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0716-550号 【情報】 特集:改正臓器移植法、あす施行 [kensa-ML NEWS 【情報】]


 梅雨もほぼ終焉に近づき、いよいよ過酷な猛暑が待ち受けております。連休明けくらいから軒並み最高気温30度はオーバーの予想ですが、東京、名古屋あたりでは35度以上の酷暑・・・グラウンド上では50度近くになりますね・・・(--;

 梅雨は終焉ですがまだ大気が不安定な状態で突風や急な豪雨など想定されることですので、災害等には充分にお気を付け下さい。

 明日からは三連休となります。私は三連休とも[野球][手(パー)]三昧・・・とはいえ、仕事も溜まっていますので、野球から帰った夜はお仕事です・・・(--; たまにはゆっくりと過ごしたいものですが、怠け癖がついてもよくありませんので、こんな状態で良いのかも・・・ここからはSSCネタ。
 先週、北河内大会が雨のため順延となりましたので、土曜日に乙訓4回戦とPOP1回戦、日曜日に北河内大会決勝戦、月曜日に南京都大会決勝戦と北部リーグ・・・夜は祝勝会・・・のような段取りです。全勝となるよう祈っていてください[ひらめき]


 今朝のコラムご紹介。主要新聞社5社の中で改正臓器移植法について記載していたものは1社だけ。まずはそのご紹介。しかしここにきてドナー側施設の問題が大きくクローズアップされ、臓器移植の拡大に結び付くのか、非常に疑問です。それと今回の改定について小学校や中学校ではどのように説明されているのでしょう?全くインフォメーションなしでしょうか?非常に難しくデリケートな問題ですので、安易な内容を生徒に伝えて混乱をもたらして欲しくないですし、それならば、まずは日本における移植医療の現状などインフォメーションすべきことは山ほどあると思います。新聞社も○○すべきである、みたいな無責任な言い方をせず、何か案があるなら出してもらえばと思うのですが。これも報道機関の言い回し特徴ですか?

改正臓器移植法 家族で意思を確認し合おう(7月16日付・読売社説)
 
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100715-OYT1T01130.htm
 改正臓器移植法が、あす17日から全面施行される。移植医療の可能性を大きく広げるものだ。
 1997年に施行された臓器移植法は、脳死状態の人から心臓などの提供を受ける際に、国際的にも例のない厳しい条件を課してきた。
 本人が意思表示カードなど書面で提供の意向を示していることが大前提で、それでも家族が反対すれば移植できない。意思表示が可能なのは15歳以上で、乳幼児間の臓器移植は認められなかった。
 施行される改正法は、欧米など多くの国と同様、本人の意思が分からない場合には、家族が承諾すれば臓器の提供を認める。
 この13年間で86例にとどまる脳死移植は、毎年30例以上に増えると推測されている。乳幼児間の移植も可能になる。
 今月13日、東京に住む7歳の女の子が心臓移植の可能性を求めてカナダに向かった。今後はそうした子どもたちにも、国内で移植を受ける道が開かれる。
 ただし、生命力の強い子どもの脳死判定は、大人よりさらに厳密に行う必要がある。親の虐待で脳死状態になった子が、その親の承諾で臓器提供者になることもあってはなるまい。
 厚生労働省は、子どもの脳死判定や虐待可能性の判断について指針をまとめているが、疑問が生じないように厳格な運用が求められる。事後検証も重要だ。
 気になるのは、改正法の内容が十分に周知されていないことである。読売新聞が6月に行った世論調査で、改正法の主要な規定を理解している人は39%にとどまっている。政府は啓発活動に、より一層取り組む必要があろう。
 家族の判断でも移植は可能になるとはいえ、本人の意思がはっきりしていれば、それが第一であることに変わりはない。
 17日以降、運転免許証の裏面に臓器提供意思の記入欄が設けられるほか、新たな意思表示カードもコンビニなどで配布される。
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 今日は医療系ニュースばかりですのでどんどん行きます。

 私この病気に関して何の知識もなかったもので(というか先天性巨大結腸だったか、その位の知識)日本小児外科学会のHPから病気に関しての必要事項を抜粋しました。疑問は全腸管型の場合、正常部分ってどこなの?って素朴なものです。その他として、正常部分を検索するのはどういった方法で?やっぱり生検しかないのかな?とか色々湧いてきます。どなたかお教えいただけますか?

