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0903-583号 iPSで臓器作成 ヒト応用、技術的課題多く 倫理面も幅広い議論必要 [kensa-ML NEWS 【情報】]


 やっと週末が見えてきた金曜日。金曜日ともなるとデスクワークの疲れが腰や肩などにどっと出てきます。今週は月初めということもあり、各種提出書類の整理やそろそろ本格的に稼働しなければならない院内プロジェクト、院外プロジェクトについてのプランを練っていました。まだ完成にはいたっていませんが、作業を進めながら自分が学生だった頃を思い出し親に言われていたことをかみしめております。「プランを立てるのは一流、プランを忘れるのも一流、プラン実践は三流以下」

 さて各社の社説やコラムは民主党代表選の話題で持ちきり。いい加減辟易してきました。同じ内容ばかり掲載せんでもええんとちゃいますか?

 何か心に響くようなものは無いかと探していたところ、良い話で終わらせるのではなく、考えさせられる内容でした。感性の完成度の高い方は他人の痛みを切実に感じられる方でもあるんでしょうね。小澤さんもそうですが、この記事を書いた記者さんの感性も私にはグッとくるものがありました。痛みが分かる方なのかな?


発信箱:オザワさんの背中=本橋由紀(夕刊編集部) 毎日新聞 9/3
 
http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/index.html?link_id=OE002
 Tシャツから透けて見えた肩甲骨から肩にかけての筋肉はこんもり盛りあがっていた。引き締まっているが柔らかそうで美しい。芸術作品のようだった。東京都内の大学病院2カ所で、指揮者の小澤征爾さんが仲間の混声合唱団を率いてミニコンサートを開いたのは01年。控室で目にした「世界のオザワ」の背中は今もまぶたに焼き付く。
 小児がんの子どもを励ましに出かけた小澤さんは演奏後、幼い子どもたちの目の高さに合わせてかがみ込み、涙を浮かべながら話しかけた。子どもたちへの熱い思いに、同行した私も同僚も目頭を押さえた。
 「幼い子が病気と闘っていることを知った。音楽で心をつなげられれば子どもの安らぎになると少し分かった。音楽家になって良かった」。翌日、東京国際フォーラムで開かれたコンサートではそう語った。小学1年の小屋敷渚沙(こやしきなぎさ)ちゃんら6人が花束を持って舞台に上がると、指揮台に座らせラデツキー行進曲を指揮。4000人の聴衆が大きな拍手で応えた。会場が一体となった軽快な響きも耳に残っている。
 2歳でがんを発病し再発を繰り返した渚沙ちゃんは、この小澤さんとの出会いでバイオリンを始めた。発表会前に「ドキドキしている」と手紙につづると、小澤さんは03年のオペラに小児がんの子どもと家族100人を招いた。渚沙ちゃんが行くことはかなわなかったが、招待は以後も続いた。

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 さてここからは医療関連ニュースに移ります。

 まずは先天性心疾患の原因を発見?の話題。全ての先天性心疾患に関してのことではないと思います。当然のことながらここを抑えたら完全制圧というものではないことを認識していただきたいのですが、先天性心疾患の中で心臓壁や弁に関する異常は結構な数があります。心室中隔欠損が60%、心房中隔欠損が7%、あとは血管配置異常や奇形異常が多いとされますので、約70%の症例で原因が追究されるかも?ということになります。まだまだ今後の研究進捗により様々なことが判明してくる可能性があり、非常に期待出来る内容ですね。


先天性心疾患の原因発見 カルシウム調節の異常で 共同通信 9/2
 
http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010090201000071.html
 胎児の時に、細胞中のカルシウム濃度を調節する機構に異常があると、心室の壁ができないなど、先天性の心疾患につながることを、慶応大と理化学研究所のチームがマウスを使った実験で突き止め、1日付の米科学誌プロスワンに発表した。
 日本では出生児の約1%、年間1万人以上が、心臓に何らかの病気を持っている。同大小児科の山岸敬幸専任講師は「こうした病気の予防法開発に向け、手掛かりの一つになる」と話している。
 チームは、体の細胞の中でカルシウム濃度の調節にかかわる「イノシトール三リン酸受容体」と呼ばれるタンパク質のうち、1型、2型という種類をつくることができないマウスの胎児を遺伝子操作で作製。するとこのマウスは、心臓の厚い壁をつくる細胞ができなくなった。
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 先日、鳥インフルエンザの話題を配信したところですが、今日はインフルエンザワクチン投与方法の話題と、抗ウィルス薬投与時期により死亡率に差が出たといった話題。

 インフルエンザに対する予防手段としてはワクチン接種があまりにも有名です。このワクチン接種に関し吸引型(粘膜吸収型)のものを開発中と以前ニュースで配信しました。接種ワクチンより経鼻ワクチンの方が免疫応答が良好とのデータも出ていましたが、いよいよ臨床研究が開始される見込みです。注射が嫌いな小心者のお父さん、期待しましょう!ちなみに私は注射なんてちっとも全然怖くありません!

