるべき」と荒川氏は強調する。起炎菌を完全に排除するために、用量を守り、途中で服薬を中止したりせず、使い切るように指導することが重要といえる。
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【日経メディカルオンライン 2010/11/11】
 多剤耐性菌事件の本質 Vol.3
 地域で院内感染対策に取り組む北九州 手指衛生から徹底図るKRICT(北九州地域感染制御ティーム)
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t115/201011/517323.html
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 耐性菌の増加に伴い、院内感染対策の充実が求められている。院外から耐性菌が持ち込まれるケースも増えており、自施設内だけでの対策では不十分だ。今後は地域全体での感染対策が急務といえる。
 新たな多剤耐性菌の出現などを受けて、医療機関は今まで以上に真摯に感染対策に取り組む必要に迫られている。しかし現実には、マンパワーや費用などの制約により、「どこまでやるべきなのか」など、現場の悩みは尽きない。また、検査室がないといった理由から、自施設での菌の同定ができない場合は、個々の医療機関の努力だけでは限界がある。
 さらに近年では、患者が市中やほかの医療機関から耐性菌を保菌し、それが院内に持ち込まれるケースが増えている。いまや感染対策は、病院単位でなく、地域全体で取り組むことが求められているといえる。

草の根的に感染対策を実践
 厚生労働省も数年前から、中小病院の院内感染対策を支援するモデル事業として「院内感染対策地域支援ネットワーク」を設置している。しかし、2009年度に同事業を実施したのは7府県。全国規模での取り組みには至っていないようだ。
 そんな中、草の根的に地域で感染対策を実践する取り組みが注目を集めている。その一つが、北九州市周辺地域の感染対策の中核を担っている、NPO法人「北九州地域感染制御ティーム(KRICT)」だ。
 KRICTは、医療機関だけでなく、老人保健施設や特別養護老人ホームなども視察し、感染対策の改善点を助言している。アウトブレイクが起こった際には保健所とともに出向き、視察の上、終息化と再発防止のための対策を講じる。活動範囲は市内にとどまらず、県外の施設から要請を受けることも多いという。KRICTの理事を務める、北九州市立八幡病院副院長で、救命救急センター長の伊藤重彦氏は、「地域全体のレベルを底上げしたい」と話す。
 施設によって、スタッフの感染症に対する知識レベルも、投入できる資金も違うため、実行できる感染対策も異なる。理論上完璧な対策であっても、実行できないことを無理に指導しても続かないため、施設の実情に応じて、スタッフが確実に行える対策を提案している。

「常識」の再確認から
 例えば、院内感染対策で最も重要視されている手指衛生。伊藤氏は「もし手指衛生が徹底できれば、感染対策の9割は達成したようなもの。だが、当たり前だと思っていても実は意外と徹底できていない。ピットフォールは多い」と話す。
 その「常識」を現場で再確認することから指導は始まる。例えば速乾性すり込み式アルコール製剤による手指消毒は、洗面所のない場所にも置けて実践しやすく、洗面所での手洗いと合わせると効果が高い。KRICTでは、英国National Health Service(NHS)のガイドラインなどに基づき、(1)十分量(液状であれば3mL、ジェル状であれば2プッシュ)を手に取り、洗い残しのないよう時間をかけてすり込む、(2)連続10回以上のアルコール手指消毒の後は、石鹸と流水で手を洗い、物理的にも菌量を減少させる─という指導を行っている。
 だが、「いくら方法を会得しても、適切な場所にアルコール製剤を置かなければ意味がない」と伊藤氏。わざわざ歩いて行かなければならないような廊下の角にあるか、スタッフの動線に沿って置いてあるかなどの違いで実施率に差が出るという。
 また、スタッフの共用物を汚染させないことは院内感染対策の絶対条件。そのためには、医局やスタッフルームのパソコンの前、カルテを保管する棚の横など、院内の共有物の付近にもアルコール製剤を設置しておく必要がある。アルコール製剤を持ち歩く人もいるが、その容器自体が汚染源になるリスクもあるので、細心の注意が必要だ。
 そのほか、ペーパータオルなどの備品の位置や補充の仕方など、手指衛生ひとつとっても、複数のポイントが挙げられる。KRICTでは、視察に行った際にはこれらを一つひとつチェックし、改善すべき点を指導している。
⇒ 続きはこちらをクリック

 

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エコピーマン

ビックバン 宇宙は加速度的に広がっているそうです 最期にはその未知の力に引力や銀河の軌道も引っ張られて全て破壊されるそうです
宇宙って不思議ですね
by エコピーマン (2010-11-21 01:03) 

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