ヒルシュスプルング病 http://www.jsps.gr.jp/05_disease/gi/hirschsprung.html
 ヒルシュスプルング病は,消化管の動きを制御する力を持っている腸の神経節細胞が,生まれつき無いために重い便秘症や腸閉塞をおこす病気です.この病気では腸の神経節細胞が肛門から口側に様々なところまで連続してみられないことが特徴です.消化管の神経節細胞は胎齢5週から12週頃にかけて,食道の口側の端に発生し肛門に向かって順々に分布してゆきますが,この過程に何らかの異常がおこり途中で分布が止まったために起こります.この病気の約80%は,神経節細胞のない腸(無神経節腸管)の長さが肛門からS状結腸くらいまでなのですが,なかには大腸の全部,あるいは大腸だけでなくさらに小腸までおよぶ長い例もあります.
 症状は新生児や乳児の時期にみられることが多いです.生まれつき便が出にくい「便秘気味」のお子さまは大変多いのですが,この病気ではおなかの張りが非常に強く嘔吐を伴うことや,重い腸炎や,腸に壊死や穿孔が起こって危険な状態になることもあります.
 診断は小児の一般的な診察や検査のほかに専門的な検査を行います.それには,(1)おしりから大腸を造影して細くて動きの悪い腸とその範囲を調べる注腸造影検査,(2)おしりの締め具合をはかって,正常であれば肛門の括約筋にみられる弛緩反射がないことをみる直腸肛門内圧測定検査,(3)直腸の粘膜を少し切り取って神経の異常を顕微鏡でみる直腸生検検査,などがあります.
 治療は手術が必要です.神経節細胞のない腸を切り取り,神経節細胞のある口側の正常の腸を引き降ろして肛門とつなげることが基本です.おなかを開ける手術のほか,最近では傷痕を小さくするために腹腔鏡を使って行う方法や,すべての手術を肛門から行う経肛門手術などがよく行われています.手術後に少し便秘や腸炎が残ることもありますので,手術後に排便を行うための訓練をしたり,おしりの機能を調べたりすることもあります.またお子さんの成長と発育が順調に進むよう,長期にわたって外来での経過観察が必要です.


腸の重病男児に初の手術法 正常部分切り、筒状に縫合 共同通信 7/15
 
http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010071501001154.html
 石川県立中央病院(金沢市)は15日、生まれつき小腸や大腸で神経機能が失われた「全腸管型ヒルシュスプルング病」の男児(2)に対して、残った正常な部分の腸管に左右から交互に切り込みを入れ縫合、筒状に形成する手術を実施、成功したと発表した。
 この手術法は2003年、米ハーバード大で開発され、腸が短い患者に対してはこれまでも実施例があるが、同病院によると、ヒルシュスプルング病の患者に対して行い、成功するのは世界で初めてとしている。
 ヒルシュスプルング病は新生児5千人に1人の割合で発生。最も重い全腸管型の場合、小腸や肝臓が機能しなくなり死に至る。男児は昨年10月、正常な神経を持つ腸管約20センチに左右から切り込みを入れ、1メートルの長さにし縫合、人工肛門につなぐ手術を受けた。
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 近年「利益相反」という言葉をよく耳にします。以前在籍していた施設では治験や研究が非常に盛んでしたので、耳にタコが出来るくらい聞きました。

 私自身、政策医療臨床検査連絡会の事務局という立場ですので、公明正大な判定をするためには企業との癒着や怪しい関係はもってのほかですので、利害関係のある企業講演に行ってもお金を受け取らない姿勢をこの十数年貫いています。また近年でこそ理解していただける方や協力していただける方が増えてきて、助成研究費をいただいて研究を行うことが出来るようになりましたが、十年間ほどは自費持ち出しで研究や活動を進めてきた経緯があります。研究者に対し鞭ばかりでは当然モチベーションが下がることも予想出来ますが、そこは研究者の信念というかモラルの問題ではないかと思います。ただ苦労を続けてきた者にとっては「うちの会社でちと面倒を見てあげましょうか?」なんて甘い囁きに乗ってしまう気持ちも分からないではありませんが、自身の背中をいつも他人、特に後進の方々から見られているという意識を強く持ち、自身の信念に基づいて行動を起こすしか術がないのでは?と私は思います。