 もう一件は抗ウィルス薬の投与時期が早ければ早いほど死亡率が低いというもの。当たり前と言えば当たり前なのですが、時期だけではなく人種差はどうなのでしょう?何か関与している遺伝子など無いのでしょうか?


鼻からインフルワクチン、10月から臨床研究 厚労省 朝日新聞 9/2
 
http://www.asahi.com/health/news/TKY201008310002.html
 鼻に吹きつけるだけでよいインフルエンザワクチン(経鼻ワクチン)の効果を調べる臨床研究が10月に始まる。米国では市販されている製品もあるが、日本ではまだ動物実験段階で人での本格的な研究は初めてだ。注射器がいらないため、新型インフルなどの大流行に備えて多くの人に素早く使える。
 厚生労働省の研究班(代表=長谷川秀樹・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター第6室長)が実施する。ワクチンは阪大微生物病研究会が従来の季節性インフル(A香港型)のウイルスを化学処理し、毒性をなくしたものをもとにつくる。
 30~50人の健康な成人に約1カ月をあけて2回、鼻に噴霧してもらい、体内でどんな免疫反応が起こるか、鼻汁や血液などにある免疫細胞などを分析。来年以降の実用化を目指すという。
 従来の注射するワクチンは、ウイルスの感染を防ぐというより、体内で感染したウイルスの活動を抑えて重症化を予防するものだった。一方、経鼻ワクチンは、ウイルスがとりつく鼻やのどの粘膜の免疫を活性化し、感染を防ぐ効果があるとされる。

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新型インフル、早期投薬で死亡率に差 横浜の医師ら結論 朝日新聞 9/3
 
http://www.asahi.com/health/news/TKY201009020518.html
 新型の豚インフルエンザによる日本の死亡率が世界的に極めて低かったのは、48時間以内に治療を受けた患者が多かったためだ。けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師らのチームが国内で1千人の小児患者を分析してこう結論づけた。3日から香港で開かれるインフル対策の国際会議で発表する。
 昨年6月から今年1月までに国内25病院に入院した小児の1千人分(平均年齢6.4歳)を調べた。亡くなったのは1人。症状は65%が息ができなくなるなどの呼吸器障害で、26%が脳症やけいれんなどの神経に障害が出るものだった。9%は脱水症状。
 ほぼ全員の984人が抗ウイルス薬を飲んでいた。症状が出てから抗ウイルス薬を飲むまでの時間がわかった667人では、48時間以内に薬を飲んでいたのは89%だった。このうち29%が12時間以内、38%が12~24時間以内と、さらに早い時期に飲んでいた。
 米国では48時間以内は39~51%にとどまった。抗ウイルス薬を飲んでいた小児の割合自体も75~79%と低かった。アルゼンチンは48時間以内が12~13%だった。
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 さて本日のメインニュースに移ります。今日は再生医療。

 まずはマウス実験で動脈と静脈が同時に作成できたというニュース。5年ほどで実用化できるのでは?ということで、心筋梗塞だけではなく様々な動脈硬化性疾患などにも適応可能と思われますが、がんなどの血管を巻き込む疾患を持つ患者に対してはどうなんでしょう?と素朴な疑問。逆に悪性新生物を助長する可能性があるのかな?と素人考えです。


血管:静脈・動脈を同時に作成 心筋梗塞治療に道--都臨床医研、マウス実験で 毎日新聞社 9/2
 
http://mainichi.jp/select/science/news/20100902dde007040047000c.html
 マウスの皮膚の下に人工的に動脈と静脈を同時に作ることに、東京都臨床医学総合研究所などの研究チームが世界で初めて成功し、米医学誌サーキュレーションに発表した。心筋梗塞(こうそく)などの治療法開発が期待される。
 研究チームは乳がん発症を抑える機能を持った遺伝子が、皮膚の下に正常な血管を作るのを妨げる「ストッパー」という役割も果たしていることを発見した。そこで、ストッパー機能を消す分子を新たに作り出し、マウスにこの分子を体内で作らせる物質を注射。5日目には、注射をしていないマウスに比べ、約10倍の長さの動脈と静脈が作られることを確認した。