 いずれにしてもバブルは崩壊している訳ですから、公明正大に透明性を持って研究を行わないと、折角の研究に水を差しかねないことにもなりかねません。

利益相反:医学系学会「指針」2割 透明性確保進まず 毎日新聞 7/16
 
http://mainichi.jp/select/science/news/20100716ddm002040065000c.html
 臨床研究の信頼性向上に必要な「利益相反に関する指針」を整備している医学系の学会は、全体の約2割にとどまることが、日本医学会(高久史麿会長)の調査で15日明らかになった。欧米の主要な医学会は同様のルールを持ち、日本医学会は「学会の意識改革が急務だ」と指摘している。
 調査は今年6月、日本医学会に加盟する国内の医学系学会108団体に策定状況などを尋ね、107学会が回答した。
 その結果、利益相反に関する指針を策定済みの学会は21・5%。「今年度中に策定予定」が22・4%、「策定時期は未定」が33・6%だった。指針の有無にかかわらず、臨床研究の結果を公表する際、利益相反があれば自己申告するよう会員へ求める学会は、学会発表で3%、論文発表でも33・6%にとどまった。論文投稿規定に、利益相反の公表方法を明記していない学会も半数近くあった。
 臨床研究の結果は、病気の治療や予防に影響を与える。学会はそれらの結果を公表する場になるほか、治療指針の策定などにも携わるため、学会活動の透明・中立性が強く求められる。半面、大学での利益相反対策に比べて取り組みが遅れているとの指摘がある。
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 さてメインニュースに移る前に、筆休めというか、そのような記事です。

 どのご施設も患者さんの待ち時間について色々と悩みが尽きないことと思います。朝の診療受付から始まって、採血室における待ち時間、診察を受けるまでの待ち時間、支払時の待ち時間などなど、様々なところで患者さんに待っていただくことが多いことかと思います。それこそ豊富なスタッフを雇って患者さん一人に一人ずつなんて対応が出来る訳ないですから、どうしても患者さんの視線は、スタッフの言動などに注目が集まり(何であのスタッフ何にもせずにうろうろしているんだろう?あの口のきき方は何?など)、不快な思いをされる方も多いのでは?と思います。どのご施設でも業務改善に取り組み、患者さんの導線やスタッフ動線の見直し、さらには病院そのものの構造体の見直しなどなど、様々なご苦労をされているのだと思います。でも患者さんの立場でものを考えたら、そんな苦労など関係無い、結果が全て!と思われることも致し方の無いところ。

 以下の記事にもありますように、いかに待ち時間を有意義に過ごしていただけるのか、と視点を変えて検討するしか今のところ仕方ないのかな?とおもいますので、当たり前と言えば当たり前。在籍してきた数施設で同じような問題があり、やはりアメニティの充実で矛先、気分を変えるしか手が無いなと思って色々な提案をしましたが、なかなか私の提案は病院という古典的な封建的なところではなかなかご理解いただけないのが私の経験。固い頭を切り替えないといけないんじゃないのかな?待たせるな[exclamation]ではなくって、楽しんでもらえ[ひらめき]だと私は思います。病院全体を一つのテーマパークとして見るような発想も必要なのでは?

患者はなぜ待ち時間で怒るのか 日経メディカルオンライン 7/16
 
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/201007/515996.html
 日本の多くの病院や診療所に共通する悩みは、患者さんの待ち時間に対する不満をいかに軽減するかではないでしょうか。
 実は、私は院内で患者サービス向上委員会を担当しています。この委員会でも、患者満足度を向上させるため、かねて「いかに待ち時間を短くするか」が大きなテーマでした。つい最近も、待ち時間のストレスを少しでも軽減しようと、外科外来の待合室にテレビを設置しましたが、診察に当たる医師や看護師、さらに受付スタッフなどの数に比して外来患者さんの数は圧倒的に多く、ある程度の待ち時間に対する苦情は仕方がない、と半ばあきらめていました。
 そんな折、たまたま先日の医療制度研究会の会場で『待ち時間革命』(日本評論社)という本を目にしたのです。
 著者の前田泉氏は、外資系製薬会社でマーケティングに従事後、2004年5月にスナッジ・ラボという医療マーケティング会社を設立した方です。著書に『患者満足度―コミュニケーションと受療行動のダイナミズム』(日本評論社)などがあり、全国800カ所の診療所・クリニック、50カ所の病院で患者満足度調査を実施した実績をお持ちです。以下に本書の「はじめに」の一節を紹介します。
はじめに
(前略)
 私の率直な印象では、医療者は待ち時間に対して患者が本当に望んでいることを正しく認識していない。このような状況で、仮に待ち時間対策を実行しても、最初の課題設定がずれていては、患者が満足する解決策には行きつかないだろうと考える。そこで本書では、以下の事柄を、病院の待ち時間に即して考えてみたいと思う。
(1)マーケティングの視点から、消費者心理では待ち時間は品質のシグナルとなり、決して「ゼロにすればよい」というものではないこと
(2)心理学的な視点から、時と場合によって感じる待ち時間の長さが異なること
(3)社会学の視点から、時間の過ごし方の決まり方の違いで、個人にとっての「待ち時間」の意味合いが大きく変わること
(後略)
 私自身も、今までの人生の中で、公共機関や銀行などで長く待たされ、大変イライラした経験を持っています。一方、不思議なことに、子供が小さい頃に一緒に行った遊園地などではあまり待ち時間は苦になりませんでした。その差は何なのかが、本書を一読して簡潔に整理できました。病院の場合、患者が待ち時間で不満を抱く理由は以下の3点だったのです(本書p137より)。
1. 受付時に自分がどれだけ待つのか分からない
2. 待っているときに自分があとどれくらい待つのか分からない
3. 診察がどのくらい進んでいるのか分からない
 少し考えてみると、最近の公共機関や銀行などでは、これらのポイントについて、番号札の配布など、様々な対策が講じられています。病院も努力はしていますが、患者さんによって診療時間が大きく異なることが珍しくないといった特殊性もあります。患者さんから見れば、病院の待ち時間対策はとても満足がいくレベルにまでは達していないのではないでしょうか。
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 さていよいよ改正臓器移植法の全面施行が明日に迫りました。今のところ、目立ったうねりは見られないようですが、やはり周囲を取り巻く環境というか体制を充実させないことには、目標とするポイントには達しないと思います。これまで散々コメント入れてきましたので、今日は大人しくフェードアウトします。