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 次はiPS細胞により臓器を作成できたというトピック。拒絶反応を起こさない人工臓器?として非常に期待感高まるものですが、記事に書かれているように「借り腹」することで倫理上の問題等発生してきますね。きっと。臓器売買が国際問題にも発展している中、お金のために私のお腹を貸しましょう!なんてビジネスが出てきたら・・・遺伝子操作したトウモロコシでさえ大問題となっているのに、今回のケースはそれと比較出来ないほど、スケールの大きいものです。


iPS細胞:東大医科研、臓器作成に成功 マウス体内にラット膵臓 毎日新聞社 9/3 東京朝刊
 
http://mainichi.jp/select/science/news/20100903ddm001040043000c.html
 さまざまな種類の細胞になることができる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使い、マウスの体内にラットの膵臓(すいぞう)を完全な形で作ることに、東京大医科学研究所の中内啓光教授(幹細胞生物学)のチームが成功した。iPS細胞からは心臓や神経などの細胞が作られているが、正常に機能する臓器を作ったのは世界初。この方法を応用すれば、動物の体でヒトの臓器を作り、臓器移植に利用できる可能性がある。3日付の米科学誌セルに発表した。
 受精3~4日後の動物の受精卵の中に、iPS細胞を注入すると、元の受精卵が持つ遺伝子とiPS細胞側の遺伝子が混じり合った「キメラ動物」ができる。チームは、膵臓を作る遺伝子を働かないようにしたKO(ノックアウト)マウスから受精卵を作成。そこに正常なラットiPS細胞を注入、借り腹マウスの子宮に移植した。
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【毎日新聞社 解説 2010/09/03】
 iPSで臓器作成 ヒト応用、技術的課題多く 倫理面も幅広い議論必要
 
http://mainichi.jp/select/science/news/20100903ddm002040061000c.html
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 東京大のチームが、マウスの体内でラットの膵臓(すいぞう)を作ることに世界で初めて成功した。臓器作成は、機能不全になった臓器を交換する「再生医療」の切り札で、海外ではヒトの細胞を使った研究が始まるとみられるが、技術、倫理両面を含めた課題解決が必要になる。
 成功の鍵は、キメラ動物の作成にある。哺乳(ほにゅう)類でキメラ動物が作成されたのは84年のヒツジとヤギの組み合わせのみで、技術的に難しかったからだ。
 チームが使ったのはマウスとラットだ。両者は外見上似ているが、ラットの体重はマウスの10倍ある。ラットに胆嚢(たんのう)はないがマウスにはある。この違いは興味深い現象の発見につながった。マウス受精卵にラットiPS細胞を入れたキメラは小さなマウスサイズで胆嚢があり、ラット受精卵にマウスiPS細胞を入れると大きな体で胆嚢がなかった。受精卵の性質が、注入したiPS細胞より優先されていると言え、この技術を応用すれば、ブタなどの体内でのヒトの臓器作成が現実性を帯びてくる。
 しかし、ヒトiPS細胞ではキメラを作る能力が見つかっていない。また、ヒトで応用するには目的の臓器以外にならないよう厳密な制御も求められる。
 クローン規制法に基づく指針は、動物とヒトの細胞が混じった細胞を子宮に戻すことを禁止する。研究責任者の中内啓光東大教授は「ヒトの臓器を作ることにはさまざまな意見があるだろう。議論を深めていきたい」と話す。【奥野敦史】

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コメント 1

chi-cyan

ご訪問・NICE!ありがとうございました。

朝日新聞記事しか知りませんでしたが、新聞もいろいろ読む方がいいですね。ありがとうございます。凄く、よくわかります。

by chi-cyan (2010-09-04 10:47) 

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    遠位型ミオパチーという病気をご存知でしょうか? 
    筋肉そのものに原因があって、筋力が低下する「ミオパチー」といわれる疾患の中で治療法が全くなく、
    体幹部より遠い部分から徐々に筋力が低下していく非常に重い筋肉の進行性難病です。
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