 いよいよ明日。私は明日コンビニに走ります。


【朝日新聞社ニュース 2010/07/16】
 子からの脳死移植「即対応可」15% 改正法17日施行

 
http://www.asahi.com/health/news/TKY201007150653.html
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 ベッドの上に身長115センチの男の子。頭には脳波検査に使う赤や緑のコードが張り巡らされている。「法的脳死判定を始めます」。男性医師の言葉に、看護師や技師らの緊張感が一気に高まった。
 13日、愛知県豊明市の藤田保健衛生大病院。「5歳の男児がジャングルジムから落ちて脳死になる」との設定で、人形を使った臓器提供の訓練があった。見学に集まった他の病院の医師や警察、消防関係者ら約60人が別室のモニター画面を通して見守った。
 改正臓器移植法が17日に本格施行され、脳死になった15歳未満の子どもからの臓器提供が可能になる。それに向けてリハーサルを重ねて準備した訓練だった。加藤庸子・救命救急センター長は「家族が臓器提供を申し出た時に『できません』では済まされない」と力をこめた。
 訓練は約2時間で終わった。「非常に参考になったが、これだけスムーズにいくとは思えない」。見学した愛知医大病院高度救命救急センター(愛知県長久手町)の三木靖雄医師はそう言った。同センターは年間3千人の救急搬送に対応する。今
後は脳死の子の親がいつ提供を申し出てもおかしくない。だが、準備が整わず、対応が可能になる時期は未定だ。
 子どもの脳は大人に比べて回復力が強いとされる。子どものための新たな脳死判定基準に沿って厳格に脳死を確かめないといけない。虐待を受けた子の臓器提供を防ぐことや、子どもが提供を拒んでいなかったかを確かめる必要もある。三木さんは見学後、疲れた様子で語った。「提供の申し出にこたえられないという事態は避けたい。でも、課題が多すぎる」
 家族への説明や脳死判定を担う全国の臓器提供病院336病院のうち、改正法施行と同時に子どもからの提供に対応できるのは15%にとどまる。朝日新聞社のアンケートでわかった。改正法は昨年7月、子どもが国内で移植を受けられるようにすることを主な狙いの一つに、議論の末に成立した。大きく変わる臓器提供のルールに医療現場の準備が追いつかないまま施行を迎える。
■57%の病院、提供「増える」
 アンケートでは、全体の57%の病院が、改正法施行で提供が「増える」と予想したが、「変わらない」も31%あり、見方が分かれた。
 増えない理由として、多くの病院が「死生観」を挙げた。関東地方の公立病院は「最後まで望みを捨てない家族がほとんど」と説明する。
 昨年1年間に子どもを臨床的に脳死と診断した経験がある病院は全体の26%の68カ所。大半は5人以下だった。このうち来年までに子どもからの提供に対応可能なのは33カ所。ただ、提供に結びつくかどうかは未知数だ。
 日常の診療で、年齢に関係なく患者を脳死と診断をすることが「ある」という病院は69%に達した一方、「ない」が27%あった。そのうち36%が「脳死と診断するのに時間がかかる」を理由に選び、16%は「提供につながると現場の負担が増える」を選んだ。
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【毎日新聞社ニュース 2010/07/16】
 特集:改正臓器移植法、あす施行

 
http://mainichi.jp/select/science/news/20100716ddm010010114000c.html
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 15歳未満の小児からの脳死臓器提供を可能にする改正臓器移植法が、17日に全面施行される。改正法では、年齢に関係なく、本人の意思が不明の場合、家族の同意で脳死臓器提供ができるようになる。法はなぜ改正され、どのように変わるのか。法改正の背景や、今後の課題などをまとめた。【藤野基文、野田武、永山悦子】
◆改正のポイント
◇家族の同意/15歳未満の提供

 Q 改正法では何が変わったのですか。
 A 大きく二つのポイントがあります。一つは、本人が生前に拒否の意思を書面や口頭で示していなければ、本人の意思が不明でも、家族の同意によって脳死臓器提供が可能になること。もう一つは、15歳未満の小児からの臓器提供ができるようになることです。現行法では、脳死後に臓器を提供できるのは15歳以上に限られ、本人が書面で提供に同意する意思を表明していることが必要でした。
 Q 臓器移植法はなぜ改正されたのですか。
 A 現行法は、1997年に施行されました。今までに計86人(7月14日現在)から提供があった一方、臓器移植を希望して日本臓器移植ネットワークに登録している患者は1万2163人(6月30日現在)に達します。希望者に対して提供数が圧倒的に少ない状況です。さらに15歳未満からの脳死臓器提供が認められていないことから、移植を必要とする小児が、体格に合う大きさの臓器を求め、渡航して移植を受ける例が相次ぎました。「臓器の提供数を増やし、15歳未満からの脳死臓器提供を認めよう」と法改正論議が起き、09年7月に改正法が成立しました。
 Q 臓器提供に対する意思表示は、どのようにしておけばよいのですか。
 A 「臓器提供意思表示カード」「運転免許証や健康保険証の裏面に新設される意思表示記入欄」「日本臓器移植ネットワークのホームページでの登録」があります。臓器を提供する意思、拒否する意思、提供してもよい臓器を選べます。15歳未満は、臓器を提供したくない「拒否」のみ有効です。改正法では、本人の意思が不明の場合、残された家族が臓器提供するかどうかを決断します。家族の死を受け入れ、そのうえ臓器提供の可否を決める負担は計り知れません。書面などによる意思表示だけではなく、日ごろから臓器提供についてどのように考えているかを、家族で話し合っておくことが大切です。
 Q ドナー(臓器を提供する人)はレシピエント(移植を受ける人)を選べますか。
 A 原則として選べません。レシピエントは重症度、待機期間、臓器の輸送時間などから優先順位が臓器ごとに決められており、ドナーが出ると、日本臓器移植ネットワークが選定します。ただし、改正法には「親族優先提供」の意思表示を認める条文が新設され、配偶者と親子に限って優先的に提供することができます。この部分は、10年1月に先行して施行されました。この場合も、「臓器を提供する意思」が存在することが前提です。「親族だけにしか提供したくない」、もしくは「母だけに提供してもよい」など提供相手を指定することはできません。
◇提供に45~63時間/判定に立ち会いも/虐待の疑いで除外
 脳死臓器移植では、患者が脳死と思われる状態になってから、法的脳死判定、臓器摘出手術を経て手術室を退出するまでに、6歳以上の場合は平均45時間前後、6歳未満は同63時間前後かかる。
 家族は、日本臓器移植ネットワークから派遣された移植コーディネーターの説明を受け、家族の総意で臓器提供について決める。家族は、どのタイミングでも提供を断ることができる。
 脳死判定は(1)深い昏睡(こんすい)(2)瞳孔が開いたまま(3)脳幹反射の消失(4)平たんな脳波(5)自発呼吸の消失--の5項目を2回診断する。
 2回の間隔は6歳以上が6時間以上、6歳未満は24時間以上。家族が希望すれば、判定に立ち会うことができる。
 また、虐待を受けた18歳未満からの臓器提供を防ぐために、提供施設には院内体制とマニュアルの整備が求められている。虐待が死因と関係なくても、15歳以上で提供の意思を示していても、虐待を受けた疑いが見つかった時点で、臓器提供
の対象から除外される。
◇「困っている人の助けになった息子が誇り」 ドナー家族、悩み越えて
 「困っている人の助けになった息子が誇りです。それでも、結論を出すのが少し早かったかなと思うことはある。意思表示があっても家族は悩むのだから、なければ大変混乱するでしょう」
 08年、くも膜下出血で倒れた次男(当時38歳)が、脳死臓器提供した経験を持つ神奈川県の男性(74)は、そう話した。
 いつものように出勤した次男は、突然職場で倒れた。男性と妻、長男夫婦が病院に駆けつけたが、主治医は「回復の見込みはない」と言った。主治医は、次男が臓器提供意思表示カードを持っていたことを告げた。カードは00年に書かれ、すべての臓器を脳死で提供すると記入してあった。家族は、次男から移植に関する話を聞いたことがなく、驚いたという。
 家族だけで相談、誰からも反対意見は出ず、20分ほどの話し合いの後、「本人の気持ちを尊重しよう」と、眼球以外の提供に同意することにした。
 それから家族が交代で次男に寄り添い、入院から3日目の朝、2回目の脳死判定が終わった。臓器は8人に移植された。「私は、息子のおかげで元気になった人がいることがうれしい。でも、提供後に悩む家族もいるようだ。事前に話をしておくことが大切だと思う」と男性は話す。
◇補助人工心臓に治験の壁 小児移植、なお課題
 心臓移植が必要な小児は毎年30~50人ほどと考えられている。改正法の最大の要点は、このうち乳幼児の心臓移植が国内で可能になることだ。心臓移植は、ドナーとレシピエント間の体重差が約3倍まで許容されるので、大人から小児へ移植された例は複数あるが、乳幼児は外国でしか受けられなかった。
 だが法改正後も課題は残る。一つは移植待機中に着ける補助人工心臓について、小児向けが国内にないことだ。現在、移植の平均待機期間は約2年半。ほとんどが補助人工心臓を長期間装着する。補助人工心臓のない小児は、重症化して1年以内に亡くなる人が多い。東京大病院心臓外科の村上新・准教授は「末期心不全治療の柱は薬物、移植、補助人工心臓の三つ。小児用補助人工心臓の確立が必要」と指摘する。
 外国ではドイツ製の「ベルリンハート」が32カ国で700例以上使われている。国内使用には治験(臨床試験)が必要だが、患者数が少なく実質的には難しい。移植関係者からは、外国での実績から少数の治験や治験なしで承認すべきだとの声が上がるが、見通しは立っていない。
 一方、移植は待機登録者の中から待機期間の長さなどを考慮して行われる。新たに待機登録をする小児は、既に登録している大人よりも待機期間が短く優先順位が低くなるため、小児ドナーから提供があっても大人へ移植される可能性もある。このため関連学会は、15歳未満からの提供臓器は登録時に15歳未満の患者へ優先提供するよう基準の見直しを国へ要望している。大阪大病院移植医療部の福嶌教偉(のりひで)副部長は「小児ドナーの両親は、自分の子の臓器で子供を助けてほしいと思うのが自然だろう。そういう気持ちをかなえられるよう、国にも考えてほしい」と話している。
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【毎日新聞社ニュース 2010/07/16】
 記者の目:改正臓器移植法=藤野基文(東京科学環境部)
 
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20100716k0000m070152000c.html
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 改正臓器移植法が17日に全面施行される。慢性的な提供臓器不足の解消を図り、15歳未満の移植医療に道を開くことが柱だ。臓器移植の担当記者として臓器提供を担う全国の医療機関にアンケートや取材をしてきたが、このままでは法は変わっても実態はほとんど何も変わらないのではないかとの印象を強く持っている。臓器を提供する病院の多くは救急医療機関で、医師不足や過酷な勤務で疲弊しているため、さらに負担を背負い込むことが難しい。法改正に伴って体制整備が必要だが、国は各提供病院任せにせず、病院側が抱える根本的な問題解決に取り組むべきだ。
◇小児脳死の判定 現場に重い負担
 日本臓器移植ネットワークによると、6月30日現在で臓器の移植を希望している患者は計1万2163人いる。
 現行法では、臓器提供意思表示カードなどで提供意思を示している15歳以上だけが提供できた。改正法で、本人の意思が不明でも、生前に拒否していない限り、家族の同意があれば15歳未満も含め提供できるようになる。
 臓器の提供数を増やすためには、病院側の協力が不可欠だ。しかし、厚生労働省が臓器提供に対応できると認定した全国の医療機関348施設を対象に、毎日新聞が5月下旬から6月下旬に実施したアンケートで、約85%が法施行後の臓器提供は「業務の負担になる」と回答。小児の臓器提供に「対応する」との回答は36.8%にとどまった。
 脳死臓器提供には、脳死判定を6時間以上間隔を空けて2回実施する必要があり、臓器摘出手術などを含め、6歳以上は約45時間前後かかる。蘇生力の高い6歳未満は脳死判定の間隔を24時間以上空けるため、さらに18時間長くかかる。施設の規模によっても異なるが、日常の救急医療業務の一部またはすべてを止めなくてはならない。
 このため、アンケートでは「手術室、スタッフに余裕がない。これ以上負担が増えれば、救急医療が崩壊する」「脳死下での臓器提供により現場は48時間以上にわたって救急医、麻酔科医、主治医がかかわり、ICU(集中治療室)、手術室の機能が止まる」「現在の過重労働下の脳外科施設では協力は困難」など苦渋に満ちた声が寄せられた。
 岡山赤十字病院の實金(みかね)健・救命救急センター長は「目の前に助けを必要としている患者がいるのに、どこか遠くにいる臓器移植を必要とする患者のために、日常業務を止めることは難しい」と話した。医療現場の本音だろう。同病院は改正法施行後も小児の臓器提供をする予定はない。
 また、ある麻酔科医は、脳死判定とその後のドナー(臓器提供者)管理がどれほど大変かを切々と語った。日常業務とかけ離れた脳死判定を間違いなく進めなくてはならないプレッシャー。脳死判定から臓器摘出までのドナー管理は、心臓が止まってしまえばすべてが無駄になるため、想像以上のストレスの中で続けざるを得ない。
 本人意思が不明な場合の家族への臓器提供の説明も病院には大きな負担だ。
 家族への説明は主に主治医が担当する。ドナー候補となる患者は、ほとんどが急患だ。朝、元気に出ていった人が突然の不幸に見舞われ、家族が病院に呼ばれる。實金センター長は「家族は最後まで命を救ってほしいと願っている。直前まで回復させようとしていた医師が、『もうダメなので臓器提供について考えてください』なんて言えるでしょうか」と語った。
 毎日新聞のアンケートでは、本人意思が不明の場合、提供に同意する家族がどれぐらいの割合になるかの予測も聞いたが、「3割程度」~「ほとんどない」が、小児で85.2%、成人で74.4%を占めた。厚労省によると、脳死臓器提供について家族が説明を受けるかどうかの確認は、各病院に任せられるという。
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コメント 5

モーモー

臓器移植改正されましたね  昨日も、テレビで、臓器を提供した家族の
胸の内を 話している番組がありました  涙が出ました
 提供した家族の葛藤  娘は、ドナー提供者ですが、家族が、それを受け入れるには、、、、それでも、提供された方から感謝の手紙が・・・・
娘は、生きている・・・・涙しながら 語ってくれた  家族・・・・
 私だったら・・・・そして、医療現場は・・・・・課題が膨大です

ヒルシュスプリング病、昔の現場でも、多かったです
 排便コントロールしながら、成長した子を見るとうれしかったです
家族の愛は、偉大です
by モーモー (2010-07-17 08:59) 

lamer

おはようございます。
「イメージ」にご訪問いただきnice!有難うございます。
いや~~~内容が豊富すぎて一回の更新量としては
凄く勿体無い感じがしました。
また伺わせていただきます・・・よろしく・・・です。
by lamer (2010-07-17 12:36) 

エコピーマン

脳死の現場は 難しいでしょうね 乳幼児はや子供は特に
by エコピーマン (2010-07-17 21:57) 

chal

ご訪問ありがとうございました。
by chal (2010-07-17 22:23) 

Koji

暑中お見舞い申し上げます。
連日大変厳しい熱波に見舞われておりますが、如何お過ごしでしょうか?
本ブログにご訪問いただき有難うございます。コメントをいただいた方々にはお返事が大変遅くなり申し訳ありませんでした。今後とも宜しくお願いします。

モーモーさん
私が経験した現場は提供される側でしたが、同業者に移植コーディネーターの方がおられて、色々とお話を伺っていました。医療関係者も少しでも痛みを感じられるよう、五感を研ぎ澄ませておきたいものですね。

lamerさん
一回の更新量としてはかなり多いのですが、なかなか更新を頻繁にする時間が無いことと、雑多な情報をいかに組み立てるのかが今年のテーマです。まとまりのない文章となりがちですが、今後ともどうぞ宜しくお願いします。

エコピーマンさん
仰るように非常に厳しい現場状況です。人の死は重く、その判定を下す立場の方は本当に大変だと思います。私もその昔、脳波や聴性脳幹反応なども検査していたことがありますので、脳死判定を行ったこともあります。ご家族のお気持ちを考えると、何とも言えませんでした。

chalさん
こちらこそ有難うございました。
by Koji (2010-07-21 06:22) 

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[ひらめき] PADM(パダム):遠位型ミオパチー患者会へのご協力お願い [ひらめき]

    遠位型ミオパチーという病気をご存知でしょうか? 
    筋肉そのものに原因があって、筋力が低下する「ミオパチー」といわれる疾患の中で治療法が全くなく、
    体幹部より遠い部分から徐々に筋力が低下していく非常に重い筋肉の進行性難病です。
    100万人に数名といわれる希少疾病ですが、2008年に「遠位型ミオパチー患者会」が発足しました。
    この患者会のみならず遠位型ミオパチーという病気をより多くの方々に認知していただき、一人でも
    多くの方々に賛同していただき、患者会の目標を達成することが目標です。その一つに「難病認定」
    があります。この「難病認定」のためには「署名活動」が必須であり、皆さんのご協力が必要です。
    宜しくお願いいたします。        
          http://enigata.com/index.html


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 現代の医療においては、客観的根拠を基に病態解析などがなされ、EBM(Evidence based Medicine)の根幹として臨床検査データは位置付けられています。このような重要なポジションに居ながら、我々自身の待ち受け体質は根強く、我々臨床検査技師自身が何をするべきなのか、また何が出来るのかを真剣に考えるべきであり、後進の方々に良い道を残すためにも、一般の方々に臨床検査技師をまず知っていただく、ということが必要なのだと思います。そのような趣旨から各種サイトランキングにも登録しておりますので、バナーをクリックしていただければ幸いです。

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         臨床検査技師長
                新井 浩司

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